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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1957/08/13 朝日新聞朝刊
憲法調査会の任務の限界(社説)
 
 憲法調査会の第一回会合がきょう開かれる。法律が成立してから一年三カ月たって、ようやく、まがりなりにも調査会の実質的発足を見るわけである。
 この調査会のもつ意義とその役割は、この調査会の従来からのいきさつが自ら物語っているだろう。もっともこの調査会は昨年五月に国会で成立した憲法調査会法にその成立の基礎をおいている。したがってこの調査会の成立そのものは、いちおう合法的な手続きをふんできたものである。むしろこれへの参加を拒否しつづけてきている社会党側の態度が理解しがたい。成立のいきさつはともかくとして、合法的な根拠をもった調査会に参加を拒否する筋合はないからである。われわれがこの際になっても、なお社会党の参加を主張している理由はそこにある。
 しかし現実には、社会党はともかく参加しないのである。政党としての社会党のみならず、学者の中にも参加をしぶった例があるといわれる。この調査会が発足するまでの一年余のいきさつは難渋をきわめている。こういう実情を率直に見るときに、社会党の態度は別としても、現在のままでは、この調査会の意義と役割に限界があり、今度のこの調査会の運営も結局はそういう事実を知ることから、まずはじめられなければならないと考える。
 この調査会はこれからもなおねばり強く社会党の参加を求むべきであろう。憲法を改正するか否かは重大な問題であり、また現実の 国会分野で社会党勢力が三分の一を確保している以上、改正はかんたに実現しうることではない。したがって、この調査会は決して成果を急ぐ必要はないのである。社会党や国民の側で、その参加を望みたい学識経験者たちが参加して、おたがいが虚心に現行憲法の不備な点を話し合うようになることこそ調査会の最大の役割とも言えるのである。
 この調査会が急いで一方的だと見られるような結論を出してみたところで、大きな価値はあるまい。いままでにもいろいろと発表されてきたような、特定の立場に立つ憲法改正の提唱と同じようなものと見られては、法律に基礎づけられた調査会としての権威にももとろう。選挙があれば議員の顔ぶれも変ろうし、政党の考え方というものはいつまでも一定不変のものでもあるまい。調査会が功を急いだり、特定政党の代弁者みたいなことになったりしては、全く存在意義がなくなるだう。
 いまの憲法にいろいろの不備な点が見出されていることは周知のとおりである。問題はいつ、どういう形で、それらの不備な点を直してゆくかということである。憲法改正がすこぶる大きな問題である以上、まずすべての国民が率直に意思表示をするような下地の作成が第一であろう。改正かどうかは、そのあとの問題である。社会党の反省をまつとともに、この調査会もまず国民全体の立場を考えつつ、成果にのみとらわれることのないように希望しておく。


 
 
 
 
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