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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1947/05/03 朝日新聞朝刊
新らしい日本の出発(社説)
 
 新しい憲法は、本日から施行される。若葉にうずめつくされた五月は、一年のうち最も美わしい月、力強い月である。新しい日本の門出は、この月から初まる。
 明治憲法は日本国民みずからの手により廃棄され、主権が国民に存することが堂々と宣言された。日本の民主主義革命は、世界史のうちにその成果を記録したのである。この記録に対して日本国民は大きな責任を負わねばならない。われわれの念願は「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永久に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占める」ことにある。
 日本国民が戦争を永久に放棄したのは、これがためである。民主的、文化的な国家の建設こそわれわれの歩み進むべき目標である。日本国民は国際平和を深く深く希求する。そして「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼するのである」。日本国民の責務は世界諸国民へのこの信頼感と、はなれ難く微妙にそして高貴な結びつきをしている。価値ある美術品がそうであるように、われわれの歩みが正しく、立派な国が建設されるならばその国は世界の人民により高貴なるものとして、守られるであろう。
 この門出の日にあたり、われわれはこの新しい憲法制定のために、多大の援助と激励とをあたえてくれた連合国々民に対し、深厚な感謝をささげたいと思う。この援助と激励がなかったならば、新憲法は生れ出なかったであろう。
 新憲法の最大の題目は「主権が国民に存する」ということであり、国民の参政権が簡明な直接投票によって行使され得ることをもってその基本精神としている。国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会の議員は、国民が直接選挙によってこれをえらぶ。内閣総理大臣は国会議員の中から、議会の議決によって、指名される。総理大臣は、過半数の国務大臣を国会議員の中からえらぶ。また地方政治においては議会の議員はもとより、知事、市町村長もまた住民の直接選挙でえらばれる。最高裁判所の裁判官は、内閣が任命するが、その後十年経過するごとに、衆議院議員選挙の際、その適否を国民の直接審査に付し投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は罷免されるのである。人民の直接投票が如何に重要視されているかがわかるであろう。四月選挙の意義もここにあった。
 立法、行政、司法の三権は憲法の定めにしたがって、その根源を国民においている。国政が国民の厳粛な信託により、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受し得るのはこれがためである。基本的人権はかくして擁護される。
 基本的人権は人間性の尊重と、その無限の開発とを約束するものである。そして個人は同時に社会の一員であるから、個人の尊厳は社会の尊厳につながって行くであろう。人間性の開発を通じてのみ社会の進歩と向上とは期待され得るのである。政治、経済、学術、芸術の進歩は、明治憲法を廃棄して、新憲法を国民みずからが確定した民主革命によって、新しい輝きを示しはじめるであろう。
 「主権が国民に存する」ことが国民の直接投票の意義を重要ならしめるのであるが、この意義が正しく生かされて行くためには、国民ひとりひとりの政治的自覚と知性とが高められ、それが直接投票によって表示されねばならぬ。そのためには国民に対する教育と啓蒙との機会が最大限にあたえられる必要がある。教育基本法は、その前文において、このことを強く宣言しているのである。この前文にふくまれた「われら」は、新憲法の前文にある「われら」と全く同格であって、教育基本法は神勅主権主義、天皇主権主義に由来する教育勅語を排除して、国民主権主義にもとづき、日本の教育の向うべき道を国民みずからが宣明したものである。これもまた新憲法とならび存すべき、日本の民主革命の重要なる成果である。
 今日は日本の新しい門出である。日本再建の礎は新憲法によってかたくすえられた。前途にどんな困難が横たわろうとも、日本人の勤勉と公正、信義に対する信頼とが、われわれを導くであろう。国民大衆一人一人が、真に新憲法の精神を身につけよ、そして日本の民主政治をして、力強く成長せしめよ、新憲法施行に際して、われわれは心からこれを念願するものである。


 
 
 
 
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