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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1946/04/18 朝日新聞朝刊
憲法条文の平易化(社説)
 
 政府はさきに発表した、憲法改正草案要綱を、条文化し枢密院に御諮詢と同時に草案として発表した。内容は殆ど要綱と変りはないが、表現に平仮名と口語体を採用したことは、正に画期的ともいうべく注目されている。政府が法律殊に憲法のような、国家の基本法を国民に親しみ易くし、かつ議会に更ならしめようとした努力は、これを認めるのに吝かでない。今後はすべての法律、規則、命令が、憲法に倣って口語化されるのが当然で、その間のことを、今から想像するさえ愉快にたえない。法治国の根本である遵法精神の涵養に、貢献するところ多大なものがあろう。問題はあの草案で、その目的が達せられるか、どうかという点にある。平仮名、口語体は一見しただけで、法律を親しみ易くする効果は、たしかにあると思える。しかし、前文と条文を通じて文章の構成、使用している言葉は、未だ理解を平易ならしめる目的の達成には、余程の距離があろう。
 元来日本語の複雑なのは、象形文字である漢字の大きな影響で、読む言葉に化した点にある。さらに欧米語なり思想の翻訳の際に、これが何らの約束なく行われ、無制限といってよいほど新造漢語が使用せられるに至って、一層の混乱を惹起したといい得るのである。今回の口語体憲法において、この感を一層深くするもので、全部を通じて、随所に未消化の漢語と、文章の構成を発見するのである。殊に前文の文章は、人民の憲法の前文としてはもっとわれ等の心の琴線に触れるものであって欲しい。条文の表現も従来の「べからず」を「ならない」と変えただけの感が深いのも、もっと研究されてよいのではないか。
 要綱当時も批評されていたこと、全体として文句がぎこちなく、この点では理解を平易にすることは勿論、折角平仮名と口語体で親しみを感じたのを、読んで見てしっくりしない気持ちを起させるのが欠点である。これをほんとうに国民のものとするためには、内容と一緒に表現についても、国民の間で大いに検討論議されることが必要なのである。これ等を考えても、憲法問題は単の法律や政治だけのことではなく、国民生存の根本問題であるという立場から、凡ゆる方向から国民によって勉強されなければならないものであって、幣原首相個人の良心の問題ではないのである。


 
 
 
 
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