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資料2-9
 
被験者への聞き取り調査の結果
 
 実験終了後に行った聞き取り調査の結果は以下の通りである。被験者の回答を適当なグループに分けた後、重複した意見を除いて、それぞれのグループにみられた意見を列挙した。
 
1. 付加線の本数と間隔について
(1)本数
質問:「付加線がついている側のわかりやすさについて、本数の観点から詳しく教えてください。」
 
結果:
○1本が良い(少ない方がよい)
・実験中は2本の方が良いと答えたが、今になって思うのは「1本で間隔が広い」のが一番良いと思う。
・本数は少ない方がよい。その方が付加線が浮き出る。
・本数が多くなると間隔が狭くなってしまうのでよくない。もっとも、間隔が広いとしてもやはり1本線が良いような気がする。
・2本よりは1本の方が線状突起であることはっきりわかる。
・本数が多いと平面的に感じてしまう。
・1本に限る。2本だとかえってわからなくなってしまう。
・2本は特に必要ない。
・足だけで踏んだ感触としては1本の方がすっきりして分かりやすかった・・・かな? 微妙なところだ。
 
○2本が良い(多い方がよい)
・本数が多いと線状突起であることも、線状突起の走る方向もはっきりする。
・1本だと点状突起か線状突起かがわからない恐れがある。
・1本だと越してしまうのではないかと不安だ。
・1本だと段差と間違えるが、2本だと自信を持って付加線だとわかる。
・白杖を2本の線状突起の溝に入れて辿って歩くことができる。
・2本だと片足で2本の線状突起を同時に踏むことができてわかりやすい。1本だと片足で点状突起と線状突起を同時に踏んでしまうので、点状突起と線状突起の区別がつきにくい。
・本数は多いほど良い(1本<2本<3本)。
・2本が1本より良いが、3本だと多すぎる。2本がベスト。
・実験中は1本の方がよくわかった気がするが、実際場面では2本の方が安心である。
 
○その他の意見
・本数はわかりやすさにはあまり関係ない。間隔の方が重要である。
・1本で十分だが、2本あって困ることはない。
・1本で十分だ。2本あっても1本分しか見ないので関係ない。
・はっきり分からない。
 
(2)間隔
質問:「付加線がついている側のわかりやすさについて、線状突起と線状突起の間隔、および、線状突起と点状突起の間隔の観点から詳しく教えてください。」
 
結果:
○広い方が良い
・点状突起と線状突起の間隔が開いているブロックの方がわかりやすかった。
・点状突起と線状突起の間隔も、線状突起と線状突起の間隔も、広い方が良い。
・間隔が広い方が、点状突起と線状突起がはっきり浮き立ってわかりやすい。
・線状突起と線状突起の間隔が狭すぎると、1本の線のように感じてしまう。
・特に1本線タイプでは点状突起と線状突起の間隔が広い方が良い。
 
○狭い方が良い
・片足で点状突起と線状突起の両方を同時に踏めるので、狭い方がよい。
・点状突起と線状突起の間隔であれ、線状突起と線状突起の間隔であれ、間に足がすっぽり入ってしまうようだとまずい。
・片足の両側に突起が触れることが許容限である。
・今日のブロックの中では狭いものほどよかった、狭すぎるものは無かった(本人の自覚としては)。
・2本線タイプの場合、線状突起と線状突起の間隔はそれほど広くなくても良い。
 
○靴程度の広さが良い
・足幅よりちょっと狭いくらいがベストである。
・靴底の両側に突起が同時にあたるようなものが良い。
・点状突起と線状突起の間隔が広すぎると、足が点状突起と線状突起の両方に同時に触れなくなってしまう。
・点状突起と線状突起が靴幅程度に開いていると、点状突起と線状突起の間に足を入れてブロックに沿って歩くことができる。
・平均的な靴幅分だけあればよい。
・溝の部分に足がすっぽり入るのが良い
・片足で点状突起と線状突起をぎりぎり踏むくらいがベストである。
 
○その他の意見
・間隔は本数よりも重要である。
・点状突起と線状突起の間隔も、線状突起と線状突起の間隔も、よく分からなかった。
・点状突起と線状突起の間隔は狭くても良い。線状突起と線状突起の間隔を広くして欲しい。
・点−線間隔と線−線間隔が等しいとわかりづらい。2種類の間隔を違えて欲しい。
 
2. 制限時間について
質問:「今日の実験では制限時間を60秒としましたが、この制限時間を《実用的な観点》、すなわち実際の駅では《ブロック種別》や《線のついた側》を確かめるのにこれよりも時間がかかるようでは使い物にならないという観点で修正するとしたら、どのくらいの時間が適当だと思いますか?」
 
結果:
・点状突起か線状突起かはブロックに乗った瞬間にわかる。混合ブロックでも数秒あればわかるだろう。
・10秒もあれば十分すぎるし、また人混みの中では10秒も立ち止まることはできない。
・5秒でわからないようだと実用化は難しい。
・10秒経ってもわからないようだと実用化は難しいだろう。
・ホーム縁端は人の多い場所なので、10〜20秒で判断しないと人に声をかけられてしまう。
・状況によって異なる。個人差も大きい。
・危険を感じるなら、仮に電車に遅れたとしてもブロック確認に十分な時間をかける。よって制限時間という考え方はなじまない。
3. 付加線の位置について
質問:「混合ブロックを鉄道駅ホームの縁端部に敷設するとしたら、付加線は線路側とホーム内側のどちらに位置するのが良いと思いますか?」
 
結果:
○ホーム内側が良い
・「点状ブロックは危険、線状ブロックは誘導」という原則にたてば、危ないことを示す点状突起がより外側に来るべきである。
・点状ブロックの内側に1本線があると、それを伝って移動することができる。
・点状ブロックは警告の意味なので、それより内側を歩きたい。
・これまでに「点状突起イコール線路ぎわ」という認識が出来上がっているので、点状突起の外側に今さら付加線をもってくるのは間違いのもとである。
・点状ブロックの外側には滑り止めがあるため、付加線が外側にあると滑り止めと誤認しやすい。
・白杖を滑らせると、付加線が内側にあると杖がまず付加線に当たってくれる。
・以前、京浜東北線「蕨」駅でこのようなブロックを見たことがあるが、そこでは付加線が内側になっていたのでそれに統一して欲しい。
 
○線路側が良い
・付加線が点状突起の外側にあると「これより先に行くな」という合図と受け取りやすく、警告がいっそう強まる。
・点状ブロックの真上を歩く際、付加線よりも外に出ないように気を付けて歩けばよい。
・線路に直交する方向に歩く(または立っている)場合、踵側ではなく、より敏感なつま先側で付加線を踏むことになるので、付加線によって縁端であることに気づきやすい。
・現状で、縁端ブロックより内側には人がいるから歩けないものと認識している。したがって、点状ブロックよりも外側に付加線があると、移動の助けになる。
・内側に線が付くと「誘導」の意味になってしまう。
・今、点状ブロックに沿って歩いている。その環境に変わって欲しくないので、付加線には内側には来て欲しくない。
・点状ブロックの外側には滑り止めがあるので、似たものは同じ側にまとめると良い。
・点状突起よりも線状突起の方が見つけやすいし滑らないので、より危険な線路側に位置するのが良い。
・何となく。
 
4. 自由意見
質問:「今日の実験に関して、お気づきになった点やご意見・ご感想があれば、お聞かせください。」
 
結果:
・一対比較課題は難しい。
・ブロックの検討は今後も是非やって欲しい。
・現状では、人が立っているために縁端ブロックを使えないことが多い。その現状を何とかして欲しい。
・点状突起の直径と線状突起の太さが似ていると線状突起と点状突起の区別がつきにくいので良くない。
・点状突起より線状突起が少し高くなっているとよりわかりやすいのではないか。
・次の機会があれば、何種類かの靴でやってみたいし、白杖も使ってみたい。
・一般的に、あまり細かい芸を出されてもまずわからないのだが、混合ブロックくらいだと使える。
・混合ブロックは駅ホームだけに限定すべきである。
・実際にはいろんな角度でブロックに進入する可能性があるので、付加線が左右のいずれかにしか現れない今回の実験条件以外に他の角度についても検討して欲しい。
・体重や靴の種類によってわかりやすさは異なるだろう。
・混合型を敷く場合にはどちらが内(外)を意味するか全国で統一する必要がある。
・ブロックの幅を広くすると柱にぶつかる(=まっすぐに敷設できない)ことが多くなると思うので現実的には難しいかも知れない。
・付加線を滑り止めと誤認してしまう恐れがあるのではないか? 滑り止めの敷設幅をもっと小さくして、ブロックとの間に何もないエリアを設けると良い。
・線状突起に矢印をつけて、階段等の方向を示して欲しい。
・今日は実験だからという構えがあったかも知れない。普段はブロックの種別をそれほど意識していない。
・今日は足だけでブロックを確認したが、白杖を使えばさらに付加線に沿わせて歩くことができるので混合ブロックは素晴らしい。
・普段、点状ブロックも線状ブロックもそれを辿って歩くことはない。(線状ブロックの場合は杖を溝に入れて辿ることはあるが)
・ブロックは線状ブロックだけでよい。
・「線」を付加すると縁端ブロックに沿って歩く際、はずれなくなるので良い。
・混合ブロックはすごく良いと思った。ホームでは必ず混合ブロックにした方が良い。
・実際に使う際には慣れるので、ある程度のところで決めてもらえばよい(利用者に慣れを期待してもよい)。
・白杖を使うと回答の仕方が変わると思う。
・実際にはまず白杖でブロックを検出して、その次に足で確認することが多い。
・ホームの内外方を示す意味では混合ブロックは利用価値がある。
・点状突起と線状突起の大きさや形は変わらないと説明を受けたが、点状突起の大きさが変わっているように感じた。
・ホーム内外方がわかるということは非常に重要な事である。
・ブロックの色にも配慮すべきである(人口的には全盲者よりも弱視者の方が多い)。
・混合ブロックは無いよりはあった方が良いが、しかし、そこまでいちいち細かく確認する人がいるのかどうかは疑問だ(白杖でホーム縁端をさわれば済むので)。
・混合ブロックをどう周知させるかが重要問題である。
・直交進入も検討する必要がある。実環境ではブロックの上でくるくる回転すると方向を失うことになるので、回転する人はほとんどいないだろう。その為、今回の実験場面では回転する人は少ないのではないか?
・疲れた。







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