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しおかぜ58号 平成15年春 発行
しおかぜ Shiokaze
発行所 社団法人
関西小型船安全協会
発行人 山村 彰
神戸市中央区栄町通3−3−5(河西ビル)
〒650−0023
TEL 078−391−7223
FAX 078−391−7223
 
木場ヨットハーバー主催[セーリング教室]
 
想うこと
「鳴門七則」と安全意識
 
 第五管区海上保安本部が行っている広範な安全航行指導の中で、鳴門海域を対象としてつくられた安全航行規則「鳴門七則」をここにご紹介いたしましょう。
 
一、通航前に気象・海象を十分調べよう。
二、霧や視界不良時の無理な通峡は止め回復を待つ勇気を持とう。
三、強潮時の無理な通峡は止め潮流のたるみや弱い時に通ろう。
四、大鳴門橋の中心灯の右側をできるだけ橋軸と直角のコースで航行しよう。
五、潮のたるみには漁船が海峡内で多数操業するので安全な速力で航行し、必要に応じて汽笛等で注意喚起して通峡しよう。
六、橋に設けられた航行援助施設があるので十分活用しよう。
七、「霧通報」を活用しよう。
 
 これを読むと、指導に於けるきめ細かな配慮と熱意が伝わってきますが、受手側も鳴門以外でも通ずるこの基本的な七則を肝に銘じ「安全航行」に役立てては如何でしょうか。
 安全意識の自覚と高揚こそ海難防止のキメ手であり命の守り綱なのだから。
 
平成十四年の船舶海難人身事故と救助の状況
〔お問合せ先〕
海上保安庁警備救難部航行安全課
電話 代表 〇三−三五九一−六三六一(内線五一一)
 
海上保安庁 速報
 
 毎年刊行されていた海上保安白書が、スマートに衣がえし「海上保レポート」に変身しましたが、二〇〇三年度版発刊に先がけて速報として発表されましたので、ここにその一部を掲載いたします。
 
1. 船舶海難の発生状況
(1)用途別海難船舶隻数
 プレジャーボートは大幅減少、その他は全体的に微増傾向
 海難船舶隻数は二六三三隻(二〇三隻減)で、用途別に見ると、漁船が八九九隻(四三隻増)と最も多く、次いでプレジャーボート八一九隻(三三八隻減)、貨物船三六一隻(二七隻増)、その他の一般船舶二二五隻(十七隻増)、遊漁船一四一隻(三〇隻増)、タンカー一二四隻(三隻増)、旅客船六四隻(十五隻増)となっています。
 十年間の用途別推移を見ると、プレジャーボートは増加傾向、遊漁船も漸増傾向にあり、それ以外はほぼ横ばい又は減少傾向となっています。
(2)船舶海難に伴う死亡・行方不明者数
 漁船及びプレジャーボートの海難による死亡・行方不明者数は増加
 船舶海難による死亡・行方不明者数は一七七人で前年より二五人増加しました。これを用途別に見ると、漁船が八九人(十六人増)と最も多く、次いで貨物船四二人(一人減)、プレジャーボート三四人(十三人増)、その他の一般船舶七人(四人減)、旅客船二人(一人増)、遊漁船二人(一人減)、タンカー一人(一人増)となっています。
 漁船の海難による死亡・行方不明者八九人のうち、衝突によるものが二八人(九人増)と最も多く、そのうちの二三人(五人増)が「見張り不十分」を海難原因とするもので、次いで転覆によるものが二七人(三人増)となっており、そのうちの十四人(四人増)が「気象・海象不注意」によるものでした。またプレジャーボートについては、死亡・行方不明者三四人のうち、転覆によるものが十八人(九人増)と最も多く、そのうちの九人(五人増)が「気象・海象不注意」によるものでした。
(3)領海内の海難船舶隻数及び死亡・行方不明者数
 船舶海難に伴う死亡・行方不明者数は増加
 領海内で発生した海難船舶隻数は二四四二隻(二〇四隻減)で、船舶海難に伴う死亡・行方不明者数は一二九人(四二人増)となっています。
2. 海難船舶の救助状況
 船舶・乗船者ともに高い割合で救助
(1)船舶の救助状況
 平成十四年に救助された海難船舶隻数は一四二五隻で、前年に比べ二二七隻減少しています。救助率を見てみると、平成十四年は八六%であり、ここ数年横ばいの状況となっています。
(2)乗船者の救助状況
 平成十四年に救助された海難船舶の乗船者数は四九七七人で、前年に比べ九〇七人減少しています。救助率を見てみると、平成十四年は九七%であり、ここ数年横ばいの状況となっています。
 *救助率=[救助された海難船舶乗船者数/(海難船舶の乗船者数−自力救助の乗船者数)]×一〇〇(%)
3. 人身事故の発作状況
 船舶からの海中転落に伴う死亡・行方不明者数が減少
(1)船舶海難によらない乗船者の人身事故
 船舶海難によらない乗船者の人身事故者数は九一五人で、前年に比べ四六人減少しています。このうち死亡・行方不明者数は二七五人で、前年に比べ三七人減少しています。
 事故内容別に見ると、負傷が四一三人(十三人減)(うち死亡・行方不明三一人(十六人減))と最も多くなっており、次いで病気二三一人(二四人増)(うち死亡・行方不明六六人(十三人増))、海中転落一七五人(四八人減)(うち死亡・行方不明一二一人(二八人減))となっています。
(2)海浜事故
イ マリンレジャーに伴う海浜事故
 マリンレジャーに伴う海浜事故者数は九三三人で、前年に比べ二五人増加しています。このうち死亡・行方不明者数は三二六人で、前年に比べ九人増加しています。
 事故内容別に見ると、遊泳中が三二九人(五四人増)(うち死亡・行方不明一三五人(六人増))と最も多く、次いで釣り中が二八六人(十八人減)(うち死亡・行方不明一二三人(二人減))となっています。
ロ マリンレジャーに伴わない海浜事故
 マリンレジャーに伴わない海浜事故者数は一〇五六人で、前年に比べ一〇七人増加しています。このうち死亡・行方不明者数は七九五人で、前年に比べ四九人増加しています。
 事故内容別に見ると、自殺が六六〇人(六九人増)(うち死亡・行方不明五四九人(三一人増))と最も多く、次いで海中転落が三二七人(五八人増)(うち死亡・行方不明二〇三人(十九人増))となっています。
4. 人身事故の救助状況
(1)船舶海難によらない乗船者の人身事故の救助状況
 平成十四年に救助された船舶海難によらない乗船者の人身事故者数は三三八人で、前年に比べ四四人増加しています。救助率は、ここ数年五〇%前後で推移しており、平成十四年は五五%でした。
(2)海浜事故の救助状況
 
船舶海難、人身事故の推移
(拡大画面:82KB)
 
 平成十四年に救助された海浜事故者数は七三一人で、前年に比べ四〇人増加しています。救助率は、ここ数年三〇%台で推移しており、平成十四年は三九%でした。
5. ライフジャケットの着用状況
 海中転落事故等におけるライフジャケットの着用状況は次表のとおりです。
 
ライフジャケット着用 事故者数 76
うち死亡・行方不明者数 21
生存率(%) 72
ライフジャケット未着用 事故者数 385
うち死亡・行方不明者数 224
生存率(%) 42
合 計 事故車数 461
うち死亡・行方不明者数 245
生存率(%) 47
 
 船舶海難によらない乗船者の海中転落等四六一人中七六人がライフジャケットを着用しており、着用率は十六%(前年十六%)でした。
 ライフジャケットの着用、未着用による生存率は、着用の生存率が七二%であるのに対し、未着用の生存率が四二%となっており、ライフジャケットの有効性がよく表れています。
 *生存率=[(事故者数−死亡・行方不明者数)/事故者数]×一〇〇%
6. 118番による通報状況
 118番通報の半数以上が携帯電話を使用
 118番により第一報を入手した事故は、船舶海難においては八七三隻で全体の三三%(前年三四%)、人身事故においては四八七人で全体の十七%(前年十八%)となっております。
 このうち、携帯電話を使用した通報は、船舶海難八七三隻中五九八隻(六八%)、人身事故四八七人中二七二人(五六%)となっています。
 
1. 船舶海難の発生状況
(1)平成14年の海難船舶隻数は2,633隻で咋年に比べ203隻減少
(2)プレジャーボートの海難は819隻で昨年に比べ338隻大幅減少
(3)船舶海難に伴う死亡・行方不明者数は177人で昨年に比べ25人増加
2. 人身事故の発生状況
(1)平成14年の人身事故者数は2,904人で咋年に比べ86人増加
(2)人身事故に伴う死亡・行方不明者数は1,396人で昨年に比べ21人増加
3. 118番による通報状況
(1)118番により通報(第1報)を受けたものは、船舶海難において全体の33%(873隻)、人身事故において17%(487人)
(2)118番で通報を受けた中で、携帯電話を使用したものは船舶海難において68%、人身事故で56%







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