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IMDC International Committee出席報告
正員 細田龍介*
1 概要
 平成14年10月23、24日、アテネ工科大学(NTUA : National Technical University of Athens)において開催された、IMDC国際委員会(International Marine Design Conference, International Committee)に出席し、平成14年5月5〜8日に開催される本会議運営計画の詳細に関する討議、将来の開催計画に関する討議および国際委員会主催のセミナーにおける講演を行った。
 
2 国際委員会報告
 国際委員会は、出席者が少なかったがChairmanのProf. Senの出席があったので国際委員会として開催することとなった。但し、国際委員会としての議事録は作らないことが承認された。Chairman P. Senの要請によりLocal Organizing Committee chairmanのProf. A. Papanikolaouの議長で進められた。
(1)委員会出席者および会議次第
国際委員会の出席者は以下の通りである。
Prof. P. Sen
(Chairman, Univ. of Newcastle, UK)(23日のみ出席)
Prof. A. Papanikolaou
(Chairman of Local Organizing Committee, NTUA, Greece)
Prof. S. Erichsen
(Univ. of Trondheim, Norway)
Ir. A. Arlbers
(Shipyard van der Geissen-de Noord, The Netherlands)
Prof. R. Hosoda
(Osaka Prefecture Univ., Japan)
Prof. P. Kaklis
(Secretary of Local Organizing Committee, NTUA, Greecc)
Prof. T. Loukakis
(NTUA, Local Organizing Committee, Greece)
Prof. K. Spyrou
(NTUA, Local Organizing Committee, Greece)
会議次第は以下の通り
   10/23
  
13:00〜17:00
  
本会議実施計画に関する討議
 
 
17:30〜19:00
 
国際委員会主催セミナー
 
 
20:00〜21:30
 
会食
   10/24
 
11:00〜13:00
 
IMDC将来計画に関する討議
 
 
13:00〜15:00
 
休憩
 
 
15:00〜16:30
 
研究施設見学
 
 
16:30
 
解散
(2)本会議実施計画について
(1)配付資料
(1)IMDC'03 Second Announcement and Call for Papers
(2)IMDC'03 Key-note Speakers
(3)List of accepted abstracts
(4)Statistics of accepted abstracts
(2)開催日時、場所
 配布資料(1)に基づいて、Conference secretaryが説明した。
 開催日時(May 5〜8.2002)には変更なし、但し、開催場所(The Astir Palace Resort Hotel)は料金が高いので、対岸のホテルに変更の可能性が高い(Local Organizing Committeeに一任することとなった)。
(3)発表論文数、セッション構成、論文の質等について
 配付資料(2)に基づいて、Conference secretaryが説明した。
 今回の応募論文総数は、130編余(取り消しを含む)であった。このうち、102件が講演可ということとなった。不可になった論文に関してはReviewerの意見に従ったことが報告された。各国からの論文数については配付資料参照、日本からの論文は12編(応募論文数不明)で韓国よりも少なかった。
 当初より30編近く多くの論文を受理することとなったので、2002年5月5日〜8日をfullに使い、3会場のpararell sessionとすることが提案され了承した。
(4)本会議登録料について
 配付資料は未作成であるが、Local Organizing Committeeより以下のように提案された。
      
一般参加者
550 EUR
 
学生
150 EUR
 
同伴者
150 EUR
 但し、早期登録料は10%Offを予定、学生に関してはSessionへの参加のみ、同伴者に関してはすべてのSocial Programへの参加費用が含まれる。
 この提案に対して、(i)本会議運営の採算に関する質問、(ii)Social Programの内容および採算性、(iii)2004年オリンピック開催に向けてすべての物価が高騰する可能性が高いがどのように考えるのか、等の質問があった。
 (i)に関しては、ギリシャは造船産業は大きくないので財政的援助は望めない。しかし海運会社は強いので援助を要請している。このために、Local Advisory Committee memberにギリシャの主要海運関係者に参加してもらっている。即ち、
Mr. S. Alexandratos
(Chairman, Hellenic Chamber of Shipping)
Mr. K. Chiou
(Chairman, Hellenic Register of Shipping)
Mr. C. V. Costadakopoulos
(Costamare Shipping)
Mr. G. Gratsos
(Chairman, Standard Bulk Transport Corporation)
Mr. S. Hatzigrigoris
(Technical Director. Kristen Navigation Inc.)
Mr. I. Lyras
(Chairman, Greek Shipowners Association)
Mr. A. Potamianos
(Chairman, Greek Passenger Shipowners Association)
Mr. P. Tsakos
(Founder of Tsakos Group)
との回答があり、了承された。但し、参加各国の造船所、海事協会等からの援助を要請して欲しいとの依頼があった。もし可能ならFinal Announcementに会社、機関名を載せたいとのことであった(出席者は帰国後打診することを約束した)。
 (ii)に関しては、ギリシャ国内には見学場所は豊富であるのでこれから調整する、また、費用に関しては不足分は(1)関連の援助から歳出予定である。
 Social Programの計画、運営に関してはInternational Committeeとして特別の動きはしないこととなっているので、今回もそのようにするとのことであった。
 (iii)に関しては、バルセロナオリンピックの時の例があり、深刻となる可能性があることは認識しているが、予定を変更することはしないと報告された。
(5)基調講演について
 基調講演に関しては6件が採択された。4件は会議期間中Technical sessionの前に毎日1件をBanquet時に、1件をClosing session時に行うことで了承された。具体的なprogram構成に関してはLocal Organizing Committeeに一任。講演題目と講演者は以下の通りである。
1. Design Methodology-Design Synthesis
 Mogens Myrup Andreasen, Professor, Technical Univ. of Denmark, Denmark
2. Innovative Ship Design-Can Innovative Ships be designed in a Methodological Way?!
 Kai Levander, Vice President, KVAERNER MASA Yards, Finland
3. Ship Design, production and yard operation based on information infrastructure
 Hiroyuki Yamato, Professor, University of Tokyo, Japan
4. Design for Safety
 Hartmut Hormann, Germanischer Lloyd, Germany
5. Design for Operation
 Georgios Gratsos, former President, Hellenic Chamber of Shipping, Greece
6. Naval Ship design
 Robert Keane, Naval Sea Systems Command, USA
(6)Full PaperのReviewについて
 Local Organizing Committeeより、Full paperのReviewをどうしようかとの意見聴取があり、本件は神戸で開催された第4回IMSDC(当時の名称)において確立されたIMDC独自の優れたシステムであるから復活させるべき(Prof. Erichsen, Prof. Hosoda)との主張か採択され、Full PaperのReviewが復活することとなった。Full Paperの提出期限が11月15日であるが、遅れるものもあると思われるので、International Scientific Committee memberはReviewを迅速に行うよう要請された。
(7)IMDC Home Pageの各国学協会Home PageとのLinkについて
 IMDC Home Pageを既にRINA、SNAME両学会のHome Pageとlinkしたことが報告された。この外の各国に対しても学協公のHome Pageとlinkしたい旨依頼がなされた。出席各委員は了承し、他の委員に対しては事務局からアプローチしてもらうこととなった。
(3)IMDCの将来計画について
 今回は国際委員会への出席者が少なかったため、IMDCとしての将来計画に関する議論は自由討議の形式をとらざるを得なかった。従って、国際委員会としての意志決定はなされなかった。但し、以下の点に関して議論がなされた。
(1)第9回IMDCの開催に関して
 IMDC2006の開催は、前回韓国慶州における国際委員会で米国ミシガン大学で開催されることになっているが、米国では既に第3回(1988)に開催されている。しかし、IMDC創始者の一人であり、永年Chairmanを務めたProf. Erichsenの出身国であるノルウェーでは未だ1度も開催されていない。米国開催の前に一度ノルウェー(Trondheim)で開催してはどうかとの提案(Prof. Hosoda)がなされた。全員反対はなかったが、少人数の国際委員会で決することはできないので、本会議時の国際委員会に再提案してもよいことが確認された。Prof. Erichsenからは何も意思表示はなされなかった。
(2)Full Paper Reviewの復活について
 今回復活した、Full Paper Reviewに関しては次回国際委員会で再確認し、今後は続けるべきであることが確認された。
(3)開催のための財政的措置について
 今までも何度か議題に上がっている問題であるが、スポンサーの確保、参加登録費からの積み立て、等々簡単にいかない問題であることを確認するに留まった。
 
3 国際委員会主催のセミナー
 国際委員会への出席者が少なく、発表できる資料を準備した委員は1名であったため、Pre-conferenceの形式にはなり得なかった。このため、予定を変更して、10月23日夕刻にセミナーと名称を変更して、細田が講演(90分)を行った。講演題目は、"Measurements of motion sickness incidence"(乗り物酔い発症メカニズムとその計測について)である。セミナー参加者は、国際委員会出席者を含めて約30名(NTUA教職員、学生を含む)講演に対する質問が3件あった。
 
4 おわりに
 今回の国際委員会で以下の印象を得た。
(1)IMDC'03の準備の進捗は一応順調であると感じた。
(2)Local Organizing Committeeは存在するが、実質はProf. A. Papanikolaouを中心に彼の研究室の秘書、staffが主として働いているようであった。
(3)造船は弱いが海運は強いギリシャの特質をアピールするべく努力していることがLocal Advisory Committeeの構成からも窺える。
(4)国際委員会の役割をはっきりさせようとする意向が窺えた。
(5)Internetを通じて全体の流れを国際委員会委員全員に逐次伝える方式は今後も採用すべきであろう。また、Home Pageからの論文応募、登録も時代の流れとして推進すべきであろうと思う。次に来るのは、ProceedingsのCD化であろうと思われる。
 なお、24日の委員会が11:00開始となったのは、筆者が遅刻したためである。遅刻の理由は、筆者の乗ったタクシーがNTUAの旧キャンパスに行ってしまったことによる。
 IMDC2003に関する詳しい情報は、日本造船学会ホームページ、その他の情報、国外会議の項、「第8回船舶・海洋システム設計に関する国際会議」リンク先
が登録されているのでこちらにアクセスされたい。
 
*大阪府立大学、日本造船学会造船設計・技術研究委員会委員長、IMDC国際委員会委員







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