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平成14年度
アジア・パシフィック地域各国のポートステートコントロール検査官初級研修
 
業務実施報告書
平成14年12月
財団法人 海外造船協力センター
 
はじめに
 財団法人 海外造船協力センター(以下「OSCC」という。)は、アジア・パシフィック地域各国のポートステートコントロール検査官の初級研修に関し、平成14年度に財団法人 東京エムオウユウ事務局(以下「TMS」という。)から第12回同研修(BTC12)の研修実施業務を受託した。これは平成7年度から平成13年度にかけて実施した研修(第1回から第11回まで総参加国数15ヵ国、総研修受講者数235名)に引き続き行うものである。
 なお、今回はTMS招聘による研修受講者10名に加え、国際海事機関(以下「IMO」という。)招聘による8名が参加した。
 この受託業務は、次のとおりである。
 
I 研修の実施
 
II 付帯業務
1. 研修受講者の宿泊
2. レクレーションの実施
3. その他これらに付帯する業務
 
 これらの受託業務の実施に際しては、国土交通省海事局及び同関東運輸局の懇切且適切なご指導をはじめ、財団法人 日本船舶振興会、社団法人 日本船主協会、石油海事協会ほか多数の関係各位の積極的なご協力とご支援を頂いた。ここに関係の皆様に深甚なる謝意を表する次第である。
 以下に、本研修の実施概要を受託業務の実施報告書として取りまとめた。
 
I. 研修の実施
1. 研修期間
 次の期間でわが国の休日等の制度に従って実施した。
 平成14年9月24日(火)から同10月11日(金)までの18日間
 
2. 研修受講者
 アジア・パシフィック地域の14ヵ国から研修受講者18名並びにトレーニングアシスタントとして国土交通省地方運輸局外国船舶監督官2名(10月3日(木)まで参加が1名、10月2日(水)から参加が1名)の合計20名が参加した。
 詳細は別紙1のとおりである。
(研修受講者名簿:別紙1)
 
(注)トレーニングアシスタントは、ポートステートコントロール(以下「PSC」という。)に係る専門知識を基に講師を補佐し、研修をより効果的にするため、TMSが国土交通省の協力を得て本研修に参加させた。
 
3. 研修カリキュラム
 研修は、研修期間中の休日を除き午前9時15分から午後4時45分(イブニングセッションを除く。)まで合計84時間(オリエンテーション、評価会等を含む。)実施した。
 座学では、PSCの実施に必要な国際条約及び関連決議の解釈と運用について、IMOモデルコース3.09に従って、各項目毎に、夫々の専門の講師が詳しく講義した。
 研修受講者の基礎知識を確認する為に、コースの初めに、PSC初期検査のシナリオを作成し、机上演習を行い、この結果、各研修受講者のレベルが把握できた。
 船上での実習として、オイルタンカーとコンテナ船で夫々模擬PSC検査を実施した。
 膨張式救命いかだのサービスステーションヘ訪問し、いかだの年次検査の要領について学んだ。
 研修開始時に、夫々の国のPSC状況を研修受講者から発表させた。また、研修終了時には、研修中に作成したスタディレポートを各研修受講者から発表させた。
(研修コースタイムテーブル:別紙2
 
4. 教材
(1)教材として次の図書を中心に使用した。
(1)PSC Manual 2001年版及び部分改正
(2)IMO条約集(計12冊)
・SOLAS 74/78(Consolidated edition 2001)
・SOLAS Amendments 2000
・FSS Code
・LSA Code
・ISM Code
・IBC Code(1998 edition)
・MARPOL 73/78(Consolidated edition 2002)
・International Load Lines,1966
・Supplement to ICLL,1966
・1988 Protocol to ICLL,1966
・COLREG 1972(1990 edition)
・STCW 1978 as amended(1997 edition)
 
5. 講師
 研修は、内外の関係官庁、船級協会及び関係機関等各分野の専門家である20名の講師で分担して実施した。
(講師名簿:別紙3)
6. ON THE JOB TRAINING(OJT)
 関東運輸局で作成したOJT実施要領(別紙4)及びOSCCで作成したOJTガイドライン(別紙5)に従って次の船舶について模擬臨検を実施した。
(1)新世丸 106,000 DWT オイル・タンカー、日本国籍
 10月7日(月)於新日本石油精製(株)根岸製油所構内
(2)Fremantle Bridge 1,062 TEU コンテナ船、パナマ国籍
 10月8日(火)於大井埠頭
 実施に先立ち、関東運輸局外国船舶監督官から研修受講者全員に、OJTの趣旨を説明し乗船した。先ず、サロンにおいて、船長から本船の各種条約証書及び資料の提示を受け、内容の検査した。
 その後、操舵室、端艇甲板、上甲板、操舵機室、機関室、居住区の検査をして再びサロンに戻った。関束運輸局で予め用意したチェックリストを研修受講者各自に渡し、記入させた。
 船上の模擬臨検は2時間を設定し、関東運輸局外国船舶監督官とOSCC講師が適宜、指導と助言をした。
 OJTの実施については、安全確保のため船舶が接岸するバース関係者との事前の連絡を密にし、安全対策等についてその指示に従った。また、研修受講者に船舶、特にタンカー等危険物を運搬する船舶への立入時の安全対策について指導した。
 なお、外国船に立ち入るために必要な税関手続きは、関東運輸局外国船舶監督官の立入手続きと併せて、関東運輸局が行った。
(平成14年度PSCオンザジョブトレーニング実施要領及びOJTガイドライン:別紙4及び別紙5)
 
7. テクニカルビジット
 次のとおりテクニカルビジットを実施した。
10月9日(水)
株式会社 マリン・インターナショナル
(横浜市金沢区富岡東二丁目2番49号)
・FRP救命艇整備場
 
 株式会社マリン・インターナショナルでは、膨張式救命いかだ等船舶の安全設備に大きく関係する製品の整備をしており、当日は施設及び製品を見学した後、工場担当者と技術的な意見の交換を行い、関係設備の知識と理解を深めた。
 
8. スタディーレポート
 研修開始時に、内部講師が各研修受講者から特に関心のある項目について聴取し、各人のレポートの課題を決め、きめ細かい指導の基に研修期間中にレポートを作成させ、最終日に一人一人に内容を発表させた。
(スタディーレポートの課題:別紙6)
 
9. イブニングセッション
 ポートステートコントロールの必要性、現状等の理解をさらに深めるとともに、研修受講者相互及び講師並びにTMS及びOSCCの担当者との意見の交換のため、イブニングセッションを下記のとおり開催した。
 
9月27日(金)午後5時00分から約2時間







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