日本財団 図書館




 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成14年神審第68号
件名

貨物船第二大真丸乗揚事件

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年12月12日

審判庁区分
神戸地方海難審判庁(村松雅史、内山欽郎、前久保勝己)

理事官
清重 隆彦

受審人
A 職名:第二大真丸船長 海技免状:三級海技士(航海)
B 職名:第二大真丸一等航海士 海技免状:五級海技士(航海)

損害
船底外板に凹損及びき裂

原因
居眠り運航防止措置不十分

主文

 本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。
 受審人Bを戒告する。
 
理由

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年11月8日04時23分
 和歌山県市江埼北東岸

2 船舶の要目
船種船名 貨物船第二大真丸
総トン数 498トン
全長 78.67メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 1,471キロワット

3 事実の経過
 第二大真丸(以下「大真丸」という。)は、船尾船橋型鋼製貨物船で、A、B両受審人ほか2人が乗り組み、鋼材1,350トンを積載し、船首2.91メートル船尾4.75メートルの喫水をもって、平成13年11月7日21時30分大阪港を発し、北海道苫小牧港に向かった。
 これより先、B受審人は、07時00分から21時20分までの積荷役中、休息をとれる状況であったものの、十分な休息をとらず、荷役作業の合間にも1人で、自発的に甲板機械のグリースアップなどの整備作業に従事していた。
 一方、A受審人は、B受審人の船橋当直が深夜の時間帯で、積荷役の終了が遅れ、発航が夜遅くなると予想されたので、積荷役中、たびたびB受審人に休息を促したが、同人が十分な休息をとらずに荷役作業と整備作業に従事していたことを知っていた。
 A受審人は、船橋当直を単独6時間交替制に定め、発航操船に引き続いて船橋当直に当たり、23時10分大阪府深日港西方沖合で、B受審人に船橋当直を引き継ぐこととし、同人が積荷役中、十分な休息をとっていないことを知っていたが、自分より経験が豊富なので指示するまでもないと思い、当直中に居眠りすることのないよう立って当直に当たるなど、居眠り運航の防止措置について厳重に指示することなく降橋した。
 その後、B受審人は、単独で船橋当直に就いたが、積荷役中、十分な休息をとらなかったのに、当直前に仮眠したので当直中に居眠りすることはないと思い、しばらくして、船橋内に暖房を入れ、操舵輪後方のいすに腰掛けた姿勢で当直を続けた。
 翌8日02時10分B受審人は、紀伊日ノ御埼灯台(以下「日ノ御埼灯台」という。)から270度(真方位、以下同じ。)2.7海里の地点で、針路を134度に定めて自動操舵とし、機関を全速力前進にかけ、11.7ノットの対地速力で進行中、02時45分日ノ御埼灯台から155度5.4海里の地点に達したとき、船位が予定針路線より右方にあったので、座ったまま自動操舵で針路を131度に転じた。
 こうして、B受審人は、立って当直に当たるなど、居眠り運航の防止措置をとることなく、暖房の効いた船橋内でいすに腰掛けたまま同じ姿勢で当直しているうち、いつしか居眠りに陥り、和歌山県市江埼北東岸に向首する針路のまま続航中、04時23分市江埼灯台から307度850メートルの地点において、大真丸は、原針路原速力のまま市江埼北東岸に乗り揚げた。
 当時、天候は晴で風力1の北西風が吹き、潮候は低潮時であった。
 A受審人は、乗揚の衝撃を感じて昇橋し、事後の措置に当たった。
 乗揚の結果、船底外板に凹損及びき裂を生じたが、のち修理された。

(原因)
 本件乗揚は、夜間、居眠り運航の防止措置が不十分で、和歌山県市江埼北東岸に向首する針路のまま進行したことによって発生したものである。
 運航が適切でなかったのは、船長が一等航海士に対して、居眠り運航の防止措置について厳重に指示しなかったことと、一等航海士が居眠り運航の防止措置をとらなかったこととによるものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、夜間、一等航海士に船橋当直を引き継ぐ場合、同航海士が、積荷役中、十分な休息をとっていないことを知っていたのだから、当直中に居眠りすることのないよう、立って当直に当たるなど、居眠り運航の防止措置について厳重に指示すべき注意義務があった。しかるに、同人は、一等航海士は自分より経験が豊富なので指示するまでもないと思い、居眠り運航の防止措置について厳重に指示しなかった職務上の過失により、一等航海士がいつしか居眠りに陥り、和歌山県市江埼北東岸に向首する針路のまま進行して乗揚を招き、船底外板に凹損及びき裂を生じさせるに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。
 B受審人は、夜間、単独の船橋当直に就く場合、積荷役中、十分な休息をとらなかったから、当直中に居眠りすることのないよう、立って当直に当たるなど、居眠り運航の防止措置をとるべき注意義務があった。しかるに、同人は、当直前に仮眠したので、当直中に居眠りすることはないと思い、居眠り運航の防止措置をとらなかった職務上の過失により、いつしか居眠りに陥り、和歌山県市江埼北東岸に向首する針路のまま進行して乗揚を招き、前示の損傷を生じさせるに至った。
 以上のB受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

 よって主文のとおり裁決する。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION