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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成14年横審第50号
件名

プレジャーボートアリエル乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年8月29日

審判庁区分
横浜地方海難審判庁(森田秀彦)

理事官
釜谷奬一

受審人
A 職名:アリエル船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
バラストキールに亀裂と欠損、舵板を曲損し、操船不能

原因
針路選定不適切

裁決主文

 本件乗揚は、針路の選定が適切でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年8月4日14時20分
 渥美湾佐久島

2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボートアリエル
全長 10.52メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 17キロワット

3 事実の経過
 アリエルは、帆走設備及び船底からの深さが約1.5メートルのバラストキールを有し、補助機関を装備したFRP製プレジャーヨットで、A受審人が1人で乗り組み、友人8人を乗せ、クルージングの目的で、船首尾とも0.3メートルの喫水をもって、平成13年8月4日10時00分愛知県知多半島南部の大井漁港を発し、渥美湾西部の同県佐久島漁港に向かった。
 A受審人は、機走で出港したのち、広い海域に出たところで帆走に切り替えて師崎水道を南下し、伊良湖岬灯台の北北西方2.7海里の地点で反転し、佐久島漁港に向けて中山水道を北上した。
 ところで、佐久島漁港太井ノ浦地区への開口部は、西側の佐久島港太井ノ浦灯標(以下「太井ノ浦灯標」という。)と東側の筒島とによって可航幅約100メートルの、南側に開いた水路となっており、また、筒島南端から南方にかけては約300メートルにわたって浅所が拡延し、この水路の通過に当たっては太井ノ浦灯標に接近して航行する必要があった。そして、A受審人は、何度も同水路を航行したことがあったので、前示浅所の存在については知っていた。
 A受審人は、中山水道を航過し、篠島東方沖合に至ったころ、風が凪いで(ないで)きたので帆走を中止して機走で航行することとし、13時44分太井ノ浦灯標から203度(真方位、以下同じ。)2.4海里の地点において、機関を半速力前進にかけ、4.0ノットの速力で針路を筒島西端に向首する025度に定め、手動操舵によって進行した。
 14時17分A受審人は、太井ノ浦灯標から181度500メートルの地点に至り、平素よりやや東寄りに偏位していることに気付いたが、原針路のまま進行しても筒島南方の浅所の西側を何とか航過できるものと思い、同浅所を安全に航過できるよう、速やかに転針して太井ノ浦灯標に接近した針路とするなど適切な針路の選定を行うことなく続航し、14時20分アリエルは、太井ノ浦灯標から128度200メートルの地点において、原針路、原速力のまま、浅所に乗り揚げた。
 当時、天候は晴で風力4の西北西風が吹き、潮候は上げ潮の初期であった。
 乗揚の結果、バラストキールに亀裂と欠損を生じ、舵板を曲損して操船不能となり、海上保安庁の巡視船によって佐久島漁港に引き付けられ、のち修理された。

(原因)
 本件乗揚は、愛知県佐久島漁港太井ノ浦地区に向かう際、針路の選定が不適切で、浅所に向首進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、愛知県佐久島漁港太井ノ浦地区に向かう場合、筒島南方の浅所を安全に航過できるよう、太井ノ浦灯標に接近した針路とするなど適切な針路の選定を行うべき注意義務があった。しかるに同人は、原針路のまま進行しても同浅所の西側を何とか航過できるものと思い、適切な針路の選定を行わなかった職務上の過失により、浅所に向首進行して乗揚を招き、バラストキールに亀裂と欠損を生じさせ、舵板を曲損させるに至った。





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