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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成14年長審第20号
件名

漁船拓漁乗揚事件

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年7月31日

審判庁区分
長崎地方海難審判庁(半間俊士、道前洋志、寺戸和夫)

理事官
弓田

受審人
A 職名:拓漁船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
船首部船底に亀裂及び凹損

原因
居眠り運航防止措置不十分

主文

 本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

理由

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年8月17日06時00分
 長崎県平戸島南方高島

2 船舶の要目
船種船名 漁船拓漁
総トン数 15トン
登録長 16.35メートル
機関の種類 ディーゼル機関
漁船法馬力数 160

3 事実の経過
 拓漁は、中型まき網漁業の灯船として従事する軽合金製漁船で、A受審人が1人で乗り組み、船首0.5メートル船尾1.8メートルの喫水をもって、操業の目的で、平成13年8月16月12時00分僚船と共に基地である長崎県太郎ヶ浦漁港を発し、同県宇久島東方の漁場に向かった。
 14時00分A受審人は、漁場に至って魚群探索を行い、翌17日03時から05時まで集魚を行ったが思わしくなく、僚船の集魚も思わしくなかったので、操業を終了して基地に帰港することとした。
 05時15分A受審人は、肥前長崎鼻灯台から053度(真方位、以下同じ。)4.5海里の漁場を発し、針路を平戸島南方の高島と尾上島の間に向首する147度に定め、機関を全速力前進にかけ、折からの1.5ノットばかりの北流に抗して3度左方に圧流されながら13.0ノットの対地速力で、自動操舵により進行した。
 A受審人は、操舵輪後方の座板に座って当直に当たっていたところ、05時38分ごろ前路に他船が見当たらなくなったことから眠気を催すようになったが、盆休み後の初めての出漁で休養が十分であったのでまさか居眠りに陥ることはないものと思い、手動操舵に切り替えたうえ、立ち上がって操舵するなど居眠り運航の防止措置をとることなく、同じ態勢で当直を続けているうちいつしか居眠りに陥った。
 A受審人は、平戸島南方の高島に向首していることに気付かないまま続航し、06時00分尾上島灯台から019度1,300メートルの高島北岸の浅所に、原針路、原速力のまま乗り揚げた。
 当時、天候は晴で風力2の北東風が吹き、潮候はほぼ高潮時であった。
 乗揚の結果、船首部船底に亀裂及び凹損を生じたが、付近を航行中の漁船により引き降ろされ、のち修理された。

(原因)
 本件乗揚は、長崎県宇久島東方漁場から同県太郎ヶ浦漁港に帰航する際、居眠り運航の防止措置が不十分で、平戸島南方の高島に向けて進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、長崎県宇久島東方漁場から同県太郎ヶ浦漁港に向け帰航中、自動操舵で座板に腰を掛けて船橋当直に当たっているときに眠気を催した場合、手動操舵に切り替えたうえ、立ち上がって当直に当たるなど居眠り運航の防止措置をとるべき注意義務があった。しかるに、同人は、盆休み後の初めての出漁で休養が十分であったところからまさか居眠りに陥ることはないものと思い、居眠り運航の防止措置をとらなかった職務上の過失により、居眠りに陥り、陸岸に向首したまま進行して乗揚を招き、船首部船底に亀裂及び凹損を生じさせるに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては、 海難審判法第4条第2項の規定により、 同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

 よって主文のとおり裁決する。 





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