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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成14年神審第11号
件名

貨物船第五早矢丸乗揚事件

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年6月25日

審判庁区分
神戸地方海難審判庁(阿部能正、黒田 均、村松雅史)

理事官
加藤昌平

受審人
A 職名:第五早矢丸次席一等航海士 海技免状:五級海技士(航海)(履歴限定)

損害
船底に凹損及び破口等

原因
居眠り運航防止措置不十分

主文

 本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aの五級海技士(航海)の業務を1箇月停止する。

理由

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年5月13日04時10分
 播磨灘北西部大蛭島

2 船舶の要目
船種船名 貨物船第五早矢丸
総トン数 495トン
全長 70.50メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 735キロワット

3 事実の経過
 第五早矢丸(以下「早矢丸」という。)は、船尾船橋型砂利運搬船で、A受審人ほか2人が乗り組み、空倉のまま船首0.9メートル船尾3.5メートルの喫水をもって、海砂採取の目的で、平成13年5月13日02時00分兵庫県坊勢港を発し、岡山県竪場島南方海域に向かった。
 これより先、早矢丸は、休養の目的で、12日08時45分坊勢港に入航し、13日01時50分ごろ上陸した乗組員が帰船して発航したものであった。
 02時30分A受審人は、家島諸島の西島北東岸沖合で、単独の船橋当直に就き、播磨灘北西部を西行し、03時25分備前黄島灯台から218度(真方位、以下同じ。)1.5海里の地点において、針路を大蛭島と井島との中間に向く243度に定めて自動操舵とし、機関を全速力前進にかけ、12.0ノットの対地速力で進行した。
 A受審人は、操舵輪後方のいすに座って見張りに当たっていたところ、前方に2隻の反航船を認め、左舷側に替わすこととし、03時54分大蛭島灯柱から067度3.3海里の地点に達したとき、自動操舵のまま同灯柱の灯光を正船首少し左に見る248度の針路に転じた。
 そのまま、A受審人は、いすに座って当直を続けるうち、眠気を催したが、まさか居眠りすることはないと思い、居眠り運航とならないよう、外気に当たるなど、居眠り運航の防止措置を十分にとることなく、同じ姿勢で当直を続けていたところ、いつしか居眠りに陥った。
 こうして、早矢丸は、大蛭島に向首する針路のまま続航中、04時10分大蛭島灯柱から014度190メートルの大蛭島北岸に、原針路原速力のまま乗り揚げた。
 当時、天候は晴で風はほとんどなく、潮候は下げ潮の初期であった。
 乗揚の結果、船底に凹損及び破口を生じ、プロペラに欠損及び曲損を生じたが、サルベージ船によって引き下ろされ、のち修理された。

(原因)
 本件乗揚は、夜間、播磨灘北西部を西行中、居眠り運航の防止措置が不十分で、大蛭島に向首する針路のまま進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、夜間、単独の船橋当直に就いて播磨灘北西部を西行中、眠気を催した場合、いすに座っていると居眠りに陥るおそれがあったから、居眠り運航とならないよう、外気に当たるなど、居眠り運航の防止措置をとるべき注意義務があった。しかるに、同人は、まさか居眠りすることはないと思い、居眠り運航の防止措置をとらなかった職務上の過失により、いつしか居眠りに陥り、大蛭島に向首する針路のまま進行して乗揚を招き、船底に凹損及び破口を生じさせ、プロペラを欠損及び曲損させるに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第2号を適用して同人の五級海技士(航海)の業務を1箇月停止する。

 よって主文のとおり裁決する。 





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