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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成13年長審第76号
件名

引船第八富丸引船列乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年3月18日

審判庁区分
長崎地方海難審判庁(亀井龍雄)

副理事官
尾崎安則

受審人
A 職名:第八富丸船長 海技免状:六級海技士(航海)

損害
プロペラを曲損、機関等を濡損

原因
船位確認不十分

裁決主文

 本件乗揚は、船位の確認が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年4月5日19時40分
 長崎県松島水道

2 船舶の要目
船種船名 引船第八富丸 台船S−512
総トン数 80.45トン  
全長 23.24メートル 30.0メートル
  12.0メートル
深さ   2.2メートル
機関の種類 ディーゼル機関  
出力 551キロワット  

3 事実の経過
 第八富丸(以下、「富丸」という。)は、船首船橋型鋼製引船で、A受審人ほか2人が乗り組み、鋼材50トンを積載して船首尾とも0.44メートルの喫水となった無人の台船S−512を引き、富丸の船尾から台船後端までの長さを87メートルの引船列とし、平成13年4月5日18時20分船首1.65メートル船尾2.70メートルの喫水で長崎県肥前大島港を発し、長崎港に向かった。
 A受審人は、自ら操船して離岸し、寺島水道を南下したのち、松島水道に向かい、19時30分松島港松島防波堤灯台から063度(真方位、以下同じ。)1.0海里の地点で針路を158度に定め、機関を全速力前進にかけ、6.0ノットの対地速力で、手動操舵によって進行した。
 19時35分A受審人は、松島港釜ノ浦防波堤灯台から029度0.64海里の地点に達したとき、左舷前方の鼠瀬との距離が0.5海里となり、そのまま進行すると同瀬に著しく接近する状況となったが、右舷方のワリ瀬から離れることに気を取られ、鼠瀬との離隔距離を確認できるよう、船位の確認を十分に行わなかったので、この状況に気付かずに続航した。
 A受審人は、右舷方のワリ瀬灯浮標の方を見ながら進行し、19時40分鼠瀬灯標から270度30メートルの地点において、同瀬に原針路、原速力のまま乗り揚げた。
 当時、天候は晴で風はほとんどなく、潮候は下げ潮の初期でほぼ憩流時であった。
 乗揚の結果、プロペラを曲損し、横転水没により機関等を濡損したが、台船には損傷がなかった。

(原因)
 本件乗揚は、夜間、多数の浅礁が存在する松島水道を航行中、船位の確認が不十分で、鼠瀬に著しく接近したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、夜間、多数の浅礁が存在する松島水道を航行する場合、浅礁との離隔距離を確認できるよう、船位の確認を十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、右舷方の浅礁から離れることに気を取られ、左舷方の浅礁との離隔距離を確認するなど船位の確認を十分に行わなかった職務上の過失により、鼠瀬に著しく接近して乗揚を招き、プロペラを曲損したほか、横転水没により機関等を濡損させるに至った。





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