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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成13年広審第107号
件名

プレジャーボートビブレIII乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年3月27日

審判庁区分
広島地方海難審判庁(中谷啓二)

理事官
道前洋志

受審人
A 職名:ビブレIII船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
船尾部船底外板に亀裂し浸水
同乗者1人が腰部に打撲傷

原因
針路保持不十分

裁決主文

 本件乗揚は、針路の保持が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年8月18日14時25分
 広島湾厳島沿岸

2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボートビブレIII
全長 9.33メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 113キロワット

3 事実の経過
 ビブレIIIは、FRP製のプレジャーボートで、A受審人が1人で乗り組み、家族や職場の同僚8人を乗せ、レジャーの目的で、船首0.3メートル船尾1.1メートルの喫水をもって、平成13年8月18日08時30分広島県佐伯郡大野町のマリーナを発し、厳島南東岸の養父崎浦(やぶさきうら)に向かった。
 A受審人は、大野瀬戸から厳島の西岸沿いに南下して同島南端の革篭埼(こうござき)を経由する進路をとり、途中、革篭埼(こおござき)の北西方約800メートルに位置する可部島沿岸に寄せて魚釣りをしたのち、11時ごろ養父崎浦(やぶさきうら)沖に至って魚釣りや海水浴を楽しんだ。
 14時10分A受審人は、帰途に就くこととし、養父埼の沖100メートルばかりの地点を発進し、同時20分革篭埼(こうござき)を回り込んで可部島島頂から120度(真方位、以下同じ。)770メートルの地点に達したとき、それまでも船首目標として常用していた大野瀬戸西岸に建つ白色の建物に向けて針路を328度に定め、6.0ノットの対地速力で、厳島西岸に沿い手動操舵で進行した。
 ところで厳島西岸の可部島と向かい合う付近では、300メートルばかり沖まで干出岩が存在する浅礁が続いており、同付近と可部島間は可航幅が約250メートルの水路になっていた。そして、A受審人は、この付近の航行経験が豊富にあり、浅礁に接近しないよう、前示の船首目標により同水路のほぼ中央を進行することとしていた。
 14時22分A受審人は、可部島間の水路に近づいたころ、右舷前方約500メートルの浅礁上の岩場周辺で数人のダイバーが潜水を行っているのを認め、その方に気をとられて船首目標から目を離し、その際操舵の手元が狂いわずかに右舵をとった状態になったが、このことに気付かず、浅礁に接近しないよう、すぐに船首目標に目を戻すなどして保針に努めることなく続航した。
 こうしてビブレIIIは、徐々に船首が右偏して浅礁に接近し、A受審人が船首目標から目を離したまま続航中、ふと岩場の視認具合でいつもより右方に寄っていることに気付いたころ、14時25分可部島島頂から033度600メートルの地点で、350度に向首して原速力のまま浅礁に乗り揚げ、これを擦過した。
 当時、天候は晴で風はほとんどなく、ほぼ低潮時にあたり、潮高は31センチメートルであった。
 乗揚の結果、船尾部船底外板に亀裂を生じて浸水したが付近の海岸に任意座州し、同乗者1人が腰部に打撲傷を負った。

(原因)
 本件乗揚は、広島湾厳島沿岸を手動操舵により航行する際、針路の保持が不十分で、浅礁に接近したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、広島湾厳島西岸において、浅礁の存在する水路を航行する場合、浅礁に接近することのないよう、定めた船首目標に従って保針に努めるべき注意義務があった。しかるに、同人は、右舷前方に視認したダイバーに気をとられ、保針に努めなかった職務上の過失により、浅礁に接近して乗揚を招き、船尾部船底外板に亀裂を生じさせ、同乗者1人に打撲傷を負わせるに至った。





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