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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成13年神審第113号
件名

漁船大和丸乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年3月13日

審判庁区分
神戸地方海難審判庁(小金沢重充)

副理事官
蓮池 力

受審人
A 職名:大和丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
指定海難関係人
B 職名:大和丸甲板員

損害
船底外板に亀裂、推進器翼等に曲損

原因
居眠り運航防止措置不十分

裁決主文

 本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年5月29日04時50分
 京都府舞鶴港

2 船舶の要目
船種船名 漁船大和丸
総トン数 14.94トン
全長 20.70メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 478キロワット

3 事実の経過
 大和丸は、小型底びき網漁業に従事するFRP製漁船で、A受審人及びB指定海難関係人ほか3人が乗り組み、操業の目的で、船首1.3メートル船尾1.8メートルの喫水をもって、平成13年5月28日00時00分京都府舞鶴港を発し、同港北方沖合28海里付近の漁場に至って操業し、かれい約1トンを獲り、翌29日02時05分同漁場を発進して帰途に就いた。
 A受審人は、船橋当直を操業中自らが、片道約2時間半の漁場との往復航行中には4人の乗組員が輪番制でそれぞれ単独で行う体制をとっていた。
 ところで、操業は、投網、曳網及び揚網に約2時間かかる1回の一連作業を一昼夜連続で10回ほど繰り返して行うもので、甲板作業にあたる乗組員は、曳網中約40分間の休息を取れる就労に従事していた。
 A受審人は、漁場発進後、単独で船橋当直に就き、新井埼沖1海里付近へ向け南下し、02時30分経ケ岬の北北東方7海里付近に達したとき、前示の甲板作業を終えて昇橋してきたB指定海難関係人に船橋当直を行わせることとしたが、同指定海難関係人が単独の同当直を長年経験し、いつものことなので、特に注意を与えるまでもないと思い、眠気を催したときには報告するよう指示することなく、船橋当直を任せて、自室で休息した。
 B指定海難関係人は、単独の船橋当直を引き継ぎ、舵輪後方に置いたいすに腰掛けて続航し、03時43分丹後鷲埼灯台から035度(真方位、以下同じ。)2.2海里の地点に達したとき、針路をGPSプロッターに表示されている180度に定め、機関を全速力前進にかけ、9.1ノットの対地速力で、風潮流により右方へ1度圧流されながら自動操舵により進行した。
 04時36分B指定海難関係人は、博奕岬灯台から313度1.1海里の地点に至ったとき、舞鶴港まであとわずかとなり急に眠気を催したが、同港へ向かう転針地点が近く、よもや居眠りすることはないと思い、A受審人に報告するなど、居眠り運航の防止措置をとることなく続航中、間もなく居眠りに陥った。
 大和丸は、舞鶴港の金ケ埼海岸に向首したまま進行し、04時50分博奕岬灯台から210度1.6海里の地点において、原針路原速力のまま、同海岸に乗り揚げた。
 当時、天候は晴で風力2の南風が吹き、潮候は上げ潮の中央期であった。
 乗揚の結果、船底外板に亀裂を伴う損傷及び推進器翼等に曲損を生じたが、のち修理された。

(原因)
 本件乗揚は、沖合漁場から京都府舞鶴港へ向け帰航中、居眠り運航の防止措置が不十分で、同港の金ケ埼海岸に向首したまま進行したことによって発生したものである。
 運航が適切でなかったのは、船長が、無資格の船橋当直者に対し、眠気を催した際の報告を指示しなかったことと、同船橋当直者が、眠気を催した際、船長に報告しなかったこととによるものである。

(受審人等の所為)
 A受審人は、沖合漁場から京都府舞鶴港へ向け帰航中、B指定海難関係人に船橋当直を行わせる場合、居眠り運航とならないよう、眠気を催したときには報告するよう指示すべき注意義務があった。しかるに、同受審人は、B指定海難関係人が単独の船橋当直を長年経験していたことから、特に注意を与えるまでもないと思い、眠気を催したときには報告するよう指示しなかった職務上の過失により、B指定海難関係人が居眠りに陥って居眠り運航となり、金ケ埼海岸に向首進行して乗揚を招き、船底外板に亀裂を伴う損傷及び推進器翼等に曲損を生じさせるに至った。
 B指定海難関係人が、沖合漁場から舞鶴港へ向け帰航中、単独の船橋当直中に眠気を催した際、船長に報告しなかったことは、本件発生の原因となる。  





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