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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成13年横審第77号
件名

プレジャーボート海明丸乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年3月15日

審判庁区分
横浜地方海難審判庁(葉山忠雄)

理事官
古川 隆一

受審人
A 職名:海明丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
船底に擦過傷

原因
船位確認不十分

裁決主文

 本件乗揚は、船位の確認が不十分であったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成12年10月22日16時15分
 静岡県御前埼西方海岸

2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボート海明丸
登録長 8.89メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 110キロワット

3 事実の経過
 海明丸は、FRP製プレジャーボートで、A受審人が船長として乗り組み、知人2人を同乗させ、釣りの目的で、船首0.35メートル船尾0.75メートルの喫水をもって、平成12年10月22日07時30分静岡県吉田漁港を発し、御前埼南西方沖合の釣り場に向かった。
 A受審人は、08時45分釣り場に着いて機関を中立とし、漂泊して釣りを始め、その後、風力が増したので、11時00分ごろ御前埼灯台から207度(真方位、以下同じ。)11.5海里の地点に錨を投じて釣りを続け、イサキなど約32キログラムを獲て釣りをやめ、15時00分同地点を発進して吉田漁港に向け帰港の途に就いた。
 ところで、海明丸は、主として御前埼沖合で釣りを行い、吉田漁港への帰港方法は、レーダーを装備していないことから、釣り場とGPSに設定された同漁港を示す定点との方位線によって進行し、顕著な陸地の目標を視認してから沿岸を航行するものであった。
 こうしてA受審人は、発進時、自ら操舵に当たり、機関を半速力前進に掛け、針路を前示方位線である020度に定めたが、折からの西方に向く海潮流によって012度の進路となり、9.1ノットの対地速力で進行した。
 A受審人は、陸地の目標を見つけようと操舵輪の後方に立って前方を見張りながら続航するうち、16時00分ごろ御前埼灯台から249度3.7海里の地点に達したとき、霧雨により視界が約50メートルに狭められ陸地の目標を視認できない状況となって進行し、同時07分同灯台から266度3.2海里の地点で陸地にほぼ平行する20メートル等深線をほぼ直角に横切ったが、前方の陸地を視認することに気を取られ、作動中の魚群探知機の水深を注視するなどして、船位の確認を十分に行うことなく続航した。
 16時13分御前埼灯台から282度3.2海里の地点に達したとき、A受審人は、5メートル等深線を横切ったものの、依然、前方の陸地を見つけようとしていて船位の確認が不十分のまま、御前埼西方の海岸に向かって進行中、16時15分御前埼灯台から287度3.1海里の地点の砂浜に、原針路、原速力で乗り揚げた。
 当時、天候は霧雨で風力3の北東風が吹き、潮候は下げ潮の初期で、視程は約50メートルであった。
 A受審人は、船体が停止して乗り揚げたことに気付き、事後の措置に当たった。
 乗揚の結果、海明丸は船底に擦過傷を生じ、漁船によって御前埼港に引き付けられ、のち、吉田漁港に搬送されて修理された。

(原因)
 本件乗揚は、霧雨により視界が制限された静岡県御前埼西方沖合を北上中、船位の確認が不十分で、前方の海岸に向け進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、霧雨により視界が制限された静岡県御前埼西方沖合を北上する場合、陸地への接近模様が分かるよう、作動中の魚群探知機の水深を注視するなどして、船位の確認を十分に行うべき注意義務があった。しかしながら、同受審人は、前方の陸地を視認することに気を取られ、船位の確認を十分に行わなかった職務上の過失により、海岸に向首進行して乗り揚げ、船底に擦過傷を生じさせるに至った。





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