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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成13年函審第57号
件名

漁船第三十六寶來丸乗揚事件

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年2月15日

審判庁区分
函館地方海難審判庁(織戸孝治、安藤周二、工藤民雄)

理事官
堀川康基

受審人
A 職名:第三十六寶來丸船長 海技免状:五級海技士(航海)(旧就業範囲)

損害
船底外板に凹損等

原因
船位確認不十分

主文

 本件乗揚は、船位の確認が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

理由

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年8月14日01時30分
 北海道亀田郡恵山町

2 船舶の要目
船種船名 漁船第三十六寶來丸
総トン数 138トン
全長 38.71メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 603キロワット

3 事実の経過
 第三十六寶來丸(以下「寶來丸」という。)は、専らいか一本釣り漁業に従事する鋼製漁船で、A受審人ほか6人が乗り組み、操業の目的で、平成13年7月26日21時00分石川県小木港を発して大和堆及び武蔵堆の漁場で操業後、北海道浦河沖の漁場に移動して操業し、いか約75トンを漁獲したところで水揚げのため、船首2.0メートル船尾3.7メートルの喫水をもって、翌8月13日18時00分同漁場を発し、北海道函館港に向かった。
 発進後、A受審人は、1人で操舵操船に当たり、機関をほぼ全速力前進にかけ、自動操舵により西行し、翌14日01時05分恵山岬灯台から091度(真方位、以下同じ。)1.7海里の地点に達したとき、自動操舵により針路を恵山岬西方の恵山町に向く240度に定め、7.4ノットの対地速力で進行した。
 定針後、A受審人は、暫く同針路で進行し、距岸0.7海里となったときに転針して津軽海峡を陸岸沿いに目的地に向かう予定で、転針までの間に定針前から始めていた漁獲量の帳簿整理作業を終わらせようと思い、操舵室後方の無線室に入り、椅子に腰を掛けて同作業を行った。
 そしてA受審人は、01時13分恵山岬灯台から120度1.0海里の地点に達し、距岸0.7海里となりその後陸岸に向首接近する状況となったが、同作業に没頭してレーダーなどにより船位の確認を行わず、このことに気付かないで続航した。
 こうして寶來丸は、予定の転針が行われないまま、01時30分恵山岬灯台から210度1.8海里の恵山町の海岸に原針路、原速力のまま乗り揚げた。
 当時、天候は曇で風はほとんどなく、潮候は下げ潮の中央期であった。
 乗揚の結果、船底外板に凹損等を生じ、サルベージ船により引き降ろされて函館港に曳航され、のち修理された。

(原因)
 本件乗揚は、夜間、漁場から帰航中、恵山岬沖合において、船位の確認が不十分で、恵山町の海岸に向首進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、夜間、漁獲物の水揚げのため、恵山岬沖合を陸岸に沿って函館港に向け航行する場合、乗り揚げないよう、船位を十分に確認すべき注意義務があった。しかしながら、同人は、漁獲量の帳簿整理作業に没頭し、船位を十分に確認しなかった職務上の過失により、恵山町の海岸に向首進行して乗揚を招き、船底外板に凹損等を生じさせるに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

 よって主文のとおり裁決する。 





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