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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成13年那審第24号
件名

漁船聖愛丸乗揚事件

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年1月17日

審判庁区分
門司地方海難審判庁那覇支部(清重隆彦、金城隆支、平井 透)

理事官
平良玄栄

受審人
A 職名:聖愛丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
舵及び推進器軸を損傷

原因
船位確認不十分

主文

 本件乗揚は、船位の確認が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

理由

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年2月13日21時40分
 沖縄県糸満漁港西水路

2 船舶の要目
船種船名 漁船聖愛丸
総トン数 13トン
全長 17.60メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 117キロワット

3 事実の経過
 聖愛丸は、延縄漁等に従事するFRP製漁船で、A受審人ほか1人が乗り組み、そでいか旗流し漁の目的で、船首0.3メートル船尾1.3メートルの喫水をもって、平成13年2月6日13時00分沖縄県糸満漁港を発し、北大東島西方30海里付近の漁場に至って操業を行い、同月12日09時00分同漁場を発して帰途についた。
 ところで、A受審人は、糸満漁港を基地として漁業に従事し、夜間を含め専ら同港西水路を経由して入出港をしており、糸満港西水路第4号灯浮標(以下、灯浮標名については「糸満港西水路」の冠称を省略する。)と第6号灯浮標との間の水路南側にはさんご礁が拡延していることを知っていたうえ、当時、第4号灯浮標と第6号灯浮標との間の水路内北側部分に浚渫(しゅんせつ)船が停泊して浚渫作業中であり、同船の周囲には浚渫区域を示す黄色標識灯が多数設置されていることをも知っていた。
 A受審人は、翌13日21時17分第1号灯浮標の西方500メートルばかりの地点で、機関回転数を毎分500に減じて3.0ノットの対地速力とし、遠隔操縦装置による手動操舵で、同水路入口に向かって進行し、同時23分第1号及び第2号灯浮標のほぼ中間で針路を第3号灯浮標に向く063度(真方位、以下同じ。)に定め、折からの北風により右方に7度圧流されたまま同じ速力で続航した。
 そして、A受審人は、21時36分第4号灯浮標から302度50メートルの地点で、西水路内北側部分の浚渫区域を示す黄色標識灯に向けて針路を072度に転じて進行したが、同区域内に停泊中の浚渫船に気を取られ、第4号及び第6号灯浮標や、第1沖防波堤北端の仮設灯標を目視するなどして、水路を逸脱しているかどうかが分かるよう、船位の確認を十分に行わなかった。
 聖愛丸は、右方に10度圧流されたまま続航中、21時40分第4号灯浮標から077度330メートルの地点において、西水路南側のさんご礁に、原針路、原速力のまま乗り揚げた。
 当時、天候は雨で風力6の北風が吹き、潮候は上げ潮の末期であった。
 乗揚の結果、舵及び推進器軸を損傷し、僚船により糸満漁港に引き付けられ、のち、修理された。

(原因)
 本件乗揚は、夜間、糸満漁港西水路において、強い北風を左舷側に受けて右方に圧流される状況下、同水路から入航する際、船位の確認が不十分で、同水路南側のさんご礁に著しく接近したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、夜間、糸満漁港西水路において、強い北風を左舷側に受けて右方に圧流される状況下、同水路から入航する場合、水路を逸脱しているかどうかが分かるよう、同水路の南側に設置されている第4号及び第6号灯浮標や第1沖防波堤北端の仮設灯標を目視するなどして、船位の確認を十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同受審人は、同水路内の北側に停泊していた浚渫船に気を取られ、船位の確認を十分に行わなかった職務上の過失により、折からの北風に圧流され水路を逸脱していることに気付かず、同水路南側のさんご礁に著しく接近して乗揚を招き、舵及び推進器軸を損傷させるに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

 よって主文のとおり裁決する。





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