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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成13年仙審第41号
件名

プレジャーボートエスケイ3乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年1月22日

審判庁区分
仙台地方海難審判庁(東 晴二)

副理事官
宮川尚一

受審人
A 職名:エスケイ3船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
船尾部船底外板に亀裂及び擦過傷、友人1人が鎖骨骨折

原因
水路調査不十分

裁決主文

 本件乗揚は、水路調査が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年8月2日12時05分
 宮城県石巻湾砥面(とづら)島南東側

2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボートエスケイ3
総トン数 16トン
全長 13.49メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 529キロワット

3 事実の経過
 エスケイ3は、航行区域を沿海区域とするFRP製プレジャーボートで、A受審人が船長として乗り組み、友人5人を乗せ、船首0.1メートル、船尾1.5メートルの喫水をもって、平成13年8月2日06時40分塩釜港塩釜区を出港し、さば釣りの目的で、宮城県石巻湾田代島南側の水域に向かい、07時30分同水域に達したが、さざなみがあり、さばを釣る海面状況ではなかったことから、同島仁斗田漁港北側のかき養殖施設に係留し、他の魚釣りを行ううち、さば釣りによい状況となったことから、12時00分仁斗田港防波堤灯台(以下「防波堤灯台」という。)から000度(真方位、以下同じ。)500メートルの地点を発し、再び同島南側の水域に向かった。
 A受審人は、操船に当たり、間もなく別のさば釣り水域の田代島南東方の網地島北側に釣り船2隻を認めたことから、これらがさばを釣っている様子ならば、同水域で釣ることとし、12時02分少し過ぎ防波堤灯台から050度400メートルの地点に達したとき、針路を同水域に向く117度に定め、機関を全速力前進にかけ、18.0ノットの対地速力で進行し、やがてさば釣りをしていないことが分かったので、田代島南東側にある砥面島の東側を経由して当初の目的水域の田代島南側に向かうこととした。
 ところで、A受審人は、砥面島周辺の水域には過去幾度も来ており、また船内に備えていた同島周辺の状況が分かる海図第79号(石巻湾)を見ていたことから、同島周辺は海岸から浅所が拡延し、同島南東方にも暗礁が散在する危険な水域であることをおおよそ知っていたが、同島南東側に釣り船を認めたことから、これに向けても自船の航行に支障はないと思い、同海図により同島周辺の状況を改めて確かめるなどの水路調査を十分に行わず、12時03分半少し過ぎ防波堤灯台から093度900メートルの地点に達したとき、針路を同島南東側海岸から拡延した浅所に接近する177度に転じ、同針路のまま続航するうち、12時05分防波堤灯台から131度1,250メートルの地点において、浅所に乗り揚げ、擦過した。
 当時、天候は曇で風力2の北東風が吹き、海上平穏で、潮候は上げ潮の中央期であった。
 A受審人は、浸水を認め、救助を要請した付近の釣り船に友人を移乗させ、浮体を船尾に取り付けるなどの事後の措置に当たった。
 乗揚の結果、エスケイ3は、船尾部船底外板に亀裂及び擦過傷を、プロペラ軸に曲損をそれぞれ生じ、サロンにいた友人1人が鎖骨骨折、肋骨骨折などを負った。

(原因)
 本件乗揚は、宮城県石巻湾砥面島東側を南下するにあたり、海図第79号(石巻湾)により同島周辺の状況を確かめるなどの水路調査が不十分で、同島南東側海岸から拡延した浅所に接近する針路のまま進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、宮城県石巻湾砥面島東側を南下しようとする場合、同島周辺は海岸から浅所が拡延し、同島南東方にも暗礁が散在する危険な水域であったから、浅所や暗礁に近付かないよう、海図第79号(石巻湾)により改めて同島周辺の状況を確かめるなどの水路調査を十分に行うべき注意義務があった。しかしながら、同受審人は、同島南東側に釣り船がいたので自船の航行に支障はないと思い、水路調査を十分に行わなかった職務上の過失により、同島南東側海岸から拡延した浅所に接近していることに気付かないまま進行して乗揚を招き、エスケイ3の船尾部船底外板に亀裂及び擦過傷を、プロペラ軸に曲損を生じさせ、友人1人に鎖骨骨折、肋骨骨折などを負わせるに至った。





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