日本財団 図書館


海の交通ルール
1. 最も基本的なルール
 自動車と同じように船の走り方にもルールがあります。海の最も基本的な交通ルールは、海上衝突予防法です。この法律は、国際的に統一された海上交通ルールに関する条約をもとに定められていますので、この法律を知っていれば、どこの国で船を走らせても、まず大丈夫です。
 ルールをよく知り、よく守り、衝突等の事故をなくしましょう。
(1)海上衝突予防法の基本(航法)
(1)見張り・・・5条
 事故を起こさないためには、いつも視覚・聴覚等の五感をしっかりと働かせ、周りの船や岩等の状況を的確に知ることが大切です。
(2)安全な速力・・・6条
 他の船や岩等と衝突しそうになっても、すぐに止まれるよう無茶なスピードで走らないようにしましょう。
(3)衝突のおそれ・・・7条
 いつまでも相手の船との方位が変わらないときは、そのまま進むと衝突します。
 
a. 衝突する。
方位が変わらない場合
 
b. 衝突しない。
方位が大きく変わる場合
 
(4)衝突を避けるための動作・・・8条
 衝突するかもしれないと思ったら、早く、大きく舵を切るか、エンジンを止めるのが最も安全です。この場合舵を切る方向に他の船が居ないかどうか確かめることが必要です。
(5)狭い水道等・・・9条
 狭い水道や航路を走るときは、できる限り右側を走り、帆船や網を引いている漁船がいたら、これを避けなければなりません。また、途中で錨を降ろしてもいけません。
 更に、見通しの悪いところではスピードを落とし、汽笛を鳴らすなどして十分に注意する必要があります。
(6)帆船同士の航法・・・12条
 ヨット等の帆船と帆船が接近して衝突するかもしれないときは、次のルールに従って下さい。この場合の風上は、メインスルの張っている側の反対側です。
ア. 風を受ける舷が違うときは、左舷に風を受ける帆船が、右舷に風を受ける帆船の進路を避けなければなりません。
イ. 風を受ける舷が同じときは、風上の帆船が、風下の帆船の進路を避けなければなりません。
ウ. 左舷に風を受ける帆船は、風上に他の帆船を見る場合、その帆船がどちらの舷から風を受けているか判らないときは、その帆船の進路を避けなければなりません。
(7)追越し船の航法・・・13条
 他の船を追越すときは、十分に離して大きく追越さなければなりません。
 
(拡大画面:9KB)
 
(8)行会い船の航法・・・14条
 2隻の動力船(エンジンで動く船)が正面衝突しそうなときは、お互いに右転して避けなければなりません。
(9)横切り船の航法・・・15条
 2隻の動力船が互いに交差し衝突しそうなときは、相手の船を右舷側に見る船が避けなければなりません。この場合、相手の前を通ってはいけません。
(10)避航船の航法・・・16条
 相手の船を避けなければならない船は、できる限り早く、大きく避け、相手から十分遠ざかって下さい。
(11)保持船の航法・・・17条
 相手の船を避けなくてもよい船は、そのままのスピードと進路で真っすぐに走って下さい。
 しかし、相手の船が避けそうもないときは、右転するか、停止するかして避けてもよいことになっています。
 左転しては、いけません。
(12)各種船舶間の航法・・・18条
 動力船は最も身軽なため、いつでも、次の船を避けなければなりません。
ア. ヨット等の帆で走る船(帆船)
イ. 網や縄等の漁具を使って漁をしている船(漁ろうに従事している船舶)
ウ. エンジンや舵等が故障している船(運転不自由船)
エ. ブイ・海底電線等の敷設、保守または引揚げ作業、しゅんせつ(海底を掘る作業)、測量等の水中作業、走りながら燃料等の補給とか人や荷物を移す作業あるいはバージや伐等を引っ張る作業などをしているため他の船の進路を避けられない船(操縦性能制限船)
 また、帆船は動力船の次に身軽ですから、漁ろうに従事している船、運転不自由船、操縦性能制限船を避けることになっています。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION