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〔事例1〕
かかり木処理作業中の災害事例
 
☆災害のあらまし
 ヒノキを伐倒したところ、伐倒木につるがからまっていたため、伐倒方向がくるい、下側のヒノキにかかり木になったので、かかられている木を伐倒したところ、かかっている木が突然落下して、作業者の頭部に激突した。
☆原因
(1)かかり木になっている場合にかかられている木の伐倒を行ったこと。
(2)伐倒前に伐倒木や隣接木の状況等を十分把握していなかったこと。
(3)つるがらみ木のつるを事前に切りはなしておかなかったこと。
 
☆対策
(1)かかられている木の伐倒は、かかっている木の下で作業することになり、風、振動等でかかっている木がいつ落下するか分からないこと、またかかられている木がかかっている木に押されているため早く倒れ始めたり、かかっている木が同時に落下したりすることがあるので、大変危険な作業です。必ずけん引具を使用して、かかり木を処理します。
 かかり木の処理は危険な作業なので、指示受け作業となっています。
 
(2)伐倒に当たっては、伐倒木の状態だけを観察するのでなく、隣接木との関係や、枝の張り方、枝のからみ、つるがらみの状況等についても見ておき、伐倒の仕方や方法を検討します。
 
(3)つるがからんでいる場合は、伐倒前にかならずつるを除去しておきます。しかし、つるは立木の上部で隣接木とからみ合っていることがあるので、事前に除去することが困難なことがあります。このような場合は、つるの根元を切り離し、つるがからまっている立木を同時に倒します。この作業は熟練者の指導のもとに行います。
 
〔事例2〕
かかり木処理作業中の災害事例
 
☆災害のあらまし
 間伐作業中、伐倒した木が、かかり木になったので、隣接木を伐倒して、かかっている木に当たって、その衝撃でかかり木を外す方法(投げ倒し又はあびせ倒しと言う。)で処理作業中、伐倒木が予期しない方向に跳ねたため、伐倒木の下敷きになった。
☆原因
(1)かかり木の処理で「投げ倒し」を行ったこと。
(2)退避が遅れたこと。
(3)指示受け作業にもかかわらず、独断で作業を行ったこと。
 
☆対策
(1)かかり木の処理方法で、「投げ倒し」(あびせ倒し)の作業は、禁止作業になっています。「投げ倒し」の作業は、次のとおり危険な作業ですから、やらないようにします。
イ かかっている木の幹に、他の隣接木を「投げ倒し」したため、投げ倒した木が跳ねたり、旋回したり、また幹が折れたりします。
ロ 伐倒した木が再びかかり木になったりします。
ハ 「投げ倒し」により、かかり木が解消しても、かかられている木、かかっている木の枝等が飛来、落下してくることがあります。
 
(2)立木が倒れ始めたら、速やかに伐倒方向の反対側で山側(上側)の立木の陰等に退避します。なお、枝等が飛来、落下するおそれがあるので、伐倒木から3m以上離れることが必要です。
 
(3)かかり木の処理作業は、事業者が指名した熟練者の指導のもとに行います。
 
〔事例3〕
かかり木処理作業中の災害事例
 
☆災害のあらまし
 スギ立木を伐倒したところ、かかり木になったので、このかかり木を外すため、かかっている木の根元部分を、1.8mの箇所で玉切り(元玉切り)したところ、かかっていた木は滑落したが、その反動でかかられている木の枝が折れ落下し、作業者の頭部にあたった。
☆原因
(1)かかり木になっている場合にかかり木の「元玉切り」を行ったこと。
(2)かかり木の状態を十分把握していなかったこと。
(3)指示を受けないまま伐倒したこと。
 
☆対策
(1)かかり木の処理方法でかかり木の「元玉切り」作業は、次のとおり危険な作業なので、やらないようにします。
イ 不安定な状態の材を玉切りするため、非常の場合に退避等の敏速な行動がとれなくなります。
ロ 玉切り材が足元に落ちると同時に、かかり木もともに落下し、大変危険です。
ハ かかり木の状態によっては、玉切りをしたとき、かかり木が回転したり、旋回して幹が跳ねることがあります。
ニ 枝がらみの状態によっては、幹が落下するとき、枝を折り曲げることになり、その枝が折れて飛来、落下したりします。
ホ 材の利用を考慮し、1.8m〜2mの位置を切断するとなると、チェーンソーを胸の高さより高い位置で操作することになり、操作が困難で大変危険です。
 チルホール等のけん引具がないときは、かかり木に目印をして、テープ等で危険区域を表示しておきます。
(2)かかり木がかかっている状態を良く観察します。特にかかられている木に枝の太さ、枯れ枝か、生き枝か、からまっている状態等をよく調べ、作業方法を決めます。
(3)かかり木処理作業は、大変危険な作業なので、事業者が指名した者の指示により作業を行います。
 
〔事例4〕
かかり木処理作業中の災害事例
 
☆災害のあらまし
 スギ立木を伐倒したところ、伐倒方向にあったスギ立木にかかり木になったので、かかっている木の根元を棒で動かしたが、外れないため、かかられている木に登り、のこでかかられている木の枝を切ったところ、同時に、つかまっていた枝が突然折れ、高さ2.5mの箇所から、かかっている木とともに落下した。
☆原因
(1)かかられている木の2m以上の箇所で安全帯を使用しないで作業を行ったこと。
(2)かかり木の処理で、かかられている木に登り、枝切りを行ったこと。
(3)指示を要する作業にもかかわらず独断で伐倒を行ったこと。
 
☆対策
(1)墜落防止のため、2m以上の箇所で作業する時は、安全帯を使用します。
(2)かかり木の処理方法で、かかられている木の枝切り作業は、次のとおり危険な作業なので、やらないようにします。
イ かかっている木が落下するとき、体を支えるために足場にしていた枝や手でつかまっていた枝が折れたりして、作業者も同時に落下することがあります。
ロ 枝がらみの状況により、作業者がかかっている木に乗ってゆさぶり、かかっている木を落下させようとして、自分も同時に落下することがあります。
ハ 枝を切るとき、なた、腰のこ、小型チェーンソー等の道具を使用するが、足場の悪い場所で行うので、手、足を切ったりします。チルホール等のけん引具がなく直ちに処理できないときは、かかり木に目印をし、テープ等で危険区域を表示しておきます。
(3)かかり木の処理の業務は、大変危険な作業なので、指示受け作業になっています。
 事業者が指名した者の指示を受けて作業を行います。







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