日本財団 図書館


11. レスキュー
 カヌーを行うときは万全を考えて、必ず複数で出かけるようにし、ひとりでは絶対に行動しないようにしたいものです。しかし、もし万一ということもあります。沖合で沈、脱出し、ひとりで再乗艇しなければならないときに備えて、あらかじめ練習しておくことも必要です。
 
 
 
 
(1)セルフレスキュー(水上での再乗艇)
(1)ひっくり返った艇を素早く起こして、カヌー内への浸水を最小限にくい止めます。
(2)スターンからリアデッキに這い上がります。
(3)バランスをとりながらデッキの上に馬乗りになり、慎重にコックピットに片足ずつ揃えて、腰を浮かせ両足を突っ込みます。
(4)カヌー内に入った水を、スポンジや帽子などを使って外に汲み出します。
 
(2)グループでのレスキュー
 海洋や湖では、沈、脱出したあと、水上でレスキューを行う必要があります。仲間のカヌーを利用して、カヌーの水出しから再乗艇までを行います。救助する艇まで沈させないように十分注意して行いましょう。
 
 
 
 
 
(3)牽引レスキュー
 水上での再乗艇ができない場合は、仲間のカヌーに牽引してもらうことになります。
(1)パドルをコックピットの中にしっかり入れて、自分の艇のバウかスターンのいずれかのグラブループにつかまる。
(2)両足を自分の艇にからませて、抱きつくようにして水の抵抗を少なくする。
(3)片方の手で仲間の艇のスターンのグラブループをしっかりつかむ。
 
 
 
 
12. 自然体験活動としてのカヌー
 河川、湖沼、海洋など水上、水面を移動する用具として発生してきたカヌーですが、楽しみ方には二通の楽しみ方があるのではないでしょうか。ひとつは「カヌーを」楽しむこと。もうひとつは「カヌーで」楽しむことです。
 
(1)カヌーを楽しむ
 カヌーの持つスポーツ的な側面として「スピード、タイム、技術」があります。指定された渓流や、ホワイトウォーター、静水面を、持てる技術と体力を駆使してより速く、より強く、よりうまくカヌーを操作する。技術の向上が、その目標になってくるでしょう。技術が向上すれば、活動エリアや活動の状況の幅もどんどん広がっていきます。
 
(2)カヌーで楽しむ
 活動の手段としてカヌーを行います。
(1)自然を感じる手段としてのカヌー
 水上を移動する道具としては、最も水面に近い用具です。水面から身体までの高さが最も低い乗り物です。パドリングしながら水の流れ、水の冷たさ・暖かさ、水の動きなどが体感できるでしょう。活動エリア周辺の自然環境も感じることができます。感じることから始まる環境教育への導入にもなってきます。
(2)仲間作りとしてのカヌー
 安全面からもグループでのカヌー活動を行います。そこでは日常の関係とはまた違った関係をつくることができるでしょう。今までの仲間の新たな面を知ったり、全然知らない人と友達になれたりします。
 
<引用文献、参考文献>
辰野 勇: 「カヌー&カヤック入門」、山と渓谷社、1999年
辰野 勇: 「新版カヌー・エンジョイ・マニュアル―カヤック入門編―」、千早書房、1989年
ローリー・イネステイラー監修: 「カヌー」、ウィークエンド・エンジョイ・シリーズ、同朋社出版、1992年
ビーパル編集部: 「新版カヌー・リバーツーリング入門」、ビーパル・アウティング・ムック、小学館、1989年
石川義治: 「週末に楽しむカヌーの本」、大栄出版、1993年







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION