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海洋活動マニュアル(カッター・ヨット・カヌー・ロープワーク)

 事業名 団員拡充モデル事業
 団体名 日本海洋少年団連盟 注目度注目度5


第2部 ヨット(基礎)編
1. ヨットの歴史
 ヨットとは、「遊ぶための船」のことです。みなさんの周りには、いろいろな船があります。荷物を運ぶ船、人を運ぶ船、魚をとる船、石油を運ぶ船、工事をする船、船員を訓練する船、気象観測をする船などです。
 船の推進力として、人は手やカイを使い人力で漕いだり、馬や牛に引かせたりしました。やがて風を利用するようになります。帆走技術の発達と共に大きな船を動かし、遠くの世界に出かけるようになりました。風を利用して走ることを「セーリング」といいます。大型帆船から陸への連絡船や救助艇などの小型船が、「デンギー」や「カッター」と呼ばれました。
 人々はその小型船で、娯楽として釣りや狩りに出かけるようになります。オランダ語の「狩りをする」の『ヤーゲン(Japan)』がヨット(Yacht)の語源になります。
 オランダに亡命していたイギリスの王子が、再びイギリスに迎えられることになり、その時にヨットが贈られたエピソードもあり、「船で遊ぶこと」が広がっていきます。船も改良され、セーリング技術も発展していきます。エンジンが船の動力の主役である現代でも、セーリングはスポーツとして世界中の多くの人々に楽しまれています。
 
2. このテキストでの技術目標
 ヨットに乗って、「海の上を自由に走ることができる。」そして「レースを楽しめる。」こんなことができたら楽しいですね。このテキストでは、「はじめてヨットに乗り、海の上を自由に走る」ことを目標としました。
 ヨットは風で走りますが、「風上の目標にも行けます」。図1は一般的なヨットレースのコースですが、風向に対してヨットがいろいろな向きで走るコース図になっています。このコースを「なんとか回れる」ようになり、そして「スムーズに回れる」ようになってください。広い海面をエンジンの音もなく、風や波の音だけの中、海上を自由に走れるセーリングの魅力を楽しみましょう。
 
図1 技術目標
 
 
3. ヨットの種目特性
 
(1)自然水面で行われる
 ヨットは水面で行われるウォータースポーツです。室内プールで行われる水泳とは違い、風や波のある自然な広い水面で実施されます。水面を滑る滑走感が特徴で、風を動力としているため、エンジン音もオイル臭もないことは、他のスポーツにはない不思議な爽快感を感じさせます。
 自然の中で行われることから、夏の暑い日ざしを受けたり、波や雨でずぶ濡れになったりします。服装を考え、自分の身を守ることの大切さを知ることになるかもしれませんね。便利な生活に慣れた現代人にとって、自然のすばらしさや厳しさを実感させてくれます。風はヨットを楽しむためには必要不可欠な条件ですが、自然は過酷であり、突風や強風などで危険な状況も作り出します。ヨットを楽しむためには、荒天での冷静な判断や勇気ある行動やたくましさも必要になります。他のスポーツに比べ、指導者がスポーツ場面をコントロールできない割合が大きいという特徴もあります。
 
(2)乗り物を操作する
 野球やサッカーでは、「ボールを投げる、打つ、蹴る、そして走る」などの特徴を持っています。柔道やレスリングは相手を「投げたり、倒したりする」と、その種目の特性を説明できます。ヨットはどんな特性があるのでしょうか?
 ヨット種目は「乗り物である船を操作する」、「操る(あやつる)」という特性があります。他のスポーツ種目に比べて、筋力や体力よりは、「操作の巧さ」や戦略など「調整力」や「予知、予測する」ことの割合が大きい種目といえます。ヨットと車と比較してみると良くにていますね。
 ヨットの技術が目に見えない風を基準としていることで、日常生活にはなかった新しい感覚を教えてくれます。道具であるヨットが大きく、たくさんの部品があることから、部品を取り付けること(艤装)や運搬などに手間がかかることも大きな特徴です。準備や後片付けは、みんなで協力をするとうまくいきます。
 
図2 ヨットと車
 
 
4. 安全と自己保全
 
 ヨットを楽しむことで、一番大切なことは「安全」です。せっかくの楽しいセーリングも事故があっては台なしになってしまいます。海やヨットハーバーには危険がいっぱいです。ヨットの艇体は大きく重いですから、運搬中や部品の艤装中の事故は注意しなければなりません。出艇や着艇時のスロープでの転倒や、高波で転覆したヨットの下敷きになるなどの事故があります。一人ではできないヨットの移動や艤装は、友だちの「協力」を頼みましょう。「協力を頼む」ことができる。「協力に心良く応じる」「協力しあう」ことが、安全で、早くヨットがうまくなる秘けつです。
 
(2)ライフジャケット
 ヨットは子供たちだけで乗るので、その操船は子供たちの責任で行われます。海は子供だからといって手かげんしてくれません。セールをつけたヨットは風を受けて傾き浸水したり、転覆したりします。ヨットの転覆のことを「沈(チン)」といいます。岸から離れた、足の届かない深い海面での沈は、大人にとっても恐いですから、特にヨットに乗りはじめて間もない子供にとっては想像を絶する体験と言えるでしょう。こんな時も「ライフジャケット」を着けていれば安心です。「ライフジャケット」の着用は「シーマンシップ」の一つです。
 
(3)服装
 服装は季節、天候に合わせましょう。荒天で濡れれば寒いし、濡れた身体が風に吹かれれば体温は奪われもっと寒くなります。日射しがきつければ帽子が必ず必要です。海が荒れていれば沈の可能性が大きく、艤装品や金具から身を守ったり保温のための長袖、長いズボンがいいでしょう。1日の内にも寒暖は変化します。基本の服装は、長袖、長ズボン、運動靴、帽子です。もちろん短パンでいい時もあります。めがねや帽子は流れ止めをつけておきましょう。その日の天候や体調に合わせて服装を調整できるように用意しておきましょう。
 
図3 服装
 
 
5. 自己挑戦
(+1チャレンジのルール)
 海は季節により違う顔をもち、また同じ日の内でも、優しい顔から厳しい顔を突然見せます。子供だけでそんな厳しい海に乗り出すのに、困った時に助けてくれる大人からの距離は、海上では他の陸上のスポーツでは見られないほど離れています。自分の責任でヨットという乗り物が自由に動く楽しさと、その裏側にある藩在的な危険への「自己責任」の大きさを強く実感することになります。近代ヨットはスポーツとして安全に楽しむことができるようにヨットが改良されてきました。沈をしても自分で対処すること(図47参照)でヨットを立て直すことができます。恐怖や不安に打ち勝って再帆走しましょう。恐怖や不安に打ち勝つことは、自分への挑戦(「自己挑戦」)から始まります。自分ができないと思っていることの一つ上にいつも挑戦する気持ち(+1チャレンジ)が、海で遊ぶためのゴールデンルールです。







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