日本財団 図書館


終末期ケアを取り巻く諸制度
2003年1月22日(水)
林山朝日診療所
所長 梁 勝則
 
在宅終末期ケアナースの養成
終末期ケアをとりまく諸問題
日本ホスピス在宅ケア研究会 事務局長 はやしやまクリニック 院長
梁 勝則(りゃん すんち)
 
終末期の特徴と現状
ホスピスケアとは ホスピスケア≒緩和ケア≒ターミナルケア≒終末期医療
 ホスピスケアとは末期の患者とその家族の痛みや苦しみを極力除去し、患者と家族が可能な限り人間らしく快適な生活を送れるよう患者・家族の希望に沿ったケアを提供していくもの。ホスピスでは、治癒のためではなく、むしろ症状緩和のための治療が強調され、人生の長さでなく、質が重んじられる。体のケア(症状緩和)、心のケア。ホスピスは生を肯定し、また死ぬことを通常の過程ととらえる。亡くなる人の「こういうふうに死にたい」という願いを考えるのがホスピス(永六輔)
狭義のホスピスケア:がん、エイズ
広義のホスピスケア:人生のファイナルステージを支える
難治性疾患(状態)+高齢期:老人性痴呆、脳卒中後遺症、整形外科的疾患(骨折、リウマチ)
全ての終末期にホスピスケアを
 
HOSPICEの意味
Hospitality 暖かいもてなしの心
Organized Care チームでのケア
Symptom Control 症状コントロール
Psychological Support 精神的サポート
Individualized Care 個別的ケア
Communication コミュニケーション
Education 教育(学習)
 
在宅ホスピスの諸像
*最期まで自宅で、*ぎりぎりまで自宅で、*しんどくなるまで自宅で
*試しに自宅で、*外泊の時だけ面倒見て欲しい、*お正月の間自宅で
 
在宅での看取りを可能にする条件(資料P174)
必須条件
1、患者自身が強く在宅を希望すること
2、家族が納得し受容すること
あれば望ましい条件
3、ある程度の症状緩和がなされること
4、適切な医療や看護のサポートが得られること
5、一定以上の居住環境と経済状態
6、いざというときの受け入れ病院があること
7、同居していない家族や親戚の強い反対がないこと
8、患者が真実を知っていること
 
ケアする側の3つのポイント(訪問看護師、在宅医)
1. 24時間対応
2. コミュニケーションと精神的サポート
3. 症状緩和の技術と副作用対策:例 麻薬製鎮痛薬→便秘の監視
 
(在宅)ターミナルケアの現状と課題
QOL(資料P280)とは
過剰な延命治療による苦痛の延長と入院(資料P31,247,112)
 
インフォームドコンセントとコミューケーション
告知はコミュニケーションプロセスである(資料343)
よりよいコミュニケーションのための3原則
 特別な知識や経験がなくても、共感をもって人の話を聴くことだけで、よいコミュニケーションと信頼関係を築くことができます。コミュニケーション上手とは話し上手ではなく、聞き上手のことです。自分の経験はできるだけ話さないようにし、またアドバイスしたくなる気持ちを抑えましょう。
 
1. Active Listening 肯定的傾聴
うなずき、相づちを打ちながら、最後まで相手の話を聴く
 話をよく聞いているという肯定的メッセージ(受容と共感が伝わる)
(1)ええ、ええええ、ええそう
(2)なるほど、なるほどなるほど、なるほどねえ、なあるほど、
(3)そう、そうそう、そうですよねえ、そうよそうよ、そうねえ、そうだよねえ、そうですねー、そうなんだ、そうなんや
(4)ハイ、はいそうですね、はいはい、はあい
 うん、ふん、は使わないほうが賢明馬鹿にされた、軽く見られたと思われることあり)
 
2. Rephrasing くり返し、言い換え、要約
あいづちのあとに続ける言葉
 「それなんですよ、私の言いたかったことは」という返事が返ってくることが目標
 
3. Open Question 開かれた質問
ハイいいえ以外の答えが返ってくるような質間→コミュニケーションが閉じないで続く
■Why(なぜ、どうして)は使わない(問い詰められると人は心を閉ざす)
Why以外の4W1Hで(いつ、どこで、誰が、何を、どのように)
■否定語(でも、しかし、けれど)を使わない(否定されると人は心を閉ざす)
■肯定的質問を心がける(否定的な質問は答えにくい)
×「なぜうまくいかないんでしょうか?」
○「どうすればうまくいくと思いますか?」
■感情表現できる質問を心がける「そのときどんな気持ちでしたか?」
 
コミュニケーションタブー集
1. アドバイス、説教、指示、命令
(ア)「きっとうまくいくから〜しなさい」
(イ)「愚痴ばかり言ってないでもっと努力しなさい」
(ウ)「早く忘れて、明日のことに気持ちを向けなさい」
(エ)「趣味でも持って、気晴らししたほうがいいんじゃない」
(オ)「そんなことすべきでないよ」
(カ)「考え方を変えないと幸せになれないよ」
(キ)「あなたがしっかりしないと駄目じゃない」
(ク)「死んだ〜のためにも頑張って生きるのよ」、「子供のために頑張って生きるのよ」
 
2. 励まし
(ア)「頑張って」、「あなたが頑張らなくちゃどうするの」
(イ)「あなたの子はたとえ助かっても正常には育たなかったから、あれで良かったのよ」
(ウ)「元気出しなさいよ、まだ子供が一人のこっているんだから」
(エ)「もう何年も過ぎたから元気出しなさいよ」
 
3. 話をそらす
(ア)「なんとかなるよ、そんな暗い話はやめよう」
(イ)「そんなことより、週末は買い物で行ってきばらししない?」
 
4. 決め付け、断定
(ア)「きっと〜だったよ」、「間違いなく〜です」
(イ)「〜のはずがない」「それは間違ってる」
(ウ)「良い」、「悪い」
 
5. 脅迫
(ア)「そんなことしたら、後で絶対後悔するよ」
(イ)「泣いてばかりいたら、〜は成仏できないよ」
(ウ)「そんなことしたら成仏できないよ」
 
6. 理屈、説得、講義、解釈
(ア)「その人が嫌いだと思うから嫌いになるんだよ。嫌いだと思わないでいい関係を作りなさい」
(イ)「人は皆死ぬんだから仕方がないのよ」
(ウ)「そう言うのは、あなたの劣等感の裏返しじゃない?」
 
7. 比較、評価
(ア)「もっと悲惨な目に合っている人もいるのよ」
(イ)「あなたは幸せよ、生命保険すらもらえない人がいるんだから」
(ウ)「自分よりもっとかわいそうな人がいると思うと、慰めになる」
(エ)「別の病院に行っていれば助かったかもしれないのに」
 
8. 非難、批判、はずかしめ
(ア)「いつまでめそめそしているの。もう立ち直らなくちゃどうするの」
(イ)「あなたはすぐ弱音を吐くね」
(ウ)「本当は自分が悪いんじゃないの?」
(エ)「あなたは、いつもばかなことするね」
 
9. 詰問、尋問
(ア)なぜ言葉や質問の連発
 
10. 増幅:大げさに話し、問題を大きくしてしまう
(ア)「そんなに会社が嫌いだったら、やめたほうがいいよ」
(イ)「それはすごく大問題だよ」
 
11. 人が話している最中に口をはさむ







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION