日本財団 図書館


参考資料−2
医学及び歯学の教育のための献体に関する法律
(昭和58年5月25日)
(法律第56号)
【目的】
第一条 この法律は、献体に関して必要な事項を定めることにより、医学及び歯学の教育の向上に資することを目的とする。
【定義】
第二条 この法律において「献体の意思」とは、自己の身体を死後医学又は歯学の教育として行われる身体の正常な構造を明らかにするための解剖(以下「正常解剖」という。)の解剖体として提供することを希望することをいう。
【献体の意思の尊重】
第三条 献体の意思は、尊重されなければならない。
【献体に係る死体の解剖】
第四条 死亡した者が献体の意思を書面により表示しており、かつ、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その死体の正常解剖を行おうとする者は、死体解剖保存法(昭和二十四年法律第二百四号)第七条本文の規定にかかわらず、遺族の承諾を受けることを要しない。
当該正常解剖を行おうとする者の属する医学又は歯学に関する大学(大学の学部を含む。)の長(以下「学校長」という。)が、死亡した者が献体の意思を書面により表示している旨を遺族に告知し、遺族がその解剖を拒まない場合
死亡した者に遺族がない場合
【引取者による死体の引き渡し】
第五条 死亡した者が献体の意思を書面により表示しており、かつ、当該死亡した者に遺族がない場合においては、その死体の引取者は、学校長から医学又は歯学の教育のため引き渡しの要求があったときは、当該死体を引き渡すことができる。
【記録の作成及び保存等】
第六条 学校長は、正常解剖の解剖体として死体を受領したときは、文部省令で定めるところにより、当該死体に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。
2 文部大臣は、学校長に対し、前項の死体に関し必要な報告を求めることができる。
【指導及び助言】
第七条 文部大臣は、献体の意思を有する者が組織する団体に対し、その求めに応じ、その活動に関し指導又は助言をすることができる。
【国民の理解を深めるための措置】
第八条 国は、献体の意義について国民の理解を深めるため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
附則 省略
 
参考資料−3
「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」についての文部省令及び次官通達
 
○文部省令第27号
 医学及び歯学の教育のための献体に関する法律(昭和58年5月25日法律第56号)第6条第1項の規定に基づき、医学及び歯学の教育のための献体に関する法律に基づく正常解剖の解剖体の記録に関する省令を次のように定める。
 昭和58年11月17日
文部大臣 瀬戸山 三男
 
医学及び歯学の教育のための献体に関する法律に基づく正常解剖の解剖体の記録に関する省令
(解剖体の記録の記載事項)
第1条 医学及び歯学の教育のための献体に関する法律(昭和58年法律第56号。以下「法」という。)第6条第1項に規定する正常解剖の解剖体として受領した死体に関する記録(以下「解剖体の記録」という。)として記載すべき事項は、次に掲げる事項とする。
1  死亡した者の氏名、生年月日、年齢及び性別
2  死亡の年月日、場所及び原因
3  死体の受領の年月日及び場所並びに死体の受領に至るまでの経緯
4  遺族その他の死体に関する連絡先となる者の氏名及び住所並びに当該連絡先となる者と死亡した者との関係
5  死亡した者が献体の意思を書面により表示していたときは、その旨及び年月日
6  正常解剖の開始及び終了の年月日
7  火葬の年月日及び場所
8  遺骨の返還の年月日及び場所並びに遺骨引取者の氏名及び住所並びに遺骨引取者と死亡した者との関係
9  学校長において遺骨を収蔵し、又は埋蔵したときは、その年月日及び場所並びにその理由
(解剖体の記録の保存期間)
第2条 解剖体の記録の保存の期間は、遺骨の返還又は収蔵若しくは埋蔵の日から5年間とする。
附則
 この省令は、昭和58年11月25日から施行する。
 
文大医第237号
昭和58年11月17日
 
医学部又は歯学部を置く
各国公私立大学長 殿
 
文部事務次官
佐野文一郎
 
医学及び歯学の教育のための献体に関する法律等の施行について(通達)
 このたび、医学及び歯学の教育のための献体に関する法律(昭和58年法律第56号。以下「法」という。)が、昭和58年5月25日に公布され、同年11月25日から実施されることになりました。
 また、医学及び歯学の教育のための献体に関する法律に基づく正常解剖の解剖体の記録に関する省令(昭和58年文部省令第27号。以下「省令」という。)が昭和58年11月17日に公布され、同年11月25日から施行されることになりました。
 法及び省令の要旨及び留意点は、下記のとおりですので、御了知の上、その運用について遺漏のないよう願います。
第1 医学及び歯学の教育のための献体に関する法律について
1. 制定の趣旨
 献体の意思が尊重されるべきことを定め、献体に係る死体の解剖の要件を緩和し、献体の意義について国民の理解を深めること等により、医学及び歯学の教育の向上に資することを目的とするものであること。
2. 内容
(1)献体の意思の定義
 「献体の意思」とは、「自己の身体を医学及び歯学の教育として行われる身体の正常な構造を明らかにするための解剖の解剖体として提供することを希望すること」をいうものとしたこと(法第2条)。
(2)献体の意思の尊重
 献体の意思は、尊重されなければならないことについて、明文の規定を設けたこと(法第3条)。
(3)死体の解剖の要件の緩和
 死亡した者が献体の意思を書面により表示している場合において、「学校長が、死亡した者が献体の意思を書面により表示している旨を遺族に告知し、遺族がその解剖を拒まない場合」には、その死体の正常解剖を行おうとする者は、死体解剖保存法(昭和24年法律第204号)第7条本文の規定にかかわらず、遺族の承諾を受けることを要しないこととしたこと(法第4条)。
 また、「死亡した者に遺族がない場合」にも、同様としたこと。
 なお、ここに「学校長」とは、学長のほか、医学部長及び歯学部長を含むものであること。
(4)引取者による死体の引き渡し
 死亡した者が献体の意思を書面により表示している場合において、「当該死亡した者に遺族がない場合」には、「その死体の引取者は、学校長から医学又は歯学の教育のため引き渡しの要求があったときは、当該死体を引き渡すことができる」こととしたこと(法第5条)。
(5)記録の作成及び保存等
 学校長は、正常解剖の解剖体として死体を受領したときは、省令で定めるところにより、当該死体に関する記録を作成し、これを保存しなければならないこととしたこと(法第6条第1項)。
 なお、この記録は、死亡した者が献体の意思を書面により表示していたか否かにかかわらず、正常解剖の解剖体として受領した全ての死体に関し、作成し、保存するものであること。
 文部大臣は、学校長に対し、学校長が正常解剖の解剖体として受領した死体に関し、必要な報告を求めることができることとしたこと(法第6条第2項)。
(6)文部大臣の指導及び助言
 文部大臣は、献体の意思を有する者が組織する団体に対し、その求めに応じ、その活動に関し指導又は助言をすることができることとしたこと(法第7条)。
(7)国民の理解を深めるための措置
 国は、献体の意義について国民の理解を深めるため必要な措置を講ずるよう努めるものとすることとしたこと(法第8条)。
第2 医学及び歯学の教育のための献体に関する法律に基づく正常解剖の解剖体の記録に関する省令について
1 制定の趣旨
 法第6条第1項に規定する死体に関する記録に記載する事項及びその記録の保存年限について定めたこと。
 なお、この記録は、死亡した者が献体の意思を書面により表示していたか否かにかかわらず、正常解剖の解剖体として受領した全ての死体に関し、作成し、保存するものであること。
2 内容
(1)  法第6条第1項に規定する死体に関する記録に記載する事項を定めたこと(省令第1条)。
 なお、記録の作成に当たっては、以下の要領によるものとする。
 死亡の年月日、場所及び原因(第2号)については、医師法(昭和23年法律第201号)第19条の規定による死亡診断書又は死体検案書の記載により、記載すること。
 死体の受領の年月日及び場所並びに死体の受領に至るまでの経緯(第3号)については、受領の場所、死体を引き渡した者、受領の情況等、受領に至るまでの経緯が具体的に分かるように記載すること。
 遺族その他の死体に関する連絡先となる者の氏名及び住所並びに当該連絡先となる者と死亡した者との関係(第4号)については、例えば、市町村の担当者等、当該死体に関して直接に連絡する相手方について記載すること。
 火葬の年月日(第7号)については、墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和23年厚生省令24号)第9条の規定により火葬許可証に記入された日時により、記載すること。
 なお、学校長において、火葬を行わずに返還したときは、「火葬の年月日及び場所」に代えて、その旨及びその理由を記載すること。
 遺骨の返還の年月日及び場所(第8号)については、実際に、遺骨引取者に遺骨を引き渡した年月日及びその場所を記載すること。  なお、省令にいう「遺骨」とは、墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)にいう「焼骨」と同義である。
 学校長において、火葬を行わずに返還した場合(上記エのなお書参照)は、その旨及びその返還の年月日等を記載すること。
 学校長において遺骨を収蔵し、又は埋蔵した場合における当該収蔵又は埋蔵の年月日及び場所(第9号)については、墓地、埋葬等に関する法律施行規則第8条第1号及び第2号の規定により納骨堂の管理者の備える納骨簿又は墓地の管理者の備える墓籍の記載により、記載すること。
 なお、省令にいう「収蔵」又は「埋蔵」とは、墓地、埋葬等に関する法律の定めるところにより、納骨堂に収蔵し、又は墓地に埋葬することをいう。
(2) 記録の保存の期間は、遺骨を返還した日から5年間とし、遺骨を返還せずに学校長においてその埋蔵又は収蔵を行ったときは、その埋蔵又は収蔵の日から5年間としたこと(省令第2条)。
 なお、学校長において、墓地、埋葬等に関する法律の定めるところにより、遺骨の埋蔵又は収蔵を行った場合には、その後、遺骨を遺族等に返還したときにおいても、記録の保存期間は、遺骨の埋蔵又は収蔵の日から5年間であること。
(3)  なお、法の施行の日(昭和58年11月25日)以前に受領した死体についても、可能な限り、省令の定めるところに準じ、記録を作成することが望ましいこと。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION