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篤志解剖全国連合会について
設立の趣旨
 献体篤志家は、昭和30年ごろから全国各地に献体団体を結成し、それぞれ独自に運営してきました。しかし、解剖体の対象として篤志家の重要性が増すとともに、これらの諸団体間の連携を密にし、また遺体受入機関である全国諸大学との交流をはかり、その助言を受けることが必要になってきました。このため、全国的なレベルで献体運動を推進するための恒常的機関の設置が必要であるとの機運が高まり、これを受けて篤志家団体側と大学側からなる設立準備委員会が発足し、日本解剖学会を通じて、全国の各大学の大多数の賛同も得て、昭和46年3月「篤志解剖全国連合会」が設立されたのであります。
 篤志解剖とは、「天寿を全うしたのちに、自己の遺体を解剖学教育のための実習教材として、大学に寄贈しよう」という献体篤志家の存在によって支えられるもので、この篤志家が構成する献体篤志家諸団体と、医学ならびに歯学の諸大学との有機的協力態勢を確立するのが篤志解剖全国連合会の設立の趣旨であります。
 
事業概要
1】正しい献体理念の普及
 献体が医学・歯学の学生の教育のみならず、倫理感の育成を目的とする以上、献体する篤志家側にも倫理が求められることは言うまでもありません。自己の遺体を無条件・無報酬で提供するという献体の理念の普及に努めております。
 
2】調査研究
 篤志献体の倫理を確立するとともに、国内各大学における篤志献体の実態、献体と宗教・葬儀等の関係、ならびに先進諸外国における献体に関する法律および献体の普及の経過とその社会的・政治的背景を調査研究し、それらの成果を広報しております。
 
3】広報出版
 献体運動に関する広報出版物として、会報「篤志献体」、「ポスター」、篤志家・学生の「感想文集」、「献体手帳」、などを製作配布し、各団体・大学の献体運動を支援しております。
 
4】連絡業務
 総会〔年1回〕、理事会〔年1回〕、団体部会研修会〔年1回〕、献体実務担当者研修会〔年1回〕、運営会議〔年3回〕、事務局会議〔随時〕を開催し、団体間、大学間、および団体と大学間それぞれの連絡の緊密化、情報の交換、相互の親睦などをはかっております。また、全国各地の団体の集会には役員を派遣して支援しております。
 
5】関係諸官庁への働きかけ
 (社)日本解剖学会と緊密な連絡をとりつつ、国会、文部科学省、厚生労働省、日本学術会議等に働きかけ、献体に関する法制化の促進、解剖体・解剖実習に関する経費、設備の改善の促進等の問題について側面より支援し、また東京都をはじめとする各地方自治体に対して、献体運動の推進の協力を要請して来ております。
 長年にわたるこのような活動の結果、昭和57年度からは献体者に対する文部大臣(現在は文部科学大臣)からの感謝状の贈呈が実現し、また「医学および歯学の教育のための献体に関する法律」が、昭和58年5月に国会で可決、成立し、11月施行されたことは画期的なことでありました。
会の構成と現況
 篤志解剖全国連合会は、献体篤志家団体を会員とする団体部会と、医学ならびに歯学の大学を会員とする大学部会とにより構成されております。
 平成14年10月1日現在の各部会ごとの会員数は、次の通りです。
●団体部会会員・・・51団体 ●大学部会会員・・・87大学
〔各会員の所在地ならびに連絡先は、全国献体篤志家団体一覧をごらん下さい。〕
 
 なお、全国の篤志家数は、北海道から沖縄まで、献体登録者の総数は190,000名を越え、そのうち献体された方は約62,000名(平成14年3月31日現在)に達しております。わが国の医学・歯学の大学で行われる解剖学実習への貢献は大なるものがあります。最近、献体登録者数は増加の傾向にありますが、全国的にみますと大学ごとの登録者数のアンバランスが目立ちます。献体登録をなさる方がたのご理解とご協力をお願いしたいところであります。
 
運営と経費
 本会の運営は、運営会議を中心として行われております。運営会議の構成は、会員団体・大学の代議員から選ばれた会長1名、副会長2名、事務局長1名、常任理事4名、常任幹事若干名で、年3回開かれ、本会の運営に関する重要事項を協議します。また必要に応じ、運営会議に各団体・大学の代議員をお招きしたり、各地区に出張して開催し、各地区団体・大学と懇談するなど、全国的規模で本会の発展ならびに、正しい献体運動の推進に努力いたしております。
 運営経費には、主として会員大学の会費〔年額10万円〕団体部会からの賛助金〔1口2万円〕および寄附収入を充てております。昭和58年度からは、財団法人日本篤志献体協会(28ページ参照)との協力態勢が確立し、寄附収入の大部分は、同協会に仰いでおります。
 
広報物紹介
(1)会報「篤志献体」
 年刊、A4版、団体・大学ごと50部まで無料
 
(2)献体登録者感想文集「私と献体」
 年1回刊行(既刊第1〜21集) 18×10cm
 
(3)学生感想文集「解剖学実習を終えて」
 年1回刊行(既刊第1〜23集) 18×10cm
 
(4)献体手帳 1982年より毎年製作 12×7.5cm
 
(5)献体登録章 (金色) 2×0.8cm







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