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螢生学院
ケイセイガクイン
 
代表者名●栗山 聡[クリヤマ サトシ]
所在地●〒420−0881 静岡県静岡市北安東3−10−11
電話番号●054−209−2221 FAX番号●054−209−2288
URL●http://www.geocities.jp/keisei_gakuin/ E−mail●stskrym@nyc.odn.ne.jp
 
「心のケアのための勉強」を礎に徹底した学習サポート
●報告―小川 隆司[トトロ学園代表]
 
 リサーチに赴く前に漠然と疑問に感じていたのは、他の施設と比べて費用面で値が張るのはなぜであろうか、ということだった。行ってみて代表の栗山氏、学院長の森脇氏との話の中で、両氏の教育に傾ける情熱を肌で感じることとなった。費用面での説明を受けた後では、「なるほど、高くはないな」と自分の印象を変えることに抵抗はなかった。
 子供を預かって共に生活する中で、24時間の生活指導+マンツーマンの学習指導で大検取得、高校卒業資格の取得などがカリキュラムとなっている。要するに自立支援施設に在籍しながら塾に通う、または家庭教師を雇うのと同じようであると納得したのだ。たった9ヶ月で中学生レベルの子を大検9科目取得という実績には、ただ素直に感嘆した。とは言っても、従来の学習塾のように知識を詰め込むだけと言うわけではない。きちんと心のケアにも気を配っている。「勉学は心のケアの手段である」という理念のもと、「学習面で自信がつけば本人の意識や態度も自ずと良い方向へ変わってくる」と、教育界で40年以上の実績を持つ森脇氏は断言している。自立への手段の一つとして、学歴の取得を考えている方には頼もしい存在となる場所だろう。
 
静岡駅からバスで約20分。閑静な住宅街にあるコーポにある。コーポ内の3区画(すべて2DK)を使用。
 
個室(洋室)・・・全室エアコン・ベッド・勉強机付で、生徒が勉強に集中できるように最善の環境を提供する。
 
一日中部屋に閉じこもるだけではなく、トレーニングルームで体を鍛え受験を乗り越える体力作りに励む。
 
食事はスタッフ(寮母さん)が毎食手作り。月3回鍋料理・鉄板焼きなどを献立に組み込む。
 
この教室で生徒は学習指導を受ける。各自目標と期間を設定、先生も一緒になり今後のプログラムを決める。
 
生徒は目標達成に向かい真剣な眼差しで学習する。勉強に集中できるようスタッフが完全バックアップ。
 
 失礼を承知で敢えて書くが、歴史のある塾経営者であれば森脇氏の名前を知らない人はいないと言う程有名な方が、なぜこんな場所にいるのかが私には理解できなかった。以前、全国の塾を指導していたが、ご自身の経営していた塾が傾いていたのに気付かず突然の倒産の憂き目にあったという。その点で森脇氏は自ら「経営面では失格者だ」と言っている。「ただ、教育という側面で40年以上も培ってきた経験で役に立つのであれば喜んで提供しようと思った」とその言葉は続いた。栗山氏が森脇氏に援助を申し出た際に、「これほどの人材が埋もれてしまうのはもったいない。是非一緒にやらせていただきたい」と説得された。私も森脇氏と対談させていただき、同じようにもったいないと感じた。教育者とはこうあるべきだと、私が感じるその姿勢を目の当たりにして、今回調査員として直にお会いすることができ、大変光栄に感じている。
 是非ともまた第一線で活躍していただきたいと心から願うばかりである。[調査日―2002.05]
 
■代表者に訊く
栗山 聡さん
●螢生学院代表
●団体の特徴
 「勉強は心のケアのための手段である」。勉強するといっても、いきなり難しいことを勉強するのではありません。生徒個々の能力に応じた勉強をするということです。例えば、小学分野の四則計算、分数、中学分野の正負の計算、方程式などを基礎知識から導入し、勉強の面白さを感じさせ、少しずつ自信を持たせます。自信を持つことによって、心を開き、いろいろと話すようになります。そうして、勉強の方も一歩ずつ前進させ、目標達成のための勉学に達すると考えています。
 勉強の折に発言の機会を多く与えることにより、平常での発言も多くなり、徐々にですが質問をするようになります。質問の回数が多くなれば勉強の方も面白くなった証拠だと考えられます。面白くなればそれが自信につながり、全ての面に自信を持ってあたるようになります。そして、心のケアも同時になされるのです。勉学で自信を持てば平常の行動に明るさが増し、心のケアが完全になされたことになるので、そこから後は目的遂行のための勉強に力を入れ、見事に栄冠を勝ち得、目的を達成させるのです。
 螢生学院は「ステイ・スクール」です。“心身のカウンセリング”を合言葉とし、先生が親代わりになるスクールです。全寮制にて生徒が親元を離れ、先生がマンツーマンで24時間体制で付き添い、生活面でのカウンセリングと学習面での集中講座を行います。
 方針として「勉学は心のケアのための手段である」をモットーとし、勉強を通じて生徒の人格形成を行い、不登校生、中退生、ひきこもりを受け入れ、高校卒業、大学受験まで指導します。
 受け入れ対象者としては、・サポート校や学習塾に行っていたが途中でやめてしまった生徒、・高校生活に挫折したが、大学受験、高校卒業資格を目指す生徒、・目的達成に対する意志が弱い生徒などを受け入れています。全寮制ということで親元を離れることにより自立心を養い、昼夜逆転の生徒への指導までも行います。
 心身のカウンセリングは学院長がマンツーマンで指導します。学院生の持つ学習面、生活面までを含めて相談を受けながら、学院長の経験に基づき目標達成(高校卒業資格、大検資格、大学合格)に導きます。また、世間一般の社会問題、スポーツ、政治などの話も交えて教養・常識などの教育も行っています。学習面では特に個人の能力に応じ、辞書・参考書・問題集などの選び方・個人の勉強のやり方、ノートのとり方までも含めて指導し、“どこが分からないかが分からない”という問題を解決します。
 指導コースですが、螢生学院では3つのコースを設けています。
1. ステイ・サポート校コース
 広域通信制高校のサポートとして通信教育、また単位制高校への通学により、高校卒業資格を取得するコース。
2. ステイ・大検コース
 大学受験資格を取得するための集中・個別教育を行います。
3. ステイ・大学受験コース
 通信教育を受けながら大学受験を考えている生徒、および浪人生たちの目標大学合格への個別指導を行います。
●卒設の基準
 高校卒業資格取得、大検合格など入学時の目標を達成した場合。保護者、生徒、先生を含め、カウンセリングの成果が十分認められたとき。
●年代別目標
 [10代]高校卒業資格取得、大検合格、大学受験。[20代]大検合格、大学受験。[30代]受け入れ対象ではありません。
●施設における自立の定義
 人と意志疎通ができる。人を思いやる気持ちを持てる。社会生活が出来る程度の常識を身に付ける。
●在籍生の就職状況とその支援体制
 在籍中の就職、仕事等はありません。
●在籍生のアルバイトの可否・その状況と支援体制
 アルバイトのできる時間はほとんどありません。
●作業(有償/無償)の有無・その内容と状況
 時期を限って無償ボランティアを計画しています(茶摘など)。
●教科学習の必要性とサポート体制
 当学院では「勉強は心のカウンセリングの手段である」という考え方ですので、教科学習には非常に大きな重点をおいています。生徒の生活全体の中で、学習を柱として全面的な指導を行います。目標に応じた学習指導コースを設けてありますので、その学生のレベル、目標達成までの期間に合わせて、先生が最適な集中講義を行います。
 また、当学院は高校卒業資格取得のための広域通信制高校のサポート校でもありますので、一定期間学習することにより高校卒業資格は必ず取得できます。
●在籍生の心理的サポート体制
 学院長が生活全般にわたり24時間体制にて直接心身のカウンセリングを行います。先生が親代わりになりますので、生徒の自由時間、食事の時間など生徒と接する時間を利用して、世間一般の社会問題、スポーツ、政治などの話を交えて教養・常識の話をします。また、先生には直接話しにくい悩みの場合も、寮母さんが相談相手になったりして、サポート役としての重要な機能を果たしています。







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