日本財団 図書館


ふるさと留学明日飛学園 NPO法人
明日飛子ども自立の里
アスビコドモジリツノサト
 
代表者名●清水 国明[シミズ クニアキ]
所在地●〒963−8403 福島県東白川郡鮫川村葉貫
電話番号●0247−49−3344 FAX番号●0247−49−3366
URL●http://www4.ocn.ne.jp/~taketon/ E−mail●taketon@cronos.ocn.ne.jp
 
山村留学を受け入れる中考えた青少年の自立
●報告―小川 誠[寄宿生活塾 五色塾代表]
 その日はよりによって12月には異例の雪がたくさん降って、東京の交通網はあちこちで混乱し、私の乗った武蔵野線も倒木のために不通となってしまった。明日飛学園のある阿武隈山系でも大雪となり、目的地には予定の倍の時間をかけて、寒さに体を震わせながら到着した。雪を払って玄関を入ると、天井の高い山小屋風の大広間に暖炉の火が赤々と燃えていて、暖をとることができ、ほっと息をついた。
 明日飛学園の人数構成を分類すると、清水さんの家族6人と、ふるさと留学生4名、不登校の男女合わせて4名、そして20代のスタッフ2名で構成された、合計16名の大家族だ。清水さん夫妻はこの大家族のお父さんとお母さん・・・こういう紹介の仕方がいちばんしっくりする。子供たちはこの両親の下で喜怒哀楽を共にする、とても温かく、和やかな家族生活を送っている。「豊かな自然の中で大家族で子供を育てたい」という思いで清水さんが1988年に始めた竹飛歩(たけとんぼ:明日飛子ども自立の里の前身)設立当初の願いは、不登校生も含んだ大家族の中でもしっかりと息づいていて、夫妻の優しさや温かさに包まれて、子供たちは元気にいきいきと生活していた。もちろん、思春期の子供たちばかりだから、それぞれに悩みや問題を抱えているのであろうけれど、表情には険がなく、穏やかで、子供たちには「深い安心感」とでも言うべきものがあるように感じられた。それは、やはり豊かな自然に囲まれていて、昔懐かしい“人のいい”出舎の人にも守られていることも、清水さんの言うように大切な要素だと思う。
 
施設の外観・・・山林を切り開いて建てられた新しい生活舎は横に長く、夫妻の考えにより平屋建てです。土地の大工さんが心意気を発揮して作ってくれたそうで、とてもがっしりした造りになっています。
 
玄関と送迎用のバス・・・入口は坂になっていて、夕食後、男の子たちは寒さをものともせずそり遊びをしていました。
 
大広間と食事中の風景・・・玄関を入るとすぐ大広間。天井が大変高く食堂と集会所と台所が一つの空間にあります。
 
 そして、新しく建築した明日飛学園の生活舎が大変ゆったりとした空間・・・自然素材に囲まれて、暖炉の火がちろちろと燃える、ゆったりとくつろげ、心の落ち着く居住空間となっていることも見逃せないと思った。たまたま親への不信感から2ヶ月前に入学した女の子が鬱状態に陥っていたが、その子に寄り添う夫妻の親身な姿は、とても自然で心打つものがあった。そのような夫妻の愛情は、周りの子供たちにも自然に伝わり、それが「深い安心感」となって漂っているのではないかと思った。今の多くの家庭が失ってしまったものがここにはたっぷり溢れている。
 ただ、青少年の自立にはもう一つ社会での就業体験などの社会参加のプログラムも必要なわけで、その点は現在の体制では十分ではないと清水さんも感じている。そこで、来年からはスタッフも増やして、その方面の体制を作っていきたいと言っていた。清水さんの人柄は村長さん始め、村の人々にも好かれていて、とても良い関係を作っている。だから、村の人々と力を合わせて、心温まる自立支援の体制ができていくのではないかと期待している。[調査日―2002.12]
 
台所・・・炊事中も仲間と互いに顔が見えるように設計。炊事はスタッフが中心。女の子は進んで料理に参加しています。
 
大広間からの景色・・・その日は雪が降っていたので辺りはすっかり銀世界。周囲は雑木林に囲まれています。
 
管理棟・・・本館を建設する前に立てられた建物で、現在はゲストルーム、職員寮になっています。
 
客間・・・地域の人の出入りが多いため、大広間の隣に十畳程の日本間があります。夜は子供たちの遊ぶ場所に。
 
男子部屋・・・大広間の左奥にあります。中には2段ベッドが6つ、勉強机が数台。タンスは二人で一つを共有します。
 
作業場・・・今は暖炉にくべる木を切ったり、薪にしたりする場所になっています。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION