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NPO法人 和みの里 翼塾
ナゴミノサト ツバサジュク
 
代表者名●山本 隆昭[ヤマモト タカアキ]
所在地●〒979−2511 福島県相馬市蒲庭字坂下236
電話番号●0244−33−5325 FAX番号●0244−33−5325
URL●無し E−mail●nagominosato@mwb.biglobe.ne.jp
 
未来形の地域共同体を様々な人と作りあげたい
●報告―小川 誠[寄宿生活塾 五色塾代表]
 
 和みの里は数棟の施設群とその周囲を取り巻く6ヘクタールの広大な山林を有している。
 現在の施設は建築デザイナーであり、自ら建築も手がける山本隆昭さんの感性が醸し出された作品群で、装飾品などには山本さんの人生哲学ないし人生観と通じるというか、それと融合したというか、単なる趣味以上の「道」に通じる何かを見て取ることができるような気がした。
 どうやら和みの里の原形は「山本さんのイメージした世界」のようであり、その将来構想もまた「山本さんのイメージし、設計した世界」の実現にあるのではないかという印象を受けた。それは高齢者を中心とした地域共同体のモデルともいうべき世界で、そのキーワードは安心、健康、自給自足、そしてローコスト。簡単に言ってしまえば、それは様々な技能を持った人達が自然の中で共に助け合って暮らす中で心を和ませ、安心を得、そして、一人ひとりが健康な生活を送ることを可能とする村落単位を造るという計画だ。
 
陽だまり荘(宿泊棟)・・・さまざまな活動でやって来る人の宿泊施設。共同生活する子供達もここに宿泊することになります。その名の通り大変日当たりがよく、風通しもよさそう。
 
仏門・・・山本さんの自宅にあったものを移築。「ここで修業するのか」と来訪者の気を引き締める効果がありそう。
 
温室・・・観葉植物の栽培や野菜や稲などの苗の育成に使われています。
 
 こういう環境の中で子供達は様々な大人と出会い、触れ合い、自分の興味や関心を膨らませて、自分から学び、自分から技を身に付けていけるようになるというのが山本さんの発想。そのような、ある種理想的な社会の実現に向けて、様々な種をまき、布石を打っているのが今現在というところのようだ。例えば、土地の人々と共同で進めている都会人向けの「田舎暮らし探検隊」という活動で、和みの里を利用してもらう。あるいは仙台のフリースクールに声をかけて和みの里を利用してもらう。山本さんは福島県では名前の通ったアイデアマン兼実業家だ。それで、行政に対しても地域興しに繋がる和みの里構想への協力を訴えている。その構想のスケールの大きさと見通しの遠大さには驚かされた。
 自身も不登校だったという山本さんは、学校などで大人が子供に教育するとか、教えるということはあまり価値がない、たいした意味はないと考えているのではないかと思う。山本さんはむしろ子供自らの興味や好奇心あるいは欲望から発して、ある職業につきたいとか、何かを実現したいという気持ちになったとき、その手段として学ぶという意志や行為が自発的に出てくるという面の方を遥かに重要視している。従って、山本さんは子供にそのような(自然)環境を与えてあげれば、そして大人が一切の干渉や介入をやめれば、子供はほうっておいてもいつか何かのきっかけをつかむ。そうしたら必ず学び始めるようになると確信しているのではないかと思った。山本さんと共に生活する子供達は生きることの原点や学ぶことの原点は何か、物を作るとはどういことかなどといった生き方や仕事の基本、そしてその展開の仕方や段取りについて体で手応えある答えをつかんでいくに違いないと思った。
 
童心館(工房)の内部・・・大工道具、陶芸の道具など道具が置いてあり、作業台も三つ設置してありました。
 
文芸茶寮「元気亭」・・・和みの里の一番奥にあります。元々は農家で荒れていたものを山本さんの設計で自ら修築。
 
山本さんとボランティアスタッフが田植えをしているところ。
 
元気亭の内部・・・玄関を上がったところが板の間で、囲炉裏があります。ここでよく話し合いや歓談がなされます。
 
和みの里の裏山と水田の風景・・・その日は晴れ渡り日の光が眩しく、行く雲も純白に輝いて何とも美しい日でした。
 
 ただ、訪問時には塾生が一人もいなかったので、具体的に山本さんが子供とどう関わるのか、どんな共同生活になるのか、見られなかった。それは宿泊型施設の重要な部分ではあるが、その辺の様子が伝えられないのは残念だ。[調査日―2002.06]







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