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■代表者に訊く
菊池伸二さん
●北海道青少年自立援助センター常駐責任者
 
●団体の特徴
 物も情報も有り余るほどの時代に育った現代っ子たち。そんな彼らからの「なんだか違う・・・生きづらい」というメッセージは不登校、ひきこもり状況にある青少年の無言の抗議ではないでしょうか。私たち大人はそれをしっかりと受け止めなければなりません。今、私たちに何ができるのでしょうか。それは日本人のふるさとへ帰ることだと思います。山があり、川があり、人々の日常会話のある場所です。そんな場所で暮らしてみると、人間が生きる上で必要なもの、不必要なもの、時間の流れ、人との折り合い、現代人が忘れたものを思い出すことができると思います。そして、傷ついた心が癒され、優しく、ねばり強い大人になっていってくれるものと信じています。
 
チーズ工場(現在建設中)・・・寮生は将来の自立に向けここでトレーニングする。
 
畑で作られたトマト・・・無農薬のためかスーパーなどで販売しているものとはちょっと色艶が違う気がした。
 
農繁期に援農を依頼される広大な畑・・・寮生たちは多数の農家から仕事を依頼され、地域に役に立っている。
 
畑を作る・・・近隣の方々の協力を得て一つ一つ手作業でスタッフと寮生がビニールハウスを作る。
 
農協(下川町農協集荷所)で有償作業をするスタッフと寮生たち・・・さやえんどうを品質によって等級分けしている。
 
「いさおちゃんの直売所」・・・収穫した農作物を路上で販売する直売所。運搬から販売まで業務全般を手伝う。
 
 北海道青少年自立援助センター【通称:しもかわ寮】は、東京都において30年余、青少年の育成事業に携わってきた青少年自立援助センターの実績から生まれたシステムとノウハウを踏襲し、不登校、ひきこもり状況にあった青少年と共に日常の基本的な生活習慣の立て直しと、各々のぺ一スを尊重した自立の仕方を考え、活動してゆく場所として、日本の将来を担う青少年の支援活動を行っています。
 個人的には、作業やその他の活動をゆっくり、のんびりとやっていきたいと考えています。地域と人間との触れ合いを大切にしながら、季節を感じて生活をしていきたいと思っています。晴れ渡った日には畑仕事を一生懸命やり、雨が降ればのんびりとする。年中行事にも参加し、季節ごとのお祭りの意義、意味を考える。また、農作業、畑作業を行っていれば旬の食材、その季節に一番美味しい物を食べる。そういった生活はとても「人間らしい」と思います。情報に溢れた部屋の中でクーラーをつけながらパソコン、食べたい物を季節に関係なく食べるといった感じの生活は人間らしさとは離れている気がします。この北海道下川町では、地域との触れ合いや季節感があります。
 在籍生には、いわゆる人間らしい生活を行い、自立に向けて楽しみながら、元気にがんばってほしいと思っています。
 
●卒設の基準
 自分で生きていけるだけの力、特に経済力がついたときが卒設です。まずは自分の生活を自分で支えられることが最重要だと考えています。
 
「しもかわ寮」・・・その手前に広がるのはスタッフと寮生が手仕事で一から作り上げた畑である。何もなかった場所にこれだけの素晴らしい畑を作り上げるには根気と熱心さが必要だろう。
 
●年代別目標
 年齢、年代に関係なく、やりたいことを見つけ、自分の力で生活することが目標です。
●施設における自立の定義
 卒設のところでも言ったとおり、経済的自立を目指して、ここではみんなががんばっています。
●在籍生の就職状況とその支援体制
 多くの職に触れることができるように、作業の内容もバラエティーに富んだものにしています。また、東京の青少年自立援助センターの行っているコミュニティーアンクルプロジェクトを活用し、やりたい職種が見つかった生徒には、その職種の方にお願いして、師弟関係のような形でお世話になれるように最大限サポートしていきます。
●在籍生のアルバイトの可否・その状況と支援体制
 アルバイトがしたいと言えば、原則的には自由にさせています。
●作業(有償/無償)の有無・その内容と状況
 ここ下川町は過疎化が進み、若い力(マンパワー)が必要とされています。寮生たちは町民の方々から必要とされるマンパワーを持っていますので、作業依頼は後を絶ちません。そんな中から、できる範囲でその依頼を引き受けています。
 作業(基本的にすべて有償)は、援農、畑作業、チーズ工場(建設中)、水道検針、温泉清掃、農協作業、直売の手伝い、雪かき、雪下ろし、その他。
●教科学習の必要性とサポート体制
 午後7時以降は自由時間にしていますので、勉強がしたい寮生へのサポートは最大限行います。大検や大学受験などを目標にする生徒は勉強中心のプログラムを設定します。
●在籍生の心理的サポート体制
 一緒に共同生活をしているために、ちょっとした変化にも気づきやすい環境です。ただ、なるべく過剰なサポートは控えるように努力しています。サポートを最小限にすることで、生徒には自分の力で踏ん張る力を養ってほしいと思っています。
●外部医療機関との連携
 近隣地域に病院があり、何かあればすぐに連絡を取ります。
●在籍生の保護者へのサポート体制
 何か問題があればすぐに連絡を取るようにしています。また、月に1度「しもかわ寮通信」を発行してどのような活動をしているのかなどを保護者の方々へ知らせています。その中でも心理的距離には気を使うようにしています。あまり心理的距離を生徒と保護者の間で近づけてしまうと、生徒本人に甘えの気持ちが出てきてしまうからです。
 
◆スタッフに訊く・・・1
今野 一さん
●38歳 男性 正規スタッフ 勤続年数3年
(勤続年数は青少年自立援助センターでの年数を含む)
 
●施設と関わるようになった理由
 東京の青少年自立援助センターで働いていましたが、ここ下川町で北海道青少年自立援助センターが開設したばかりで立ち上げに人員が必要ということで現在はここで働いています。
●施設について
 まだ開設したばかりで混乱部分もありますが、非常に大きな可能性を秘めた場所であると感じています。現在行っている作業や余暇活動では北海道という地域性を感じます。これがもっと「らしさ」を持ってくると、特に都会型の生活が合わない子供たちにはより良い場所になるのではないかと思います。
 また、各作業が有償であり、フルタイムであることから経済的自立に向けて非常に実践的、実社会的であると感じています。
●在籍生の変化に気づくとき
 何気ない日常の行動に変化があったときです。挨拶一つできない子が挨拶をするようになったり、昼夜逆転の生活をしていたのが、朝しっかりと起きてくるとかです。昼夜逆転の生活に関しては、自立を目指した各作業がほぼフルタイムということもあり、そういった環境の違いが生活改善に役立っているのかもしれません。
●在籍生との関わりで注意している点
 人にはそれぞれ考え方に違いがあります。スタッフという立場から言えば、在籍生とはある種の上下関係が存在します。その関係のなかで物事を言うときに、主観を押し付けるような、決め付けた物の言い方をしないように心がけています。
●ここで働いて喜びを感じるとき
 一つの形として卒寮していくときです。
●辛いと感じるとき
 自分の本当に言いたいことが寮生にうまく伝わらないときです。それと、もう少しがんばればある目標に辿り着ける子が、諦めてしまったときです。
●施設での自分のポジション(役割)
 立ち上げ期間の人員補充ということで、ほぼ全般に渡って責任者(菊池さん)をサポートしています。期間限定のヘルパーといった感じです。
●施設の今後について
 ここにいる子が不便な環境も含めて楽しんでいける場所になればいいなと思っています。そして、その子たちが、ここで自立の道を見つけられるような環境を作って欲しいです。
●代表・その他のスタッフについて
 責任者は頑固ですごく優しい方です。上に立つことの出来る人間性を持っています。その長所である頑固さの中に柔軟性がでてくるとさらに大きな人間になれる器です。自分が年上ということで言えばですが。
 
▼団体詳細
団体名称●北海道青少年自立援助センター(ホッカイドウセイショウネンジリツエンジョセンター)
代表者名●工藤 定次 常駐責任者●菊池 伸二
所在地●〒098−1331 北海道上川郡下川町一の橋268(カミカワグンシモカワチョウイチノハシ)
電話番号●01655−6−2023 FAX番号●01655−6−2023
URL●無し E−MAIL●simokawa@cream.plala.or.jp
設立年度●2002年 在籍生平均在籍年数●2〜3年
入寮生数●男・・・3人 女・・・―人(平均年齢・・・25歳) 入寮定員●男・・・10人 女・・・―人
通所生数●男・・・―人 女・・・―人(平均年齢・・・―歳) 通所定員●男・・・―人 女・・・―人
年齢制限●無し 性別制限●有り(男性のみ) 相談業務●有り(5,000円) 家庭訪問●無し
親の会●無し 会報発行●有り(年12回)
特記事項●東京の青少年自立援助センターの理念のもと、しもかわの地域に根ざした活動をしてゆく。
スタッフ状況●日中・・・スタッフ2人が対応。夜間・・・共同生活のため24時間体制。
スタッフ●正規・・・男2人・女―人/ボランティア・・・男―人・女―人/その他・・・男―人・女―人
 
▼通所費・入寮費
通所生●入会費・・・22,000円/週一日10、000円・週二日20,000円・週三日30,000円・週4日以上42,000円
入寮生●入寮費・・・300,000円(入寮費は初回納入)/月額負担金・・・150,000円/寒冷期灯油費年間・・・40,000円
 
▼生活
日課スケジュール●[午前]7:00・・・起床/7:30・・・朝食、掃除/9:00・・・午前の活動。活動内容は、援農、畑仕事、チーズ工場(建設中)、水道検針、温泉清掃、農協作業、直売の手伝い、雪かき、雪下ろし。[午後]12:00・・・昼食/1:00・・・午後の活動。スポーツ活動を行う場合もある/6:00・・・夕食/7:00・・・自由時間(趣味や勉強へのサポート有り)/0:00消灯
週末・休日●基本的に作業は休み(農繁期を除く)で、日曜日は各自の自由に活動してよい。また、なるべく多くのイベントを行い寮生の参加を促している。(ボランティア活動、買い物、遠足、釣り、登山、一泊旅行、地域行事参加など)
食事●朝から夕方までイベントや自立に向けた作業が多いため、まかないの人を雇っている。準備、後片付けは各自で行う。
清掃●個人の使用場所は各自で、共同使用場所は全員で清掃する。
年間スケジュール●5月・・・北海道青少年自立援助センター開設/6月・・・開設記念祝賀会/7月・・・町内会夏祭り参加・しもかわ寮にて地域交流会/9月・・・チーズ工房「フロマジェリーしもかわ」稼動予定/10月・・・現在開設したばかりで、年間活動はこれから作られていく。なるべく多くの活動を地域交流含めて行う。







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