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街屋
 街屋は基本的に間口一間で後方に展開する。そのため、四合院のように広間と寝室が横に並ぶことはない。しかし、一つの棟を構成するのは広間と寝室であり、広間の後方に寝室が取られる。寝室の片側に通路が設けられ、前後の棟をつなぐ。そして、きわめて小さな中庭を挟みながら棟が並ぶのである。
 街屋には店舗併用住居と専用住居がある。それぞれで街路に面した外観が異なる。店舗併用住居の場合、街路に面した部分が店舗となるため、街路に面して木製の取り外し可能な扉やはめ込み式の板戸、なかにはばったり床机もみられる。写真(7)(8)一方、専用住居の場合、大門が設けられる。大門が木製の扉であることを除いて磚や石板でふさがれる。
 ここでは、州にある複数の中庭をもつ街屋を紹介しよう。図(5)
 外観はあたかも間口が一間ごとの街屋にみえる。写真(9)実は、中で隣り合った二間はつながっているのである。
 街路に面した棟が客庁である。広間の後方には小さな寝室が設けられる。そこを抜けると小さな中庭を挟んで、大庁がある。中庭の片側には屋根のかかった廊下が設けられている。大庁は前後二つの空間に分けられ、前面が祖堂であり、後方が寝室である。その結果、大庁の棟木は祖堂の中央とは、ずれた位置関係にある。そのため、祖堂の格式を表現するために化粧屋根を架け、あたかも祖堂の中央に屋根がかかっているかのようにみせているのである。大庁の後方には中庭を挟み、二階建ての後庁が置かれている。
 このような奥行の長い街屋は厦門ではきわめて少ない。厦門に多く現存するのは、一つの棟からなる街屋である。しかし、居室の構成は根本的に変わらない。そして、多層化したものが多い。図(6)一つの棟の後方にきわめて狭小な後ろ庭を設け、そこに面して厨房を置く。階段は、広間に設けられる。二階も一階の平面と同様に前方に広間が配され、後方に寝室が置かれる。
 では、こうした住居にどのように家族が暮らしていたのだろうか。
 
写真(7)はめ込み式の板戸・・・板戸をはすすことによって、間口が全面開放される。
 
写真(8)ばったり床机・・・この写真は厦門近郊の同安県のもの。もともと染物屋であった。かつては厦門にもあったと考えられる。
 
写真(9)中庭からみた大庁・・・街屋の中庭はきわめて狭い。しかし、中庭があることによって、良好な居住環境が保たれている。







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