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I
体験学習編
海につどい船に学び、木の文化を知る 2002
体験学習の効果測定
 
1. 実施結果について
(1)体験学習(1)「ハダ打ち」
(1)実施日 6月23日(日)13時30分〜
(2)参加人員 42人
(3)実施内容 ハダとは巻ハダ(ヒノキの皮を柔らかく揉み、紐状にしたもの)やロープ(油をしみ込ませた細い紐状のもの)を指し、打つとは、外板や甲板から船内に海水が入らないように木材の合わせ目にそれを打ち込むこと。
1)ハダ打ち作業に使用する「材料」と「道具」について
巻ハダの材料はヒノキの皮で、それを紐状に細長く割き、柔らかく揉みほぐしたもの。ハダ打ち専用の木ハンマー「ポンクツ」は堅いカシノキで作られている。ヘラ状の金物「ヤトコ」。巻ハダを木の溝に差し込む道具。巻ハダを打つ時の状態に合わせて、いろいろな形状のものがある。ハダ打ちが終了した後に使うシリコン。表面を抑えるのに用いる。
2)外板の厚さ
 60ミリから90ミリ
3)ハダ打ちの作業手順
a 巻ハダは同じ溝に3回に分けて打ち込む。
b 打ち込んだ巻ハダを平らにならしながら打ち込む。
c 打ち込んだ巻ハダが飛び出さないようシリコンを溝の表面に取り付ける。
d 溝の上下に紙テープを貼り、シリコン・パテが余分な所に付着しないよう養生する。
e 養生の紙テープを剥がす。
 
 
巻ハダ
 
 
ポンクツとヤトコ
 
 
(4)検証
1)子どもたちにこの作業が果たして理解されたかどうか。
2)事業名に馴染みがない。
3)受付けの時点で参加者に番号を付けているのだから、現場に準備した席も予め決めておけば良かったと思う。
 
(2)体験学習(2)「木工教室」
(1)実施日 7月20日(土) 10時〜
(2)参加人員 36人
(3)実施内容 ヨットの製作
1)使用する材料と道具
材料=杉材、3色のペイント/道具=鉋(かんな)、鑿(のみ)、ハンマー、紙ヤスリ、刷毛ほか
2)製作手順
a 製作するヨットの図面を引き、平面図より型(1WL、2WL、DKL)を作り、杉板(厚さ3ミリ)に型を写し、それを電動鋸で切る。
b 3枚の板を貼り合わせ、段差を鑿、鉋で削り、ペーパーで仕上げる。
c 甲板はキャンバーを作り、ブリッジにはマストの穴を開け、取り付ける。
d 船床には舵とキールを取り付け、塗装は船床まで全部白色で2回塗りし、乾くのを待つ。
e 船台は朴(ほお)の木で作り、船台の上にヨットを上げ、喫水を書く。喫水は、船台の下よりヨットの喫水の高さまでの板を作り、ヨットの側に合わせて書いていく。
*喫水とは→船が水に浮かんだ時の、竜骨の下面から水面までの深さ。
f 喫水線に紙テープを貼り、船床は赤色で1回仕上げする。
g 帆を取り付ける前に、リング(丸カン)を取り付ける。表には1個、艫(とも)は2個、マストの側には3個と計6個取り付け、ロープを通し、帆を張って完了となる。
 
鉋(かんな)と鑿(のみ)
 
 
ペイントと刷毛、紙やすり
 
 
(4)検証
1)木工教室とボトルシップ工作講習会の実施日を分けたほうがよい。「親子ふれあいパーク」事業と切り離して実施したほうがよい。
2)ヨットの原型をほとんど準備してしまったが、これでは作るという喜びが半減する。
3)実施日を固定し、シリーズ化(継続して)すべきだ。
4)もっと手軽にできるものを考えたほうがよい。
 
(3)体験学習(3)「ボトルシップ工作講習会(The Bottle−Ship)」
(1)実施日 7月20日(土)10時〜
(2)参加人員 16人
(3)実施内容 ボトルシップの製作
 ボトルシップは、小さなビンの口から部品を入れて、ビンの中に船の模型を作るホビーのこと。
 今から約2百年前帆船に乗り組んでいた水夫(どこの国なのかは不明)が、航海中の遊びとして、飲み干した酒ビンの中に船の模型を組み立てたのが始まりと言われている。作り方は仲間に広まり、やがて船から船へと伝えられていった。
 日本のボトルシップは、大正初期、日本の船員が外国でボトルシップを見つけ、見よう見まねで作り始めた。
(4)検証
1)講師の守備範囲が限られるのため、3人の講師に対して15〜20人が望ましい数であろう。
2)人気が定着しているので継続すべきだ。
 
(4)体験学習(4)「帆づくり」(5)「マストのぼり」(6)「甲板そうじ」
(1)実施日 8月11日(日)13時30分〜
(2)参加人員 31人
(3)実施内容 「帆づくり」「マストのぼり」「甲板そうじ」を同一カリキュラムの中で実施した。
1)帆づくり上甲板『帆を縫う水夫』前で、帆の材質、繕い方、帆の成り立ち、そして帆の果たす役割について説明した。
2)マストのぼり
 船尾楼甲板でトークとマストのぼりのアトラクションを行った。
a トーク
 風と帆走について/操帆方法について/ガレオン型帆船の技術が導入されなかった歴史的背景等々
b マストのぼりのアトラクション
 マストのぼりの実演/希望者登檣(とうしょう)体験
3)甲板そうじ
 船を物を大切に扱う「いたわり」の心とボランティア精神の醸成を図った。
 
安全ベルトと保護帽
 
 
(4)検証
1)シュラウド(の特に横に張っているロープ)がかなり劣化していたので対策を講じる必要あり(平成14・15・16年に張り替える)
2)甲板そうじは思いのほかインパクトがあった。
 
(5)体験学習(1)その2「ハダ打ち」
(1)実施日 8月20日(火)
(2)参加人員 54人
(3)実施内容 上記体験学習(1)「ハダ打ち」参照のこと







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