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4. 個人タクシー事業における評価項目体系およびチェックリストの検討
(1)個人タクシー事業における評価項目体系およびチェックリストの検討にあたっての留意事項
 
 法人ハイヤー・タクシー事業における評価項目体系およびチェックリストを踏襲しつつ、個人タクシーの「事業主=ドライバー」という特性を考慮し、個人タクシー事業独自の評価項目体系およびチェックリストを作成した。
 
(1)個人タクシー業者の特性に配慮する
 車両単体や運行に関する項目は、できるだけ法人タクシーに準ずることとするが、事業主=ドライバーとしての性格から、推進体制の整備や従業員教育や指導に関する項目については、個人事業主として取組が可能な内容を検討する。
 
(2)法人タクシーの場合と同様、タクシーの運行形態や公共交通機関としての役割等に配慮する
運行形態等: 流し/無線配車/駅待ち、乗客の快適性・安全性への配慮等
交通機関としての役割: タクシー事業の公共性(鉄道・バス等の大量輸送機関の補完)、環境保全上の役割(運行の効率化等による環境負荷の削減)等
 
(3)個人タクシー事業の取組の実態を考慮した簡易な内容とし、取組レベルは設定しない
 個人タクシー事業の環境保全への取組の現状は、基本的な取組について、より多くの事業者が取り組むことが必要な段階である。このため、多くの事業者が容易に取り組める仕組みの構築を目的とし、取組レベルは設定しない。
 
(2)個人タクシー事業における評価項目体系およびチッェクリストの作成
 個人タクシー事業の特性、業界団体・事業者のヒアリング結果および検討委員会での検討結果等を踏まえ、個人タクシー事業における評価項目体系を以下のように作成した(チェックリストの内容については、巻末の「個人タクシー事業におけるグリーン経営推進チェックリストと記入の手引き」参照)。
 また、チェックリストの各項目の検討経緯、内容に関する考え方は、次のとおりである。
 
表4−1 
評価項目の体系およびチェックリストの内容に関する考え方や検討経緯
評価項目 チェックリストの内容に関する
考え方や検討経緯
大項目 小項目
1. 環境保全のための仕組み・体制の整備 ○意思表明と利用者への通知
○環境関連情報の収集・習得
個人タクシーの場合であっても、事業者として環境への取組の意図や内容を乗客に示すことが取組を向上する上での動機となる。また、環境に関する事項について自己啓発を進めることも重要である。このため、ステッカー等の掲示や資料の収集、研修会への参加等個人として実施できる項目とした。
2. エコドライブの実施 ○燃費に関する定量的な目標の設定
○エコドライブ関連情報の収集・習得およびエコドライブの実施
○推進手段等の整備
エコドライブの実施により排ガスの低減と燃料の削減を図ることは、法人タクシーの場合と同様、個人タクシー事業の経営と環境との調和を図るうえで重要である。特に、個人タクシーは事業者=ドライバーという立場から、自己の意思により確実な実施が可能であるので、重点的な取組として期待される。実施にあたっては燃料の使用状況を把握し、削減目標を設定するなどの取組、日常の取組を記録し、改善に役立てること、推進のための装置等を導入するなどの取組が効果的であるので、個人タクシーの特性を踏まえつつ、内容はトラック事業に準じたものとした。
3. 低公害車の導入 ○低公害車等の導入 導入対象とする低公害車は、国が定めた低燃費かつ低排出ガス自動車認定車(ガソリン車)、ハイブリット車、LPG車で首都圏七都県市や京阪神六府県市等で定めた指定低排出ガス車とした。
4. 自動車の点検・整備 ○環境に配慮した点検・整備の実施
○車両の状態に基づく適切な点検・整備
個人タクシーの場合も、環境に配慮した点検・整備の重要性、車両の状態に基づく適切な点検・整備の必要性は、法人タクシーの場合と同様であるので、従業員等に対する教育等の項目を除き、概ね、法人タクシーの場合と同様とした。
5. 廃棄物の適正処理およびリサイクルの推進 ○廃棄物の適正処理 整備に伴う廃油、廃タイヤ、廃バッテリーについて、依頼した修理業者が適正に処理しているか確認する観点から、内容は法人タクシーの場合と同様とした。
6. 空車走行距離の削減 ○空車走行距離の削減 個人タクシーの営業が認められている地域は、原則として都道府県の県庁所在地と、いわゆる「流し営業」ができる地域である。この地域では、顧客の要望に迅速にこたえ、より効率的に乗客を確保し、空車走行距離を削減することが経営と環境を両立するうえで重要である。そのための有効な仕組みとして無線配車の導入を取組内容とした。
 
(3)取組内容の検討
 個人タクシー事業における環境保全の取組は、チェックリストを活用し、事業者自らがチェック結果をもとに、「何を、いつまでに、どのようにして」進めるかを容易に検討していくことができる仕組みであることが必要である。このため、記入フォーマットは、「チェックリスト」、「記入の手引」、「改善取組項目」の各項目が一覧できるような様式とした。







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