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「海と船の企画展」図録:房総の漁?海と川?

 事業名 海事博物館ネットワークの構築
 団体名 日本海事広報協会 注目度注目度5


漁業の現状と将来像
 今回の展示でご覧いただける漁具は、昭和40年代まで使用されていたものが中心です。縄文時代以来ともいえる伝統的な漁具で、地曳き網のような大型の漁具もありますが、機械力を使用しない人力による漁法といえます。“漁(すなどり)”という古語の示す水際や岸に近い浅いところで、行なわれてきた漁の延長にあったものです。
 しかし、昭和30年代以降の漁業は、海の漁業においては大型化・機械化が進み、内水面漁業は養殖が大きな部分を占めるなど大きく変化しています。展示資料のような漁具は、すでに漁場からは姿を消すか大きく姿を変えています。その対象とする漁場も、海においては沿岸から沖合、さらに遠洋と広がり、水深200mを超える深海の魚介類を対象とするものに変化してきました。内水面においては、河川の改修・護岸工事の進展、手賀沼・印旛沼に見られるような水質環境の悪化によって減少し、また広く農村生活の中で身近なものであり自給的な生活の一部であった水田漁は、水路の消失と農薬の使用によって、そしてなにより生活スタイルの変化によって姿を消しました。
 海に囲まれた日本の中でも、優れた漁場を持つ千葉県は、現在もその生産量では全国8位(平成11年・214,451t・海面)、水産加工品生産量で全国3位(平成11年・355,025t)という地位を保っています。生産額としては、380億1千8百億円(平成11年)で海の漁業の割合が95%を占めます。海水面の漁業種別生産額では、巻網漁が28%、養殖17%、採貝11%、底曳網漁8%、定置網6%、各種釣り13%を占めています。また、対象となっている魚種別生産量は総数214,451tで、いわし類59.5%、のり(養殖)8.5%、さば類6.5%、あじ類4.2%、あさり類3.9%、さんま3.2%、ばかがい2.3%、ぶり類1.4%、かつお類1.3%、すずき類0.8%となっています。
 千葉県は、首都圏への生鮮魚介類の供給基地として重要な役割を担っていますが、その生産量は近年減少しています。昭和60年代末と比較して近年の生産量は約3分の1になっています。生産量の減少はいわし類・さば類・さんまの減少がそのほとんどを占めています。漁業の現場を担う漁業就業者も7,690人と半減し、就業者の高齢化も問題になっています。
 こうした、漁業の不振は全国的なもので、その原因は漁獲量の減少と魚介類の市場価格の低迷にあります。漁獲量の減少は地球温暖化や環境汚染といった漁場環境の悪化と乱獲による水産資源の減少によるといわれます。
 市場価格の低迷については、現在の日本人の食生活において、魚介類の位置は低くはありません。魚介類の一人あたり年間消費量は約35kgで、肉の約24kgを上回っています。ただ、その4割が輸入魚介類であり、主要な魚種についてはそのほとんどが5割以上を輸入によっています。一方、イワシなどの多獲性魚種では食用以外に消費されている部分も多いのです。この構造を変えることが必要とされています。
 
千葉県漁業の現況(平成11年)
項目 全国 千葉県 内訳 全国
対比
備考
東京湾 外房 銚子・
九十九里
内湾 内房
漁業経営体数 150,228体 4,473体 1,685体 748体 1,698体 342体 3.0%  
漁業就業者数 269,990人 7,690人         2.8%  
漁船総隻数 214,932隻 6,200隻 2,937隻 993隻 1,794隻 440隻 2.9%  
海面漁業・養殖業生産量
(属人)
6,492,094t 214,451t 35,703t 13,516t 33,864t 131,368t 3.3% 全国8位
内訳 海面漁業 5,239,352t 195,928t 18,691t 12,063t 33,806t 131,367t 3.7% 全国7位
海面養殖業 1,252,742t 18,523t 17,011t 1,453t 58t   1.5% 全国20位
海面漁業・養殖業生産額 1,857,004百万円 36,221百万円 10,490百万円 3,865百万円 9,136百万円 12,729百万円 2.0% 全国15位
内訳 海面漁業 1,316,427百万円 29,931百万円 5,139百万円 3,240百万円 8,823百万円 12,729百万円 2.3% 全国17位
海面養殖業 540,577百万円 6,290百万円 5,351百万円 625百万円 313百万円   1.2% 全国23位
海面漁業生産量(屬地) 5,239,771t 354,871t 18,697t 8,534t 51,266t 276,374t 6.8%  
内水面漁業・養殖業生産量 133,931t 3,036t         2.3% 全国14位
漁家所得 海面・漁船漁家 5,745千円 6,104千円            
ノリ養殖漁家 9,499千円 7,945千円            
沿岸地区出資漁協数 1,822組合 42組合 13組合 11組合 10組合 8組合 2.3%  
水産加工品生産量 5,077,447t 355,025t         7.0% 全国3位
(注) ●内湾:浦安市〜富津市(下洲)
●内房:富津市(大佐和)〜館山市
●外房:白浜〜岬町
●銚子・九十九里:一宮町〜銚子市
「千葉県水産ハンドブック(平成13年4月)」より
 
 
 水産資源の減少については、種苗放流や漁礁の整備など栽培漁業の推進と資源管理による確保が図られています。資源管理については、漁獲サイズの規制、操業時間の規制、漁期の規制、漁具の規制等により進められています。漁業の歴史において、漁具・漁法の改良は一時的な大漁をもたらすものの、その後の資源枯渇をもたらすという、大きな矛盾をはらんできました。
 今日の漁業は、大型化・機械化が進み、小型漁船においても魚群探知機やGPS・衛星情報も駆使した海況情報の把握等の導入よって、かつて「腕3割に運7割」といわれた漁から脱却して効率化が図られています。海の広大さから困難であった、資源状況の把握についても、情報機器の活用が進められています。
 これからの漁業は、地球規模での環境の保全を視野においた良質な漁場環境の確保、資源状況の正確な把握、再生産を可能とする計画的な資源管理、効率的な漁具・漁法の使用による適正な漁獲生産をあげ、その生産された魚介類が食糧資源として効率的に活用される必要があります。そしてそのことによって、唯一残された狩猟性食料捕獲産業である漁業は、21世紀をささえる重要な食料産業の役割を果たしていけるのです。
(大原 正義)
 
コラム
宇宙から魚をとる(人工衛星利用)
 魚介類をすなどるために数多くの漁具・漁法が発達してきましたが、近年人工衛星の利用が進んでいます。魚が集まる海底の暗礁は「根」と呼ばれ、「山立て」という方法で正確に根をみつけだすのが釣り名人の技でした。現在は人工衛星を利用した「GPS」という機器で、簡単に根をみつけることができるようになりました。
 海は暖水と冷水の接するところに「潮境」ができ、カツオやサンマなど沖合を回遊する魚が集まります。かつては広い海を走り回って潮境をさがしていましたが、今では人工衛星画像があるので、漁場探索がとてもたやすくなりました。
 図は2002年3月19日の人工衛星画像(海面水温分布)で、このときは主に黒潮流軸の外側の潮境にカツオの漁場(○)がみられました。
(清水 利厚 千葉県水産研究センター)
(○)印のある場所がカツオの漁場となった場所







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