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【すくい網】
 すくい網は、サデ網・タモ網とよばれ、柄をつけた円形や角型の枠に網を張って袋状にしたもので、水中の魚類をすくい上げて獲ります。現在は、タモ網などは各漁の補助具として多く使われています。
 
【敷網】
24. 四つ手網「千繪の海 総州利根川」
(千葉県立上総博物館)
 
 敷網は、網を水の中に敷くように広げておき、この上に集まる魚を下から包むように網を引き上げて捕獲するものです。水中の網の位置により、浮敷網や底敷網等に分けられます。四つ手網や八手(はちだ)網・棒受網等がこの仲間です。この網では、淡水ではフナやワカサギ・カワエビなどの小魚類が主で、海ではイワシ・サンマ・アジ・サバ等を獲りました。四つ手網漁や八手(はちだ)網漁はほとんど行われなくなり、棒受け網漁は、サンマ漁などで行われています。
 
【曳網】
 曳網は、網を囲い込んで曳くことにより魚を獲るものをいいます。網を曳くには、人や船等を用います。曳網は、魚の群をその外側からぐるりと取り囲む必要があることから、網の長さは非常に長くならざるを得ませんでした。よく知られる地曳(引)網の場合、200m〜400m以上にもなりました。
 
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地曳網各部の名称
 
35. 地曳絵馬(大原町 玉前神社)
 
 地曳網は、その名の通り地(浜)で網を曳き上げるもので、大勢の人手やロクロと呼ぶ巻車を使い、江戸時代から大正期にかけて九十九里浜沿岸を中心にイワシを獲るため盛んに行われた網漁でした。イワシは、木綿の普及による綿花栽培のための肥料としての干鰯や〆粕に加工されたのでした。地曳網の網張りの方法には、大きく2種あります。一つは、網の片方の端を浜に残したまま、もう片方を船を漕ぎ出してイワシの群を包むように網を下ろしながら浜に戻り、この網をイワシもろとも浜から曳いて上げるという方法。もう一つは、2隻の網舟が沖から左右にイワシの群を取り囲むように網をおろしながら浜に向かい、浜ではこの網を曳き揚げるというものです。網は、上端にアバ・ウケと呼ぶ浮木、下端にイワなどと呼ぶ錘を取り付け、さらに長い袖網の中央には、魚を取り込むための網目の細かい先端をすぼめた袋網を取付けてありました。この袋網の大きさは、大きいものでは長さが約70m、口の広さ15mほどにもなる巨大なものです。大漁のときには、この袋網が一杯になるほどでした。地曳網漁は、イワシ漁の漁獲減少とともに少なくなってきました。
 
196. 地曳網曳き上げ「房総水産図誌」より
(愛知県 西尾市岩瀬文庫)
 
 沖合に出て、船で網を曳き揚げるものには、手繰(たぐり)網や底曳(そこびき)網などがあります。この漁法では、イワシ・ボラ・アジ・サバ・サケ・ブリ・マグロ・カツオ・タイなどを獲りました。







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