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海外運輸 2002年 10月〜12月
  2003年 1月
年頭所感
(社)海外運輸協力協会
会長 竹内良夫
 あけましておめでとうございます。新年を迎えるに当たり、日頃の所感を述べて、ご挨拶にしたいと思います。
 景気低迷の中で、コンサルタント各社各位には苦しい経営を迫られていると思いますが、創業当時のことや先輩方のご苦労を偲んでここは一番がんばって欲しいと思います。
 昨年はワールドカップ開催で日本が活躍するという明るい出来事もありましたが、一昨年、突如米国において同時多発テロが発生、その結果、報復戦争へと発展し、世界各国に大きな反響を呼んだところであります。これが一段落したところに、パレスチナ・イスラエル、バリ等での自爆事件、ロシアでの劇場占拠事件等不穏な事件が相次ぎました。そして北朝鮮による日本国民の拉致事件が明らかとなり、またイラク及び北朝鮮に対する核保有疑惑に端を発する米国等による牽制合戦等、戦争勃発の不安が続く中で新年を迎えました。
 小泉内閣のいわゆる構造改革は着々と実施されているとは言うものの、依然として低迷を続ける金融界、経済界は改善の兆しはいまだ見えず、一般社会においては先行きの不透明感を拭い去ることができない状況であります。
 一方、政府開発援助(ODA)関係予算はこれらの厳しい財政事情を受けて、本年度同様、来年度においても削減されることは避けられない見込です。ODAは「顔の見える援助」、「量から質への転換」として、より効率的な援助の実施、量的拡大から質的向上への転換、ソフト面の重視など多様化する途上国のニーズヘの対応、透明性の確保、またそれらに伴う評価体制の充実などの変革が求められています。
 このようなODAをめぐる情勢の中で、当協会への国土交通省からの補助事業等は今後余談を許さない状況にあり、公益法人としての当協会の活動を支援している日本財団は、ここ数年来各団体に対して事業及び運営に対する助成方式の見直しを打ち出し、来年度の助成につきましても大変厳しい状況にあります。
 会員の皆様を取巻く動きでは、後発開発途上国(LLDC)向け援助のアンタイド化に向けた技術協力及び無償資金プロジェクトの契約に関するOECDへの通告制度の運用開始等一段と厳しさが増しているといえます。
 当協会といたしましては、運輸全般に亘る案件の実施、協会の運営の地盤となる組織体制の確立に努めてまいります中で、協会の目的をより効果的・効率的に推進し、会員等皆様のご期待に応えていく必要があります。
 近年国土交通省等から総合交通、環境対策案件等、当協会にふさわしい事業を受託できるようになり、協会でできる事業をより多く実施してまいりたいと思います。また、会員の皆様にはより多くの情報提供に努めると共に、ご要望につきましては、共通の目的を持つ他団体との連携の下に、業界の課題の解決に向けた活動をすすめていきたいと思います。
 最後になりますが、本年一年の皆様方のご多幸とご発展を祈念申し上げますと共に、関係方面におかれてもより一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
 
国土交通省総合政策局国際協力課
課長 甲斐正彰
 新年あけましておめでとうございます。
 1月16日付で国際協力課長に着任いたしました。前任の伊藤課長同様よろしくお願い申しあげます。
 さて昨年は、国内経済の低迷や、世界的な株安に加え、一昨年9月11日に発生したニューヨークの同時多発テロに続き、バリ島観光施設での爆発事件などが起こり、さらに大量破壊兵器の開発疑惑を巡るイラク情勢や北朝鮮の核の開発疑惑などで緊張を深める国際情勢により、国際経済の低迷基調が続きました。
 ODAを取まく状況を見てみますと、昨今の厳しい経済・財政状況等を背景にODA予算については、平成15年度予算でも前年度比マイナスが見込まれ、昨年同様厳しい状況にあります。また、ODA(政府開発援助)に対して厳しい目が向けられるとともに、より効果的、効率的な援助の実施、ソフト面を重視する等途上国のニーズヘの対応、透明性の確保、また評価体制の充実等の改革が求められています。
 国土交通省といたしましては、ODAを効果的、効率的に推進するためには、開発途上国の実状やニーズに合った協力を推進することが重要であると考えており、そのためにも、ハイレベルな政策対話や実務者協議等を通じて相手国関係者との十分な意見交換を行うとともに、国別援助方針づくりや国土交通省におけるODAの政策評価に取り組んでいくこととしております。また、地球環境問題のような国際的課題に対しても、クリーン開発メカニズム(CDM)を活用した途上国支援を行うなど積極的に取り組んでいきたいと思います。
 社団法人海外運輸協力協会におかれましては、会員の皆様の事業活動の促進のため、情報収集事業、要人招へい事業、その他研究調査活動等を通じて、効果的協力案件の形成や途上国の人材育成に努められております。世間の目が公益法人にも厳しい世情を踏まえ、これまでにも増して、自らの事業を見つめ直し、貴協会並びに会員の皆様が相互に良く連携を取りながら、より効果の高い協力案件の形成が促進され、効果的なODAの推進により一層貢献されることを期待しております。
 今後とも貴協会や会員の皆様、また、在外にいるアタッシェ・専門家等との連絡・連携を密にし、より良いプロジェクト形成に努めていく所存でございますので、どうか皆様におかれましてもご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 最後になりますが、皆様方の本年一年のご多幸と事業の一層のご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶に代えさせていただきます。







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