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<協会だより>
1. 観光開発研究所の設置について
 当協会会員(財)国際観光開発研究センターが、本年3月31日で解散した。同財団は、観光開発に関する国際協力を行うことに特化して昭和62年から15年間にわたり国際観光振興事業を行ってきたが、近年のODAの効率化に向けた大幅な見直し、景気の低迷による企業からの協賛の困難化等、観光分野における国際協力をとりまく状況の大きな変化に伴い、運輸関係の国際協力業務を広く行ってきている当協会に元化することとなった。
 この動きを受けて当協会は(財)国際観光開発研究センターが実施してきた事業について当協会内に観光開発研究所を設置し、実施可能な範囲で一部引き継ぐこととなった。引継事業は以下のとおりである。
 
(1)国際観光開発促進協力調査(国受託事業)
(2)研修事業(JICA受託事業)
(3)海外観光情報収集、専門家派遣、研修の各事業(国補助事業)
(4)その他、観光関係国際協力事業
 
2. 会議の開催
○運営委員会
 第113回運営委員会は、平成14年2月15日(金)、レストラン立山において国土交通省総合政策局国際協力課伊藤課長他ご出席の下開催された。まず最初に辞任申し出により空席になっていた運営委員長の互選を行った。第154回理事会に報告される議案として、「平成13年度事業計画及び収支予算の一部修正(案)」、「観光関係事業の一部引継ぎ等」、「平成14年度事業計画(案)及び収支予算(案)」、「定款の改正等(案)」、「会員の入退会」、「運営委員の交代」について事務局より説明があった。
 
運営委員長の互選について
 
旧)遠藤博之
(株)パシフィックコンサルタンツインターナショナル
新)井沢 滉 日本交通技術(株)
 
○理事会
 第154回理事会は、平成14年2月22日(金)、レストラン立山において国土交通省総合政策局国際協力課 伊藤課長他ご出席の下開催され、次の議案が審議され議決された。
 
議案
総会に提出すべき議案の議決について
(1) 平成13年度事業計画及び収支予算の一部修正(案)について
(2) 観光関係事業の一部引継ぎ等について
(3) 平成14年度事業計画(案)及び収支予算(案)について
(4) 定款の改正について(案)
  協会規程の一部改正及び制定について(案)
  新入会員及び退会会員の承認について(案)
  運営委員の一部交代について
  資産の運用等について
 
入会
賛助会員
(平成13年9月1日付)
(株)ゼニライトブイ 取締役社長 竹安 正
(平成13年11月1日付)
大日コンサルタント(株) 代表取締役 篠井 力
 
退会
正会員
(平成13年3月31日付)
日本輸送エンジニアリング(株)
(平成13年12月31日付)
(株)福山コンサルタント
賛助会員
(平成13年11月30日付)
(財)日本海事協会
(平成13年12月31日付)
(株)三菱総合研究所
大成建設(株)
 
運営委員の一部交代について
(株)パシフィックコンサルタンツインターナショナル
新)垣内元紀 営業業務部長
旧)遠藤博之 専務取締役
 
(財)国際臨海開発研究センター
新)藤田佳久 企画部長
旧)東俊夫 企画部長
 
○平成13年度 臨時総会
 平成13年度臨時総会は、平成14年2月27日(水)、霞が関ビル東京會館において開催された。同総会の席上、来賓として、国土交通省徳留健二政策統括官により、祝辞をいただいた。議案の審議では、次の議題が審議され、満場一致で承認された。
 
(1)平成13年度事業計画及び収支予算の一部修正(案)について
(2)観光関係事業の一部引継ぎ等について
(3)平成14年度事業計画(案)及び収支予算(案)について
(4)定款の改正について(案)
(5)資産の運用等について
 
3. 協会役職員の異動
 以下のとおり、役職員の異動があった。
 
観光開発研究所(新設)
(平成14年4月1日付) 顧問 新井佼一
(〃) 観光開発研究所長(常務理事) 新行内博幸
(〃) 主任研究員 鈴木定爾
(〃) 原山 進
(〃) 間島徳次郎
 
採用
(平成14年3月20日付) 調査部長 大嶋 薫
(平成14年5月1日付) 企画部調査役 新関陽一
 
退職
(平成14年3月20日付) 調査部長 鈴木敏正
(平成14年4月30日付) 開発部主任 輪湖信一郎
 
4. 要人招へい
 標記事業に対し、以下の要人を我が国に招へいした。本邦滞在中、被招へい者は国土交通省をはじめとする関係機関を訪問し、運輸関連プロジェクトを中心に国際協力全般にわたって、意見・情報交換を行うとともに、各専門分野に係わる関連施設の視察を行った。
 
国名 分野 氏名 所属機関・役職 期間(日数)
バングラデシュ 鉄道 Mr. Khwaja Ghulam Ahmed バングラデシュ運輸交通省次官補 14.1.6〜1.12(7)
モンゴル 航空 Mr. Manj Dagva モンゴル航空局局長 14.1.14〜1.21(8)
ヴィエトナム 海運 Mr. Vuong Dlnh Lam ベトナム海運総局(VINAMARINE)副総裁 14.1.15〜1.23(9)
フィリピン 港湾 Mr. Trinidad フィリピン運輸通信省次官 14.2.20〜2.25(6)
パキスタン 港湾 Real Admiral Ahmad Hayat H カラチ港湾庁総裁 14.3.16〜3.21(6)
インドネシア 港湾 Mr. Chaerudln インドネシア港湾浚渫局参事官 14.3.18〜3.29(12)
 
5. 「都市鉄道開発セミナー」の開催
 
 
 
 
 
 本年1月、当協会は国土交通省の依頼により、タイ国首相府陸路交通委員会(OCMLT)、タイ国運輸通信省共催でタイ・バンコクにおいて、「都市鉄道開発セミナー」を開催した。
 当協会は平成11年度から「運輸インフラ整備のための民活導入支援セミナー」事業の一環として、日本国鉄の民営化、日本の都市鉄道整備と地域開発等をテーマとした鉄道に関するセミナーを、中国・北京、インドネシア・ジャカルタで開催している。本年度はタイ・バンコクの都市交通関係者に対して、我が国は大量輸送を担う都市鉄道をいかに有効なシステムとして構築してきたのか、主に東京の都市鉄道の優れた現状を事例を挙げながら紹介した。
 また、タイの都市交通計画担当者からはタイの都市鉄道計画の現状と将来についても講演があった。
 セミナーには、タイ政府関係者及び在タイ日本人関係者を中心に、当初予想を大きく上回り100名を超える参加者があった。9時から17時半までと長時間ではあったが参加者は熱心に聴き入り活発な意見交換が行われた。
 セミナーの概要については以下のとおりである。
 
プログラム
開会挨拶
トッポーン・ワッチャナスワッティ首相府陸路交通委員会事務局次長
石川和秀 在タイ日本国大使館公使
基調講演
瀬賀康浩 国土交通省総合政策局国際協力課課長補佐
「鉄道分野における国際協力に関する国土交通省の基本的考え方」
講演
樋口清 東日本旅客鉄道株式会社 運輸車両部輸送課 副課長
「JR(旧国鉄)が果たしている都市鉄道輸送の役割」
川上邦雄 (社)海外鉄道技術協力協会都市交通部長
「東京における地下鉄の『相互直通システム』について」
南井健治 近畿車輌株式会社デザイン室課長
「都市鉄道車輌とデザイン」
山口浩孝 国土交通省鉄道局業務課課長補佐
「東京圏の都市鉄道行政について」
カムロプラック・スラサワーディ首相府陸路交通委員会事務局メガプジェクト室長
「バンコク都市鉄道計画の現状と将来について」
質疑応答
閉会挨拶 ティプスダ・チャラヴァジャサラン運輸通信省運輸通信政策計画局長
山下哲郎 当協会理事長
 
(講演要旨)
1 基調講演「鉄道分野における国際協力に関する国土交通省の基本的考え方」
国土交通省総合政策局国際協力課課長補佐 瀬賀康浩
 我が国は世界最大の援助国とはなったが、近年は厳しい経済・財政状況の下、ODAをめぐる状況は厳しくなっている。政府としては、ODAの適正かつ効果的・効率的な実施に取り組むとともに、その透明性の向上に一層の努力を払っていく必要がある。施策の透明性を高め、より効果的・効率的なODAを実施していく取り組みの一環として、99年8月に閣議決定したODAに関する中期政策について説明した。
 また、政府は国毎の事情に適合した効果的・効率的な支援に努めることを目指し、開発計画や開発上の課題を勘案した上で、今後5年間程度を目処とした我が国の援助計画を示す国別援助計画を現在10カ国について策定し、この中には、タイが含まれることについても触れた。
 我が国の運輸分野の援助については、最近5年間では円借款全体の20%程度で、そのうち鉄道分野が半分以上を占めている。また、アジア諸国の円借款では都市間の鉄道プロジェクトよりも都市内の鉄道プロジェクトが主として進められていることを紹介した。
 また、これからの国際協力にとって、相手国の実状やニーズを的確に把握して、それを整理し、優良な案件を発掘、形成していくことが重要であり、さらに我が国の援助が効果的・効率的に実施されるためには、他の援助国や国際機関と緊密な連携・協力を行いつつ進めていくことが重要である旨繰り返した。また、自家用車に比べ、二酸化炭素の排出の少ない鉄道は環境への負担が少ないこと等を踏まえ、我が国は新幹線や都市鉄道といった優れた技術やノウハウをもっており、これをうまく活用していければよい旨述べた。
 
2 講演
(1)「JR(旧国鉄)が果たしている都市鉄道輸送の役割」
東日本旅客鉄道(株) 運輸車両部輸送課副課長 樋口 清
 我が国のJR(旧国鉄)は、都市間輸送の鉄道システムとしての機能を果たしつつ、さらに線路容量や駅施設、車両、電気・保安システム、輸送サービス面の改良・工夫により、都市間鉄道としての重要な機能を果たしている。
 また、都市間輸送と都市内輸送の特性やそれぞれの鉄道システムの機能的な違いについて説明するとともに首都圏では乗り換えの利便性の向上や輸送機関ごとの協力(連絡運輸、サービス向上他)等によりこれを有機的に連携させることにより、都市間輸送と都市内輸送を効率的かつ機能的に実現していることを説明した。また、併せて、高齢者・身体障害者への対応や環境対策に関する取り組みが必要になっていくことを踏まえ、鉄道事業者としての取り組み状況等を紹介した。
 都市鉄道の機能整備や維持管理について、例えば、車両や線路などの安全性・耐久性・信頼度・保守性の向上のための取り組み、或いは導入時や維持時のコストなどについてJRの考え方、特徴を紹介した。また、併せて駅を中心とする大都市の鉄道システムは総合的な技術・文化が集約されたものであることについても触れた。
 
(2)「東京における地下鉄の『相互直通システム』について」
(社)海外鉄道技術協力協会 都市交通部長 川上邦雄(前帝都高速度交通営団外務担当部長)
 東京の地下鉄は、既存の他社路線の有効活用、乗客の利便性の向上、駅共同使用による経済性向上、運行効率向上等を目的として、世界でもユニークな相互乗り入れを実施し、広範にかつ極めて有効に活用されていることを紹介した。相互乗り入れによって都心部の路線と既設の路線との有機的な接続が図れ、広域的な鉄道ネットワークが構築されるという効果があること、さらに相互乗り入れのために検討された事項などを紹介した。このような日本の経験の事例は、バンコクをはじめとする都市鉄道システム構築の参考に大いに資するものだと述べた。
 
(3)「都市鉄道車輌とデザイン」
近畿車輌(株)デザイン室課長 南井健治
 鉄道の機能は、当然のことながら、廉価で質の高い輸送サービスの提供にあるが、とりわけ、利便性・安全性・速達性・定時制・経済性が重要であり、日本の都市鉄道においては、高い密度で効率的に運用され、しかも時刻表どおりで安全である等、こういった機能が極限まで追求され、実現していることを紹介した。さらに日本の鉄道車両においては、徹底的な軽量化、メンテナンスフリー化を進めてきており、軽量化の結果、高密度運転を可能にする高い動力性能、運行時の騒音振動等環境問題に対する高い適応性、使用電力量の低減等、高いエネルギー効率、土木構造物等インフラ部分の軽量化、効率的なメンテナンスフリーシステム、各種安全対策への適応、トータルシステムとして、コンパクトで経済的なシステム構成を発揮が可能であることを実例をあげて紹介した。
 
(4)「東京圏の都市鉄道行政について」
国土交通省鉄道局業務課課長補佐 山口浩孝
 日本では都市は鉄道駅を中心として発達し、都市間輸送も鉄道を重視してきたことなど、主に東京を中心とした首都圏において、通勤通学等をはじめとする都市交通輸送の中で、都市鉄道が極めて有効な手段として整備が進められているといった現状とその担っている役割について、その背景などを含めて紹介した。また、一方で、このような都市の重要な機能を担う都市鉄道の整備には、莫大な投資と多数の関係者間の合意形成、長大な工事期間を要すること等から、円滑な都市鉄道の整備促進を図るため、国や地方政府(行政)が重要な役割を果たしており、これを踏まえ、公共交通機関としての都市鉄道の整備に対するマスタープラン(運政審答申)の策定や建設費に対する助成、税制上の優遇措置等の行政の果たす役割や支援政策について紹介した。また、今後ますますその取り組みの重要性が増大すると考えられるバリアフリーや環境対策など将来へ向けての政策についても紹介した。
 
(5)「バンコク都市鉄道計画の現状と将来について」
首相府陸路交通委員会事務局メガプロジェクト室長 カムロプラック・スラサワーディ
 バンコクは人口の急激な集中化から発生する深刻な交通渋滞、それにより発生している慢性的な大気汚染といった問題を抱えており、タイ政府は、解決策の一つとして大量輸送を可能とする都市鉄道の導入に向けたプロジェクトの計画を進めていることを紹介した。このタイ首都鉄道輸送開発計画について日本の都市とバンコクおよびその周辺地域を比較しながら現状を説明するとともに今後の具体的な計画について説明した。







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