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3. 新北九州空港活用の条件
(1)競争力優位性の確保
(1)運用時間の拡大
・SCM(サプライチェーンマネジメント)が進展するなかで、企業の競争力向上の観点からも、リードタイムの短縮が不可欠である。そのためには、出荷当日に航空機への搭載が可能となり、九州地域から深夜に出発する航空便(フレーター中心)と北部九州都市圏を市場とする貨物の配達時間を早めるための早朝到着便(ベリー中心)の利用拡大を図ることが必要である。
・しかし、完全24時間運用には、相当のコストも必要とし、また空港施設のメンテナンス上も完全24時間運用はむずかしいことから、当面は運用時間を最大限拡大することが考えられる。
(2)CIQ体制の整備
・国際便運航にあたり、入国管理局、税関、検疫所等によるCIQ業務が実施となる。旅客等の出入国または貨物の輸入は原則として指定空港において行うこととされており、指定空港においては、常駐しているCIQ機関の職員または当該空港を担当する近隣のCIQ職員が実施するが、非指定空港においては、運航計画について事前の許可等をCIQ機関が行った場合に、臨時的措置として近隣のCIQ機関の職員が出張して実施している。
・新北九州空港においては、できる限り指定空港の要件を満たし、CIQ体制を整備することにより、貨物取り扱いに係る利便性を向上させる必要がある。
・特に運用面では、深夜・早朝、休日における開庁の実施と円滑化が求められる。
(3)利用コストの低減化と事業に係るインセンティブの付与
・関西国際空港では、平成13年度より2ヶ年度の限定で実施してきた新規就航会社乗り入れ・既往会社増便の着陸料の割引措置を平成15年度以降も継続することを決めており、着陸料は41万円(B747)となっている。また、中部国際空港も同程度の着陸料となる見通しで、成田空港においても民営化による競争に備えて、今後着陸料の引き下げが行われる可能性もある。
 一方、第2種空港の着陸料は現在、約40万円(現在26の地方空港と羽田路線で実施中の3分の2の軽減措置の場合・・・平成11〜14年度の期間限定)であり、この水準であると着陸料面での地方空港の優位性はほとんどない状況にある。
・したがって、貨物航空を促進するためには、航空フォワーダー側の立地インセンティブ、利用インセンティブとなるようなコスト削減に係る支援施策が求められる。
・具体的には、FAZの指定を受けている多くの地方空港において実施されている横持ち輸送への助成措置等が考えられる。
・また、貨物ターミナル施設を低コストで建設し、共同上屋を整備して上屋使用料への転嫁を極力抑えるようにすることや、施設保有を最小限としたい海外航空会社の利用を促進するために、共同荷捌き施設利用や空港会社でのグランドハンドリング自営化による料金等の低廉化を図る方策などが考えられる。
(4)特殊貨物等の取り扱い機能の整備
・フレーターのメリットを発揮させやすい特殊貨物を取り扱うことが必要である。なかでも薫蒸を必要とする生鮮食品の取り扱い、一般のインテグレーターでは取り扱いにくいスモールパッケージ、例えばベリーでは輸送が制限される危険品類などの取り扱いが可能となる施設・機能を備えることも、差別化の要因として考えられる。
(5)空港ターミナル地域への手倉集積の促進
・空港ターミナル地域への手倉集積を促進するために、低廉な価格で用地賃借等が可能となるように、支援を行う必要がある。また、FAZ制度や特区制度を活用し、許可手数料の低減化を図るなど、事業者の立地インセンティブを検討する必要がある。
(6)空港アクセスに係る公租公課の低減化
・貨物の陸上輸送に係るコスト削減に資するために、空港連絡橋梁等の無料化を図るなどの方策を検討する必要がある。
 
(2)貨物需要の取り込み
(1)ベリー運航を基盤としたベースカーゴの獲得
・北部九州圏及び相手国相互においてベースカーゴを獲得し、片荷とならないように双方向での集荷・輸送が実現させることが、路線成立の観点からも重要である。
・韓国、中国、香港、台湾等の路線の拡充を図るとともに、機材の大型化(B767クラス以上)を目指した需要創造を貨客両面から促進する必要がある。
・国際SCMに位置づけられた拠点間の流動を伴う貨物(なかでも、生産拠点の東アジアシフトによる国産部品の輸出、中国・韓国における日本向け製品の輸入など)をベースカーゴとして取り込むことが望まれる。
(2)フレーターの運航によるフレキシブルな航空貨物への対応
・中国等との物流拡大に伴い、効率的・効果的な輸送モデルを構築することにより、定期フレーターの運航を実現させることが望ましい。
・また、様々な貨物形態に応じた需要の取り込みを行っていくことも必要がある。特に、動物(牛・馬等)や生鮮等の九州・中国圏域における逐次貨物、緊急貨物の輸送に対応したチャーターフレーターを受け入れていくことが考えられる。また、研究・開発と連動した多様な新商品のサンプル品の輸出入などにも迅速に対応することにより差別化を図ることが考えられる。
・現在、博多港にある農林水産省動物検疫所博多出張所(福岡市東区西戸崎)の係留施設(1500頭収容で全国最大)を2005年4月の開業を目指して新門司港の埋立地「マリナクロス新門司」に移転することが決定した。これが実現することにより、北米からの肥育用馬の輸入等、北米路線の動物輸送に係るチャーターフレーターの設定などが期待できる。また、同一機材を利用した輸出貨物の搭載も期待される。
 
(3)新しい輸送モデル・物流ビジネスモデルの構築
(1)特定荷主、事業者に特化したサービスの提供
・主要な荷主企業を有するフォワーダーの立地を促進することにより、荷主企業の新北九州空港選択の機会を拡大することが必要である。そのためには、リアルタイムで国内外の航空会社、フォワーダー及び荷主企業における各事業者間のシーズとニーズを抽出し、マッチングさせるシステムが必要である。
・また、事業者の連携を図り、新北九州空港を特定荷主のSCMに組み込まれた生産・出荷拠点、販売拠点と物流拠点をつなぐゲートウェイとして活用できる輸送モデル・物流ビジネスモデルを構築し、定期フレーターの運航を実現すること必要である。
 
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特定荷主に特化した輸送モデルのイメージ
 
(2)特定路線・特定航空会社の立地
・特定路線設定や福岡空港に運航する航空会社と競合関係にある航空会社の誘致を図ることにより、荷主企業やフォワーダーにとって、選択機会を拡大し、航空利便性とコスト低減メリットを創出することが必要である。
・インテグレートサービスを行う航空会社や物流事業者の拠点形成もその一つの方策といえる。具体的には、東アジアをターゲットとしたFedEx、UPS、TNT等のインテグレーターの中継基地として、新北九州空港の活用を働きかけていくことが考えられる。
(3)規制緩和等による特別恩恵の付与
・国際物流特区における特区制度を有効に活用し、貨物航空の利便性向上に物流ビジネスのインセンティブを付与していく必要がある。
 
(4)新たな路線誘致・企業誘致
(1)「既得権の恩恵」外にある航空会社、航空協定外運航となる航空企業へのアプローチ
・需要地における空港は混雑空港として発着枠の制約が生ずるとともに、既存エアラインの歴史的な既得権に支配されている場合が多い。また、福岡空港においても旅客中心のダイヤにより、貨物航空に注力した航空会社の新規に乗り入れは容易なことではない。
・そこで、発着枠の制約から混雑空港への運航の可能性が低く、航空輸送権(トラフィックライト)を持たない航空会社を積極的に誘致することも考えられる。
(2)航空会社総代理店(GSA)の誘致
・航空会社総代理店と航空会社を連携させて、競争力のある輸送パッケージ商品を新北九州空港において創り出すことも考えられる。また、航空会社総代理店が自国において有している荷主に対してのセールスを展開するために、新北九州空港利用のメリットを周知してもらうための広報活動も今後必要となる。
(3)その他の方策
・その他の方策として、以下の内容が考えられる。
・空港ターミナル・オペレーション会社の誘致。
・航空利用型企業(航空関連産業等)の立地促進。
・港湾、道路、鉄道等との連携(インターモダリティ輸送)の促進。







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