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ご挨拶
(財)九州運輸振興センター
会長 田中 浩二
 
 平成14年度第2回理事会に於きまして、(財)九州運輸振興センターの会長として選任を受けました田中です。私は、これまで当センターが築いてきた貴重な資産を活かしつつ、「活力と魅力あふれる九州」の実現に向け、全力を傾注する所存です。どうぞよろしくお願い致します。
 さて、今、日本社会は歴史上の大きな転換期にあるといえます。企業のあり方、社会保障、更には政治に至るまで、旧来の社会システムに変革が求められております。経済についても「失われた12年」と言われる状況であり、景気の低迷や長期債務の拡大など諸問題を解決すべく、財政、金融、行政面での真の構造改革が求められております。
 先を読むことが難しい時代ではありますが、現状を的確に把握し、潮流を見極めながら、新しい戦略を実行していくことは、競争時代を勝ち抜くうえで不可欠なことであります。
 当センターに課せられた使命は、皆さまが抱えるさまざまな問題に対してソルーションを提供し、新しい一歩をリード・サポートしていくことだと考えております。
 当地域を取り巻く環境を踏まえながら、日本再生の鍵とも言われる「地域自律」の視点からセンターの課題と抱負について述べたいと存じます。
 現在の日本の閉塞感をもたらした大きな要素の一つは東京を中心とした中央集権型の社会構造であり、今こそ、地域が自己決定・自己責任のもと、自らの発想で地域の競争力を高めていくことが重要であります。地域産業においても、従来のビジネス構造から脱却し、“全体最適化”の視点で、その競争力アップに努めることが重要となっております。そして、その基盤とも言えるビジネス環境を支える運輸部門には、より効率的で競争力ある姿が求められております。折りしも、ここ数年には新北九州空港が開港し、響灘・アイランドシティといった大深度港湾も供用開始、更に九州新幹線鹿児島ルートが部分開業するなど、域内の人流・物流は新しい段階を迎えようとしております。当地域の海運と流通に関する唯一の調査研究機関として、当センターは将に重要な時期を迎えていると言えます。
 また、地域の競争力を考えるうえで、重要な潮流としてグローバル化があります。ITの後押しもあり、人、物、金、情報が国境を越えて移動する時代となり、将にあらゆる事柄が地球規模の大競争といった様相を呈しております。地域間競争も当然、国内外が対象となります。運輸部門におきましては、昨今のサプライチェーン・マネジメントの拡大もあいまって、各輸送モードのより緊密な連携、さらにハードのみならずソフト面での優位性が重要になってきております。国を挙げてインフラ整備が進められているアジア諸国に対抗できるような、より有利なビジネス環境の整備が望まれております。
 当センターでは、地域の競争力強化に向けた数々の調査研究事業に取り組むとともに、コロキアムなどを通じて、最先端の情報を地域で共有し、活用していけるよう努めてまいる次第です。
 そして、地域自律のためには地域が抱える問題を解決することも重要であります。その一つに少子高齢化がございます。ご存じの通り、九州は全国に比べ老齢人口比率が高く、又全国に先駆けて2004年にも人口減少社会に突入するという予測が出ております。こういった社会においては、従来と違った視点が重要になってまいります。域内の輸送ネットワークについては効率性は当然として人への優しさが、そして物流や人流についても一定量の確保に向けた新しいマーケットの開拓が重要となってまいります。そして、当地域は離島数全国1位の長崎県をはじめ、離島を多く抱えておりますが、この問題は離島地域で特に深刻であります。当センターでは、このような地域独特の課題についても率先して取り組んでまいる次第です。
 日本経済は外需主導で回復局面にあったとはいうものの、物価の下落幅拡大や輸出の頭打ち、さらに足元では個人消費や設備投資の低迷により、依然、先行き不透明な厳しい状況であります。賛助会員の皆さまにおかれましても大変厳しい状況であると存じます。
 当センターは、「地域貢献」と「会員価値の拡大」をより重要な視点として、今後も鋭意努力していく所存であります。皆さまのより一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
 







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