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私はこう考える【イラク戦争について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/04/10 朝日新聞朝刊
イラク国民、政権を見切った フセイン体制崩壊
川上泰徳
 
 中東でも最も強固な独裁と思われたフセイン体制が9日、もろくも崩壊した。圧倒的な軍事力を動員した米英軍の前に、目立った抗戦もなく、首都中心部に攻め込まれ、フィルドウス広場の像は、米軍の装甲車両に引き倒された。独裁体制の幕切れを象徴する光景だった。
 サダム・フセイン大統領は米国の「侵略戦争」に死を賭しての国土防衛やジハード(聖戦)を訴え続けたが、国民は動かなかった。体制の最期まで行方をくらました為政者の身勝手さを、国民は見切っていたのだろう。
 フセイン大統領は79年にアラブ民族主義を訴えたバース党政権を掌握し、大統領に就任して以来、24年間にわたって、アラブの大国イラクを支配してきた。党の公安機関を使って政敵を排除しつつ、自分の権力を積み上げてきたフセイン大統領にとって、国家は自分の野心を実現する道具に過ぎなかった。
 推定埋蔵量世界2位といわれる石油の収入は、教育や医療の無料化、優秀な官僚の創出につながり、一時はイラクがアラブ世界の中でも、高等教育が整備された近代化の最先端を走っていた。
 だが、80年から8年続いた隣国イランとの戦争、90年夏のクウェート侵攻、91年の湾岸戦争と、「戦(いくさ)」を次々と国民に強いた。湾岸戦争後は国連経済制裁下でなお米国との対決姿勢を続け、それが今回のイラク戦争につながった。
 フセイン体制は、国民を複雑な秘密警察のネットワークで縛り、密告を奨励し、体制に従わない者を徹底的に排除した。バース党の文民出身で、軍という確固たる支持基盤を持たなかったことが、ささやかな謀反の芽を片端から摘むという猜疑(さいぎ)心に満ちた息苦しい体制を作り上げた。
 国家のためでも党のためでもなく、ただ自分を守るためにすべてを犠牲にする。フセイン大統領個人の強迫観念を体現したような体制だった。
(中東アフリカ総局長)
 
 
 
 
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