【ブリュッセル=脇阪紀行】大量破壊兵器やテロの脅威に対抗する「新戦略」を目指す北大西洋条約機構(NATO)が、その目標を共有するはずのイラク戦争によって、逆に混迷を深めている。米英と仏独との対立。トルコの、米国への基地提供の拒否。NATO内部の亀裂は深刻だ。
31日、マケドニアの首都スコピエで、NATOから欧州連合(EU)へ治安維持業務の移行式が行われた。NATOのロバートソン事務総長、EUのソラナ外交代表らが出席、300人余りのEU部隊の門出を祝った。
旧ユーゴでの民族紛争に、NATOは米軍主導による空爆などで対応してきた。しかし、「欧州周辺の平和と安定維持は欧州の力で行う」とのEUの方針に沿って、NATOはこうした地域紛争における役割からの脱却を図っている。04年にはボスニアの治安維持もEU部隊に引き継ぐ予定だ。
しかし、「反テロ戦」に向け組織を再編するというNATO新戦略の実現には、壁が立ちはだかる。昨年11月には、5〜30日間で展開する2万人規模の「即応部隊」創設が決まったが、ハイテク機器の調達計画がようやく練られ始めた段階だ。
NATOは米政府の強い要請を受け、フランス抜きでトルコ防衛支援を決めた。にもかかわらず、トルコ政府は米軍への基地提供を拒み、イラクへの越境の動きさえ見せている。
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