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私はこう考える【イラク戦争について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/03/31 朝日新聞朝刊
二重基準が嫌われる イラク戦争(社説)
 
 「この攻撃を35以上の国が支持している」。開戦の日の演説で、ブッシュ大統領は、米国は孤立していないと訴えた。
 あれから10日が過ぎ、戦争への支持が広がるどころか、反米、反ブッシュの声はアラブ世界を中心に高まるばかりだ。
 安保理決議に基づいて行われた湾岸戦争では、多国籍軍にアラブを含む28の国が兵を送った。今回実戦部隊を派遣して協力しているのは英豪だけ。韓国の国会は反戦世論を前に派兵の議決ができないでいる。
 それでも米国務省は、戦争への支持を表明した国が30、内々に支持を伝えている国も含めれば45カ国にのぼるという。
 30の顔ぶれで目立つのは、日本を含む旧来の同盟国、米国が「新しい欧州」と持ち上げた東欧の新同盟国と並んで、深刻な貧困を抱え、健全な民主主義にもほど遠い国が3分の1以上を占めていることだ。
 例えば、アフガニスタンなど6カ国は、世界銀行が「失敗国家」か「失敗の恐れのある国家」とみなす国々だ。
 各国の政府は、米国の経済援助や政治的な支援に頼らざるを得ない。それが米国支持の大きな理由だろう。
 ウズベキスタンやアゼルバイジャンでは、ソ連時代の共産党幹部が今も独裁的な支配を続け、反政府勢力や報道機関を厳しく締め付けている。グルジアでは政権の腐敗や汚職が批判を浴びている。
 中東の「民主化」をイラク戦争の目的にあげるブッシュ政権が、本来なら決してほめることのできない政治体制だ。事実、こうした体制を米国は長く批判してきた。
 それが、9・11のテロで変わった。
 アフガニスタンでの戦争遂行に協力を得る必要から批判の矛を収め、逆にアフガン周辺国の体制てこ入れに乗り出した。
 その結果、これらの国の強権支配はむしろ強まっている。「米国との連携は民主化を促さず、何をしてもよいという自信を指導者たちに植えつけた」。昨夏の米上院外交委員会で、中央アジア研究の権威マーサ・オルコット氏はそう証言した。
 今回の支持も、米国からの一層のてこ入れを期待してのことではないか。
 崇高な理念を掲げながら、実際には目先の軍事、経済的な利害を優先し、たとえ理念にそぐわない相手であっても手を結ぶことをいとわない。そうした米外交の二重基準に不信の目が注がれる。
 今に始まったことではない。かつて、イランに戦争を仕掛けたフセイン大統領をイラン憎しで助け、「中東の怪物」に育ててしまったのは、他ならぬ米国だった。
 米欧同盟の亀裂は深い。対テロ戦争で蜜月を誇った米ロ関係も、ロシアからイラクへのハイテク兵器輸出疑惑で首脳同士がやりあうまでに悪化した。
 米国のなりふり構わぬ「その場その場の同盟」主義に世界が揺れる。イラク戦争への支持が広がらない大きな理由だ。
 
 
 
 
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