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2003/03/26 朝日新聞朝刊
米朝にらみ揺れる韓国 イラク戦争(社説)
米英軍のイラク攻撃の行方を、日本と同様、韓国も固唾(かたず)をのんで見つめている。韓国民の視線の先にあるのは、米国がこうした戦争を朝鮮半島でも始めはしないかという不安だ。
米国の大手格付け会社が開戦前の先月、韓国債の格付けを引き下げた。理由は安全保障上の不安だった。株価も低迷を続けている。
盧武鉉(ノムヒョン)大統領は「韓半島で戦争はないというのが、米当局者の考えだ」と、国民に向けて繰り返し語りかけ、動揺を抑えようと懸命である。
大量破壊兵器の脅威をなくすには、同盟国や国連の同意なしの先制攻撃も辞さない。このブッシュ米政権の考え方からすれば、核や弾道ミサイルの開発を続ける「悪の枢軸」の北朝鮮は、次の標的になりかねない。米政府内にもそうした指摘がある。
しかし、北朝鮮への攻撃となれば、北からの報復によって韓国は甚大な被害を受けるだろう。イラク攻撃ほど容易な決断ではなかろうが、それでもブッシュ政権ならやるかも知れない。それが韓国民には心配なのだ。
盧大統領はイラク攻撃への支持を表明し、工兵と医療支援部隊をイラクへ派遣する方針を決めた。盧氏は「韓米同盟関係の大切さ」を理由とし、さらに「この戦争が北の核問題に悪影響を及ぼさないよう、外交努力に最善を尽くす」と表明した。
同盟の緊密さを再確認することによって米国に対する韓国の発言力を強め、それをてこに米国が北朝鮮に対してのっぴきならない行動に出ないよう抑え込みたいということであろう。
しかし、国内は大揺れだ。国連決議のない戦争への協力に反対する声が噴きだし、国会での承認は難航している。
世論調査によれば、国民の8割がイラク攻撃に反対だ。盧氏を大統領に押し上げた市民や労働団体が派兵反対の中心だ。
ブッシュ政権は、北朝鮮の核開発を理由に米朝枠組み合意が定めた重油の供給を止めて以降、「問題の外交的解決は可能」と言いつつ直接対話には一切応じていない。緊張をほぐす糸口は見えないままだ。
幸い北朝鮮は、イラク戦争が始まってからは挑発的な行動を見せていない。金正日総書記の動静も1カ月以上伝えられていない。戦争の推移に目を凝らしているに違いない。
この先、北朝鮮が使用済み核燃料棒の再処理を再開するといった動きを見せれば、米朝関係は一気に緊迫するだろう。北朝鮮問題はいずれ世界の焦点となる。
小泉首相はイラク戦争支持の理由を問われ、米軍事力が北朝鮮への抑止力になっているからという考えをにじませている。
しかし、抑止すべきは米国の先走りでもある。韓国が恐れる問題は、日本にとってもひとごとではない。
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