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私はこう考える【イラク戦争について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/02/12 朝日新聞朝刊
理は仏独にある 米欧の亀裂(社説)
 
 対イラク戦争へ秒読みに入ったブッシュ米大統領にとっては、思わぬ展開だろう。
 米政府は開戦に備え、北大西洋条約機構(NATO)に、イラクと国境を接するトルコの防衛を強めるよう求めた。ところが仏独とベルギーが反対し、要請は却下されてしまった。
 シラク仏大統領は同じ日、ロシアのプーチン大統領とともに、イラクの武装解除に向け査察の強化を求める仏独ロ共同宣言を発表した。イラクに対する最後通牒(つうちょう)として新たな国連決議案を出そうとする米英両国への牽制(けんせい)である。
 査察団の追加報告を受けて始まる安保理の討議は難航が避けられまい。
 国連による査察をさらに続け、大量破壊兵器を完全に廃棄させる。戦争はあくまで最後の手段だ。対米関係の悪化を覚悟のうえで、仏独両国はそう主張する。
 シュレーダー独首相にとって、イラク攻撃への非協力は昨秋の総選挙での公約である。米国とは常に一線を画すというのが、冷戦時代以来の仏外交の伝統だ。
 だが、米国に真っ向から反旗を翻した理由は何より、ブッシュ政権のイラク攻撃必要論がどうにも腑(ふ)に落ちないことだろう。
 フィッシャー独外相は先週ラムズフェルド米国防長官と同席した会議で「私は納得できない。納得できないものを国民に説明できない」と、英語を使っていい切った。
 確かに、小出しの譲歩でしのごうとするイラクの姿勢は信用できないが、だからといっていま全面戦争に突き進むべき差し迫った脅威は見えない。「9・11」のテロとイラクの結びつきを示す証拠もない。
 ブッシュ政権が戦争の目的を政権の転覆に置いていることへの疑問もある。その先制攻撃論が、自衛の戦争しか認めない国際法秩序を崩すことへの危惧(きぐ)も募る。
 欧州は一枚岩ではない。英伊や旧東欧の国々など8カ国首脳は先に米国の立場を支持する共同の書簡を発表してもいる。
 だが、こうした国々でも世論は反戦色がきわめて濃い。英国ではタイムズ紙の調査で査察の継続への支持が9割に迫った。
 欧州世論の根っこには、地球温暖化問題からイラク政策まで、ブッシュ政権を貫く単独行動主義への憤りや不信がある。
 さて、日本である。小泉首相は「同盟国としての責任ある対応を」というばかりだ。米国と多国間同盟を結ぶ欧州とは立場が異なる。北朝鮮の核開発問題を抱えてもいる。しかし、黙っていては真剣勝負で切り結ぶ外交戦のなかで埋没してしまう。
 誰にも先は読めない。仏独とて主張がそのまま通るとは信じていまい。それでも対立する利害を調整しつつ、より良い策を模索するのが外交というものだ。
 国内の各種世論調査でも大半がイラク攻撃に反対している。小泉首相は同盟国として米国に平和的解決への努力を促すべきではないか。それが国民の期待である。
 
 
 
 
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