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参考資料
 ここに掲載するSOLAS条約第V章の抜粋は2000年12月に採択された「1974SOLAS条約の附属書第II−2章及び第V章の全面改正決議MSC.99(73)」の仮訳から抜粋したものである。
 
第V章
航行の安全
第1規則 適用
1 他に別段の明文の規定がない限り、本章は次を除く全ての航海に従事する全ての船舶に適用する。
.1 軍艦、支援艦又は締約政府により所有又は運航され、政府の非商業活動のみに使用されるその他の艦船
.2 北米の五大湖並びにこれらに連結部及び支流(カナダ国ケベック州モントリオールのセント・ランバート・ロックの下流側出口を東端とする)のみを航行する船舶
 しかしながら、軍艦、支援艦又は締約政府により所有又は運航され、政府の非商業活動のみに使用されるその他の艦船については、出来る限り、本章に従って行動することを推奨する。
 
2 主官庁は、国際法により確立された規準線から陸寄りの水域のみを航行する船舶への本章の適用の程度を決めることができる。
 
3 専用かつ一体の曳き船及びはしけの組み合わせとして設計された場合、強固に結合された駆動船と被駆動船は、本章の適用上、単一の船舶とみなされる。
 
4 主管庁は、次の種別の船舶への第15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、
27及び28規則に掲げる要件の適用の程度を決定する。
.1 全ての航海に従事する総トン数150トン未満の船舶
.2 国際航海に従事しない総トン数500トン未満の船舶、及び
.3 漁船
 
第18規則 航行設備、機器及び航海記録装置の承認及び検査並びに性能規準
1 第19規則及び第20規則の規定に適合することが要求される設備及び機器は、主管庁の型式承認を受けたものとする。
 
2 第19規則及び第20規則の機能要件を満たすため、2002年7月1日以降に設置される設備及び機器は、付属する予備装置を含み、適用可能な限り、機関が採択した性能基準注2)を下回らない適当な性能基準に適合に適合するものとする。
注2)機関が決議として採択した次に掲げる勧告を参照すること。
・全世界的海上遭難・安全システム(DMDSS)の一部を形成する船舶搭載無線機及び電子航法装置の一般要件に関する勧告(決議A.694(17))
・ジャイロ・コンパスに対する性能基準に関する勧告(決議A.424(XI))
・レーダー機器に対する性能基準に関する勧告(決議MSC.64(67)附属書4)
・自動衝突予防援助装置に対する性能基準(決議A.823(19))
・適切に決議MSC.64(67)附属書5及びMSC.86(70)附属書4により改正された電子海図表示表示装置(ECDIS)に対する性能基準に関する勧告(決議A.817(19))
・航海に対する精度基準に係わる勧告(決議A.529(13))
・船舶のロラン−C及びチャイカ受信機器に対する性能基準に関する勧告(決議A.818(19))
・決議MSC.112(73)により改正された船舶のGPS受信機器に対する性能基準に関する勧告(決議A.819(19))
・決議MSC.113(73)により改正された船舶のGLONASS受信機器に対する性能基準に関する勧告(決議MSC.53(66))
・決議MSC.114(73)により改正された船舶のDGPS及びDGLONASS海洋無線標識受信機器に対する性能基準に関する勧告(決議MSC.64(67)附属書2)
・決議MSC.115(73)により改正された船舶の一体型GPS/GLONASS受信機器に対する性能基準に関する勧告(決議MSC.74(69)附属書1)
・針路制御装置に対する性能基準に関する勧告(決議MSC.64(67)附属書3)
・航路制御装置に対する性能基準に関する勧告(MSC.74(69)附属書2)
・全世界船舶自動識別装置(AIS)に対する牲能基準に関する勧告(決議MSC.74(69)附属書3)
・測深装置に対する性能基準に関する勧告(決議MSC.74(69)附属書2により改正された決議A.224(VII)
・船速距離計に対する性能基準に関する勧告(決議MSC.96(72)により改正された決議A.824(19))
・回頭速度計に対する性能基準(決議A.526(13))
・航海機器に対する性能基準の統一に関する勧告(決議A.575(14))
・聴守場所における騒音レベルの計測方法に関する勧告(決議A.343(IX))
・レーダー反射器に対する性能基準に関する勧告(決議A.384(X))
・磁気コンパスに対する性能基準に関する勧告(決議A.382(X))
・昼間信号燈に対する性能基準に関する勧告(決議MSC.95(72))
・音響受信装置の性能基準に関する勧告(決議MSC.86(70)附属書1)
・磁気針路情報伝達装置(TMHDs)の性能基準に関する勧告(決議MSC.86(70)附属書2)
・航海記録装置(VDRs)の性能基準に関する勧告(決議A.861(20))
・針路情報伝達装置(THDs)の性能基準に関する勧告(決議MSC.116(73))
 
3 2002年7月1日より前に建造された船舶において設備及び機器が交換又は追加された場合には、当該設備又は機器体、合理的かつ実用的である限り、第2項の規定に適合するものとする。
 
4 機関による性能基準の採択前に設置された設備及び機器は、機関が採択した奨励される基準に注意を払った上で、主管庁の指示により引き続き当該基準に対する全面適用から免除される。しかしながら、第19規則2.1.4の海図保持要求を満足するものとして認められる電子海図情報表示装置(ECDIS)については、設置時期において有効な機関により採択された性能基準を下回らない、又は1999年1月1日前に設置された装置については1995年11月23日の時点で機関が採択した性能基準を下回らない関連する性能基準に適合するものとする注)
注)電子海図情報表示装置(ECDIS)の性能基準に関する勧告(決議MSC.817(19))
 
5 主管庁は、製造者が型式承認の状態に継続して適合していることを確保するために、資格を持つ当局により監査を受けた品質管理制度を有することを要求する。この替わりとして、主管庁は、製品が船舶に設置される前に資格を持つ当局により型式承認証書に適合していることが検証される場合には、最終製品段階における確認手続きを用いることができる。
 
6 本章により取り扱われていない新しい特徴を組み込んだ設備又は機器に承認を与える前に、主管庁は、当該特徴が少なくとも本章により要求されるものと同等の有効な機能を満たすことを確保する。
 
7 機関により性能基準が作成されている機器を第19規則及び第20規則で要求される機器の追加物として船舶に搭載する場合、当該機器は、承認品であることを条件とし、かつ、実行可能な限り機関により採択された性能基準を下回らない性能基準に適合したものとする。
 
8 航海記録装置は、すべてのセンサーを含め、年次性能試験を行う。当該試験は、承認された試験所若しくはサービス機関において、記録されたデータの精度、持続性及び復元性を確認するために行われる。さらに、試験及び検査は、すべての保護外被及び位置を認識するための装置の実用性を決定するために行われる。効力日及び適合可能な性能要件について記載された試験所が発行する適合証明書の写しを船舶に備える。
 
第19規則 航海装置及び航海機器の搭載要件
1 適用及び要件
 第1規則4の要件に基づき、
1.1 2002年7月1日以降に建造される船舶は、2(1)から2(9)の規定を満たす航海装置及び航海機器を備える。
1.2 2002年7月1日以前に建造される船舶は、
.1 1.2.2及び1.2.3の要件に従うことを条件に、この規則のすべてに適合する場合を除き、2002年7月1日以前に発効された74年海上人命安全条約第V章第11規則、第V章第12規則及び第V章第20規則の要求を満たす機器を備える。
.2 2002年7月1日以前に発効された74年海上人命安全条約第V章第12規則(p)に規定される無線方向探知機が要求されなくなる2002年7月1日以降の最初の検査より前に、2.1.6で要求される機器又は装置を設ける。
.3 2.4.2及び2.4.3に規定される日までに2.4で要求される設備を設ける。
 
2 航海機器及び航海装置
2.1 その大きさに問わずすべての船舶は、次のものを備える。
.1 他の動力源から独立したものであって、主操舵場所において船首方位を決定及び表示するための適切に較正された基準磁気コンパス又は他の手段。
.2 360℃に渡る水平の弧について方位を測定するための他の動力源から独立したベロラス、コンパス方位側定器又は他の手段
.3 いかなる場合にも真船首方向及び真方位に調整するための手段
.4 目的とする航海の船舶の航路を計画、表示するため、また、航海を通じて船位をプロットし監視するための海図及び航海用刊行物。電子海図情報表示装置(ECDIS)は、この項の海図搭載要件を満たすものとして認めることができる。
.5 .4の機能が部分的に又はそのすべてが電子的手段に依っている場合、.4の機能要件に適合するバックアップ装置注)
注)適当な海図集をECDISのバックアップとして使用することができる。他のECDISバックアップ装置(議定書A.817(19)及び同改正の附属書6参照)も認められる。
.6 予定される航海を通じて常時自動的に船位を確定し、更新するのに適した全地球的衛星航法装置、全地球的無線航法装置又はその他の手段。
.7 総トン数150トン未満の船舶であって適当な場合、レーダーリフレクター又はその他の手段。9GHz及び3GHzのレーダーによって航行する船舶に方向を与えるもの
.8 主管庁が他に規定する場合を除き、船橋が完全に閉鎖される場合、船橋の当直航海士が音響信号を聞くことができ、また、当該方向が判る音響受信装置又は他の手段。
.9 非常操舵場所(もしあれば)に船首方位情報を伝達するための電話又はその他の手段。
2.2 総トン数150トン以上のすべての船舶及びすべての旅客船(その大きさは問わない)には、2(1)項の要件に加え、次のものを備える。
.1 2.1.1の磁気コンパスと交換することができる予備の磁気コンパス又は交換又は二重化により2.1.1の機能を有する他の手段。
.2 船舶の供給電源のみに依存しない電源を使用して日中及び夜間に光によって意志を伝達する信号灯又は他の手段。
2.3 総トン数300トン以上のすべての船舶及びすべての旅客船(その大きさは問わない)は、2.2の規定に適合することに加え、次のものを備える。
.1 水深を計測、表示する音響測深機又は他の電子的手段。
.2 レーダートランスポンダー、海上船舶、障害物、浮遊物、海岸線及び航路標の範囲及び方位を決定し表示する9GHzレーダー又は他の手段。
.3 衝突の危険性を判断するため、標的の範囲及び方位を電子的にプロットするための電子的プロッティング設備又は他の手段。
.4 対水速力及び対水距離を指示する船速距離計又は他の手段。
.5 2.3.2、2.3.3及び2.4の機器へ針路情報を伝達する適当に較正された針路伝達装置又はその他の手段。
2.4 国際航海に従事する総トン数300トン以上のすべての船舶及び国際航海に従事しない総トン数500トン以上の貨物船及び旅客船(その大きさは問わない)には、自動識別装置(AIS)を備える。
.1 2002年7月1日以降に建造される船舶
.2 2002年7月1日より前に建造された国際航海に従事する船舶については、次による。
.2.1 旅客船は、2003年7月1日までに備える。
.2.2 タンカーは、2003年7月1日以降の最初のSE検査注)までに備える。
注)1章第8規則参照すること。
 
.2.3 旅客船及びタンカー以外の総トン数50,000トン以上の船舶は、2004年7月1日までに備える。
.2.4 旅客船及びタンカー以外の総トン数10,000トン以上50,000トン未満の船舶は、2005年7月1日までに備える。
.2.5 旅客船及びタンカー以外の総トン数3,000トン以上10,000トン未満の船舶は、2006年7月1日までに備える。
.2.6 旅客船及びタンカー以外の総トン数300トン以上3,000トン未満の船舶は、2007年7月1日までに備える。
.3 2002年7月1日以前に建造された国際航海に従事しない船舶は、2008年7月1日までに備える。
.4 2及び3に規定される適用日後2年以内に恒久的に役務を離れる船舶の場合、主管庁は、この節の要件への適用を免除することができる。
.5 AISは、次による。
.1 適切に整備された海岸局、仙の船舶及び航空機に、船舶の識別、船種、船位、針路、速力、航海状況及びその他安全に関連する情報を自動的に供給する。
.2 同様に設備された船舶から、このような情報を自動的に受信する。
.3 船舶を監視、追尾する。
.4 沿岸施設とデタを交換する。
.6 2.4.5の要件については、国際的な合意、規則又は基準が航行情報を保護するために設けられる場合には適用しない。
.7 AISは、機関により採択された指針注)を考慮して運用される。
注)機関により作成される船舶に搭載するAISの運用に関する指針を参照すること。
2.5 総トン数500トン以上のすべて船舶は、2.3.3及び2.3.5を除く2.3の要件及び2.4の要件に適合することに加え、次のものを備える。
.1 非磁性手段によって船首方位情報を決定及び表示し、2.3.2、2.4及び2.5.5の機器に船首方位情報を伝達するためのジャイロコンパス又は他の手段。
.2 非常操舵場所に視覚的船首方位情報を供給するためのジャイロコンパス船首方位レピータ又は他の手段。
.3 .1のジャイロコンパス又は他の手段を使用して360°に渡る水平の弧について方位を測定するためのジャイロコンパス方位測定レピータ。しかしながら、総トン数1,600トン未満の船舶については、可能な限り設置する。
.4 監視場所に表示される舵角、プロペラ回転数、推力とその方向、また、可能な場合、横方向の推力とその方向、ピッチ、操作モードを決定及び表示するための舵、プロペラ、推力、ピッチ及び操作モードの表示器又は他の手段。
.5 衝突の危険性を判断するため、他の物標の範囲及び方位を自動的にプロットする自動物標追跡装置又は他の手段
2.6 総トン数500トン以上のすべての船舶については、1つの機器の故障が2.1.1、2.1.2及び2.1.4の要件に対する船舶の適合性を減じるものでないこと。
2.7 総トン数3,000トン以上のすべての船舶は、2.5の要件に適合することに加え、次のものを備える。
.1 航海を補助し、かつ、衝突を回避するため、海上船舶、障害物、浮遊物、海岸線及び航路標の範囲及び方位を決定し表示するための3GHzレーダー、主管庁が適当と認めた場合は9GHzレーダー又は他の手段。この装置は、2(3.2)に規定されるものから機能的に独立したものとする。
.2 第2の自動物標追跡装置又は他の物標の範囲及び方位を自動的にプロットし、衝突の危険性を決定するための他の手段。この装置は、2.5.5に規定されるものから機能的に独立したものとする。
2.8 総トン数10,000トン以上のすべての船舶は、2.7.2を除く2.7の要件に適合することに加え、次のものを備える。
.1 衝突の危険性を決定し、操船を模試するため、少なくとも20個の他の物標を自動的にプロットし、対水速力及び対水距離を表示する装置に接続された自動衝突予防援助装置又は他の手段。及び、
.2 船首方位及び/又は直進航跡に自動的に制御及び保持するためのヘッディングコントロール、トラックコントロールシステム又は他の手段。
2.9 総トン数50,000トン以上のすべての船舶は、2.8の要件に適合することに加え、次のものを備える。
.1 回頭角速度を決定及び表示するための回頭角速度表示装置。及び
.2 前方及び横方向の対地速力及び対地距離を表示するための速力及び距離計又は他の手段。
 
3 この規則に基づいて「他の手段」が認められる場合、この手段については、第18規則に従って主管庁が承認する。
 
4 この規則における航海機器及び航海装置は、故障を最小限とするように設置され、試験され、また、維持されなければならない。
 
5 操作の代替モードを有する航海機器及び航海装置は、実際に使用しているモードについて表示されなければならない。
 
6 集中船橋設備注1)は、1つの補助設備の故障により当直航海士に対して可視可聴警報による迅速な注意を喚起するものでなければならない。また、その故障がその他の補助設備を故障させる原因となってはならない。集中船橋設備の一部が故障した場合注2)には、個々の機器をそれぞれ操作することができるか、又は、装置の一部を分離して操作することができなければならない。
注1)決議MSC64(67)附属書1「集中船橋設備の性能要件」を参照すること。
注2)決議MSC86(70)附属書3「集中航海設備の性能要件」を参照すること。
 
第20規則 航海記録装置
1 海難事故の調査に供するため、次に示す船舶は、国際航海に従事する際、第1規則4を条件に航海記録装置(VDR)を備える。
.1 2002年7月1日以降に建造される旅客船
.2 2002年7月1日より前に建造されたロールオン・ロールオフ旅客船(2002年7月1日以降の初回の検査までに備える。)
.3 2002年7月1日より前に建造されたロールオン・ロールオフ旅客船以外の旅客船(2004年1月1日までに備える。)
.4 2002年7月1日以降に建造される総トン数3000トン以上の船舶(旅客船を除く)
 
2 主管庁は、ロールオン・ロールオフ旅客船を除く2002年7月1日以降に建造される船舶に対して、現在設備とのVDRの連携が不合理かつ不可能であると証明される場合、VDRの設置を免除することができる。







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