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3・2 発電装置
3・2・1 一般
 船内における発電機の試験は発電機の製造工場における単体試験及び原動機と組合わせたときの総合試験の成績結果を参考にしながら実施する必要がある。
 船内において各種の性能試験を行う場合、陸上で行った試験条件と必ずしも一致しないため試験成績の結果にも当然違った値が出てくることがある。例えば、発電機の負荷として船内の実負荷(照明設備、動力設備等)を利用するか、水抵抗負荷(負荷水槽等)とするか、更に力率調整用としてリアクトル負荷を使用するか等の負荷の条件が異なる場合には発電機の特性も違ってくるので、陸上試験はできる限りこれらの点を十分考慮した試験成績書を作成しておくことも必要である。
 発電機の負荷のとり方として、船内の実負荷を使用する場合は、船内の各種設備が殆んど運転できる状態にしておく必要があり、発電機の試験が遅れたり又は十分な負荷がとれないこともあるので、工事の進行状況を見た上で決定しなければならない。負荷水槽を用いる場合には2・1・6を参照のこと。
3・2・2 絶縁抵抗試験
 連続運転試験前とその後に、500V絶縁抵抗計により固定子巻線、回転子巻線、励磁装置、スペースヒーター、ガバナーモータの各導電部と船体間の絶縁抵抗を測定する。自動電圧調整器回路にトランジスタ、ダイオードなどの半導体を使用している場合は、主回路から切離して単独にテスターで測定する。
 測定値は、規則によって、連続運転後で2・16式(2・2・9参照)による値以上が要求されているが、一般にはIMΩ以上あれば運転上差し支えない。
3・2・3 連続運転試験
(1)試験方法
 発電機を定格電圧、定格回転速度(又は定格周波数)のもとで全負荷(水抵抗の場合にはkW負荷、リアクトル負荷を併用の場合kVA負荷)において、少なくとも2時間連続運転し、各部の温度上昇、振動、その他の性能に異常のないことを確認する。
 なお、本試験の前に下記の負荷と時間によって順次確認運転を行う。
 
負荷率(%) 25 50 75 100
運転時間(分) 15 15 15 120
 
 運転中の計測個所は表3・1の各項目とするが、計測は30分毎に行い、回転部の温度計測は運転停止後速かに温度計法により行う。もし、抵抗法で測定する場合は2・2・8(1)(f)を参照のこと。
(2)試験の結果
 温度上昇値については、2・2・8表2・5(船舶設備規程)又は表2・6(NK規則)により良否の判定をするが、そのときに、製造工場で行った温度上昇のデータを参考にして試験条件(例えば、電流の大きさ、運転時間、振動の有無、周囲温度等)を考慮した上で、異常の有無をチェックすることも必要である。また、同時に、原動機の連続運転試験については、その関係者と十分協議のうえ計測する。
 
表3・1 計測項目
(拡大画面:34KB)
 
 負荷として水抵抗(力率100%)を使用した場合、定格力率80%の交流発電機では負荷電流が定格電流の80%になるので、温度上昇値は電流の2乗に比例することから約64%に低減されることに注意する必要がある。
 
3・2・4 負荷特性試験(漸変電圧変動特性試験2・2・112・3・11参照)
(1)試験方法
 全負荷で定格電圧、定格回転速度(又は定格周波数)に調整後、ガバナー調整装置、電圧調整器をそのままの位置に保ち、負荷を100%→75%→50%→25%→0→25%→50%→75%→100%に順次変化し、各負荷における電圧、電流、出力及び周波数を測定する。
(2)試験結果
 この場合の電圧変動率の規定値は、交流の場合無負荷から全負荷までにおいて、定格力率で定格電圧の±2.5%以内(非常発電機は±3.5%以内 NK規則)、4%未満(船舶設備規程)、直流複巻発電機の場合20%負荷から全負荷までにおいて定格電圧の±2.5%以内(NK規則)、6%未満(船舶設備規程)となっている。なお、このほかの規定値の詳細は、2・2・11及び2・3・11に記述されているので参照のこと。
(3)試験上の注意事項
 交流発電機で水抵抗負荷を使用した場合、陸上試験では、力率0.8で負荷特性が調整されている場合が多いので、この場合には規定値を超えても問題はないが、陸上試験で力率1.0の試験データを作成しておき、このデータと比較して特性の判定をする方がよい。また直流発電機の場合は、実際の原動機の速度特性が陸上試験の特性と違うと規定値を超えることがあるので、この場合には船内で再調整する必要がある。







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