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3・5 検査
3・5・1 船舶検査の種類
 前3・4・1に述べた法第2条第1項の規定により所要施設の設置義務のある船舶は、すべて国又は日本小型船舶検査機構の検査を受ける義務がある。検査を受ける必要のない船舶は、法第2条第2項の規定により所要施設の設置義務のない船舶であり、3・4・2に掲げる船舶がこれに該当する。
 船舶検査には、船舶所有者が受検義務を有する定期検査、中間検査、臨時検査、臨時航行検査及び特別検査(以上法第5条関係)、長さ30メートル以上の船舶の製造者が受検義務を有する製造検査(長さ30メートル未満の船舶についても受検可能)、物件につき搭載される船舶の特定前に任意の申請に基づき受検することのできる予備検査(以上法第6条関係)に大別される。
 また、定期的に受検義務のある船舶検査については、船舶の用途、大きさ、航行区域によりその受検時期が異なってくる。
(1)定期検査
 定期検査は、船体、機関、帆装、排水設備、操舵、係船及び揚錨の設備、救命及び消防の設備、居住設備、衛生設備、航海用具、危険物その他の特殊貨物の積付設備、荷役その他の作業の設備及び電気設備について、更に、満載喫水線を標示することを強制されている船舶については満載喫水線について、また、無線電信又は無線電話の施設を強制されている船舶についてはこれらの施設について、次に掲げる場合に行う精密な検査である。
(a)船舶を初めて航行の用に供するとき。
(b)船舶検査証書の有効期間が満了したとき。
 船舶検査証書の有効期間は、原則として5年と定められているが、旅客船を除き、平水区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン未満の船舶であって、危険物ばら積船、特殊船及びボイラーを有する船舶を除いたものについては、6年と定められている(法第10条)。
 定期検査においては、設計、材料試験、圧力試験、絶縁抵抗試験、効力試験、復原性試験、陸上試験及び海上試運転を行って、前記諸施設の構造、材料、工事及び性能について、精密な方法で検査を行うのである。なお、製造検査、予備検査に合格した船舶の第1回定期検査においては、その製造検査、予備検査を受けた部分の検査は省略される(法第6条第4項、施行規則第16条)。
(2)中間検査
 中間検査は、定期検査と定期検査との中間において行う簡易な検査で、第1種中間検査(次の(a)から(d)までに掲げる検査)、第2種中間検査((b)及び(d)に掲げる検査)及び第3種中間検査((a)及び(c)に掲げる検査)がある。
(a)法第2条第1項第1号、第2号、第4号、第5号及び第11号から第13号までに掲げる事項について行う船体を上架すること又は管海官庁がこれと同等と認める準備を必要とする検査
(b)法第2条第1項第1号、第2号、第4号、第5号及び第11号から第13号までに掲げる事項について行う船体を上架すること又は管海官庁がこれと同等と認める準備を必要としない検査
(c)法第2条第1項第3号、第7号及び第8号に掲げる事項について行う検査
(d)法第2条第1項第6号、第9号及び第10号に掲げる事項、満載喫水線並びに無線電信等について行う検査
 
 検査は次表の区分に応じ、次表の時期において行われる(法第5条、施行規則第18条)。
・船舶検査証書の有効期間が5年の船舶
 
区分 種類 時期
1 国際航海に従事する旅客船(総トン数5トン未満のもの並びに原子力船及び高速船を除く。) 第1種中間検査 検査基準目の3月前から検査基準日までの間
2 原子力船 第1種中間検査 定期検査又は第1種中間検査に合格した日から起算して12月を経過する日
3 旅客船(総トン数5トン未満のものを除く。)、潜水船、水中翼船及び長さ6メートル以上のエアクッション艇であって前2号上欄に掲げる船舶以外のもの並びに高速船 第1種中間検査 検査基準日の前後3月以内
4 国際航海に従事する長さ24メートル以上の船舶(前3号上欄に掲げる船舶及び第1条第2項第1号の船舶を除く。) 第2種中間検査 検査基準日の前後3月以内
第3種中間検査 定期検査又は第3種中間検査に合格した日からその日から起算して36月を経過する日までの間
5 潜水設備を有する船舶(前各号上欄に掲げる船舶を除く。) 第1種中間検査 船舶検査証書の有効期間の起算日から21月を経過する日から39月を経過する日までの間
第2種中間検査(潜水設備に係るものに限る。) 検査基準日の前後3月以内(ただし、その時期に第1種中間検査を受ける場合を除く。)
6 その他の船舶 第1種中間検査 船舶検査証書の有効期間の起算日から21月を経過する日から39月を経過する日までの間
備考
1 この表において「高速船」とは、管海官庁が1974年の海上における人命の安全のための国際条約附属書第10章第1規則に規定する高速船コードに従って指示するところにより当該船舶が法第2条第1項に掲げる事項を施設している旨及び当該船舶に係る航行上の条件が、第13条の5第2項の規定により記入された船舶検査証書を受有する船舶をいう。
2 この表において「検査基準日」とは、船舶検査証書の有効期間が満了する日に相当する毎年の日をいう。
 
・施行規則第18条第3項
 上記の表による区分を異にすることとなった船舶に係る次回の中間検査の種類及び時期は、上記の規定にかかわらず、当該船舶についてした法第5条の検査の時期及び当該検査において検査した事項を考慮した事項を考慮して管海官庁又は小型船舶検査機構が指定する。
・船舶検査証書の有効期間が6年の船舶(施行規則第18条第4項)
 
区分 種類 時期
旅客船を除き平水区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン未満の船舶(危険物ばら積船、特殊船及びボイラーを有する船舶を除く。) 第1種中間検査 船舶検査証書の有効期間の起算日から33月を経過する日から39月を経過する日までの間







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