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7・4 電熱器の容量計算
7・4・1 湯沸器
 水の水量V〔l〕の湯沸器の温度をt1からt2に上昇させるに要する電力量〔Ph〕及び電力〔P〕及び所要時間〔T〕を求める。ただし比熱C=1、熱効率ηは下記の表によるものとする。
 7・2項の式において 質量M=V〔kg〕、比熱C=1とする。
 
主な電熱器の効率ηの値
参考:
器具 効率〔%〕 器具 効率〔%〕
投込湯沸器 95〜99 電気やかん 70〜75
自動湯沸器 85〜90 電気七輪 50〜70
瞬間湯沸器 90〜95 電気炊飯器 80〜90
 
7・4・2 電気暖房器
(1)空気容積V〔m3〕の温度をt1からt2に温める必要な電力量Phと電力Pを求める。ただし空気の比熱C=0.24、比重1.23kg/m3とする。
 ここで、M=空気の容積×比重〔kg〕、T:加熱所要時間〔h〕
(2)上式から1〔m3〕の空気を1〔℃〕高める電力量を求めると0.343〔Wh〕になる。さらに実験的に求めた実験式による電力量Ph'は次による。
 ここで、M=空気の容積×比重〔kg〕、T:加熱所要時間
       Ph'={0.36nV+k(2.45A+6.5G)}(T2−T1)〔W〕
  n 1時間毎に室内空気の入れ替わる係数(下記の表による)
  V 空気の容積〔m3
  A 外気に露出する壁の面積〔m2
  G 外気に露出するガラスの面積〔m2
  T2 室内所要温度〔℃〕
  T1 室外の温度〔℃〕
  k 常数(下記の表による)
 
nの値
a表 
n
密閉した室 1
居室、事務室、食堂など時々出入りする室 2
広間 3
 
kの値
b表
k
壁に強風の当る室 1.1〜1.5
日中のみストーブを用いる室 1.1〜1.25
日中のみストーブを用いる室で壁に強風の当る室 1.2〜1.75
間けつ的にストーブを用いる室 1.25〜2.0
 
7・4・3 機関機器用加熱器
(1)ヒータの熱交換量
 ヒータの熱交換量は表面電力密度Wd〔w/cm2〕すなわち単位面積あたりの発熱量で表される。
W:ヒータ容量〔W〕
R:ヒータ管径〔cm〕
L:ヒータ管の有効長〔cm〕
 
参考:
加熱器の分類 表面電力密度〔w/cm2 加熱温度〔℃〕
潤滑油加熱器 2〜3 40〜60
燃料油加熱器 2.5〜4 A重油40〜60
B重油60〜80
C重油80〜95
清水加熱器 3〜4.5 60〜90
海水加熱器 3〜4.5 60〜90
 
(2)流量の電熱容量
伝熱量 Q=G×Cp×(t2−t1)〔kcal/h〕
G:流量〔kg/h〕
Cp:液体比熱〔kcal/kg℃〕
t2:出口温度〔℃〕
t1:入口温度〔℃〕
η:熱効率(小数)
 この場合 T=1とする。
〔例題〕(1)縦1.2〔m〕、横50〔cm〕、深さ50〔cm〕の浴槽の水を2時間で10〔℃〕から40〔℃〕にするのに必要な電熱器の容量を求めよ。ただし効率は90〔%〕とする。
〔解〕浴槽の容積=120×50×50=300,000〔cm2
水の重量=300〔kg〕(1,000cm3=1〔l〕・・・1kg)
(2)コンクリート造りの倉庫の壁の内外の温度差20〔℃〕であって、壁の厚み10〔cm〕のとき1〔m2〕につき毎秒3.6〔cal〕の放熱をする。
 倉庫の大きさは2m×4m×2mで天井の厚さ15〔cm〕、側壁の厚み20〔cm〕とすれば倉庫の外の温度より10〔℃〕高く保つに必要な電熱器の容量はいくらか。ただし壁の放熱は厚みに反比例するものとする。また床下への放熱はないものとする。
〔解〕
天井の広さ2×4m2であるから、放熱量2.4×2×4=19.2〔cal〕
壁の放熱量 1.8×{(2×2)×2+(2×4)×2}=43.2〔cal〕
全放熱量Q'は毎秒 19.2+43.2=62.4〔cal〕
電熱器P〔W〕の発生熱量Qは毎秒 Q=0.24Pt=0.24p〔cal〕
これからPを求めると







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