日本財団 図書館


5・1・5 定期点検整備の共通事項
(1)一般
 機器の性能を正常に維持するためには、故障修理のときはもちろん、定期的に点検整備を行うことが必要である。
 船舶の整備については船舶安全法により定期的検査(定期検査及び中間検査)が行われ、その時期に通常、点検整備が行われる。
 各機器の具体的点検整備要領については、5・2(各機器の点検整備要領)に述べてあるが、共通な項目として次の点検整備を行うこと。
(a)清掃
 装置は可能なかぎり清潔に保つこと。特に換気用の穴は乾いた布で拭き、ほこり等が溜まらないようにする。
(b)ねじ類の締付け
 装置各部のねじ、取付けねじ、コネクタ等のねじ部を点検し、ゆるんでいるのがあれば、増締めを行うこと。
(c)正常な動作確認
 定期点検のときには、機器が現在又はそれまで正常に動作していたかどうかを確認する。その際、ログブック等の記載事項を参考にすることができる。
(d)自己診断テスト
 GMDSS機器には、保守と故障の迅速な発見に役立つ自己診断テスト機能を備えている。この機能により、正常な動作状態か否かをテストすることができる。
(e)記憶素子のバックアップ電池の保守
 記憶素子のバックアップのために電池を利用している装置があるが、この場合には取扱説明書の指示に従って電池の保守を行うこと。
(2)各機器の整備上の注意事項
(a)ナブテックス受信機
(1)空中線系
 空中線の取付け状態、防水接続箱等の防水工事の仕上がり状態、空中線コネクタの締付け状態等を確認する。
(2)電源電圧の確認
 主電源及び代替電源(代替電源からも給電される場合)の電圧を、ナブテックス受信機の供給端子で、テスターを用いて確認する。
(3)電源スイッチ
 電源を投入したとき、表示灯が正常に表示されて受信状態になること及び予熱時間後に初期メッセージが印字されることを確認する。
(4)メッセージタイプと海岸局の選択制御
 必要な地域から送られてくる必要なナブテックス情報のみを選択して、自動的に受信し、かつ、印字することを確認する。
(5)プリンタ
 プリンタに記録紙が正しく設定されていることを確認する。
(b)高機能グループ呼出受信機
(1)空中線系
 空中線の取付け状態、船首及び船尾方向や左右の障害物の状態、空中線コネクタの締付け状態及び防水状態等を確認する。
(2)電源電圧の確認
 主電源及び代替電源(代替電源からも給電される場合)の電圧を、高機能グループ呼出受信機の供給端子で、テスターを用いて確認する。
(3)電源スイッチ
 本体電源部の主スイッチを投入し、当該機器の電源スイツチを「入り」にすれば、速やかに起動し、表示灯が正常に表示されることを確認する。
(4)受信状態の確認
 受信したい海岸地球局からのメッセージが良好に受信され、必要なメッセージの選択ができ、かつ、良好に印字することを確認する。
(5)プリンタの確認
 プリンタに記録紙が正しく設定されていることを確認する。
(6)位置情報及び海域コードの入力の確認
 自船位置情報及び海域コードの入力ができることを、手動又は自動でできることを確認する。
(c)VHFデジタル選択呼出装置
(1)遭難信号誤発信の防止
 誤って遭難信号の送信を開始した場合にすばやくキャンセルできるよう、機器の操作方法及びその手順について完全に理解しておくこと。
(2)空中線系
 空中線の取付け状態、防水接続箱等の防水工事の仕上がり状態、空中線コネクタの締付け状態等を確認する。
(3)電源電圧の確認
 主電源及び補助(代替)電源の電圧を、VHFデジタル選択呼出装置の供給端子で、テスターを用いて確認する。
(4)電源スイッチ
 本体電源部の主スイッチを投入し、当該機器の電源スイッチを「入り」すれば速やかに起動し、チャンネル表示その他の表示灯が正常に表示されることを確認する。
(5)スピーカー音による受信部の動作状態
 受信音や雑音の音量が正常であることを確認する。
(6)制御器の動作
 遠隔制御機器が装備されている場合は、これらの制御機器においても前記の(4)、(5)の確認を行い、制御器間の優先順位についても確認を行う。
(7)送信出力の確認
 送信周波数は周波数測定器で、送信電力は空中線電力計を用いて測定すること。
(d)VHFデジタル選択呼出聴守装置
(1)空中線系
 空中線の取付け状態、防水接続箱の防水工事の仕上がり状態、空中線コネクタの締付け状態等を確認する。
(2)電源電圧の確認
 主電源及び代替電源(代替電源からも給電される場合)の電圧を、VHF選択呼出聴守装置の供給端子で、テスターを用いて確認する。
(3)電源スイッチ
 本体電源部の主スイッチを投入し、当該機器の電源スイッチを「入り」にすれば速やかに起動し、表示灯が正常に表示されることを確認する。
(e)MF/HFデジタル選択呼出装置
(1)遭難信号誤発信の防止
 誤って遭難信号の送信を開始した場合にすばやくキャンセルできるよう、機器の操作方法及びその手順について完全に理解しておくこと。
(2)空中線系
 空中線の取付け状態、防水箱等の防水工事の仕上がり状態、空中線コネクタの締付け状態等を確認する。
(3)電源電圧の確認
 主電源及び補助(代替)電源の電圧を、MF/HFデジタル選択呼出装置の供給端子で、テスターを用いて確認する。
(4)電源スイッチ
 本体電源部の主スイッチを投入し、当該機器の電源スイッチを「入り」にすれば速やかに起動し、表示灯が正常に表示されることを確認する。
(5)制御器の動作
 遠隔制御機器が装備されている場合は、これらの制御機器においても前記(4)の確認を行い、制御器間の優先順位についても確認を行う。
(6)送信出力の確認
 送信周波数は周波数測定器で、送信電力は空中線電力計を用いて測定すること。
(f)MF/HFデジタル選択呼出聴守装置
(1)空中線系
 空中線の取付け状態、防水箱等の防水工事の仕上がり状態、空中線コネクタの締付け状態等を確認する。
(2)電源電圧の確認
 主電源及び代替電源(代替電源からも給電される場合)の電圧を、MF/HFデジタル選択呼出聴守装置の供給端子で、テスターを用いて確認する。
(3)電源スイッチ
 本体電源部の主スイッチを投入し、当該機器の電源スイッチを「入り」にすれば速やかに起動し、表示灯が正常に表示されることを確認する。
(g)インマルサットC型船舶地球局設備
(1)遭難信号誤発信の防止
 誤って遭難信号の送信を開始した場合にすばやくキャンセルできるよう、機器の操作方法及びその手順について完全に理解しておくこと。
(2)空中線系
 空中線の取付け状態、船首及び船尾方向や左右の障害物の状態、空中線コネクタの締付け状態及び防水状態等を確認する。
(3)電源電圧の確認
 主電源及び補助(代替)電源の電圧を、インマルサットC型船舶地球局設備の供給端子で、テスターを用いて確認する。
(4)電源スイッチ
 本体電源部の主スイッチを投入し、当該機器の電源スイッチを「入り」にすれば速やかに起動し、表示灯が正常に表示されることを確認する。
(5)受信状態の確認
 受信したい海岸地球局からのメッセージが良好に受信され、必要なメッセージの選択ができ、かつ、良好に印字することを確認する。
(6)プリンタの確認
 プリンタに記録紙が正しく設定されていることを確認する。
(7)位置情報及び海域コードの入力の確認
 自船位置情報及び海域コードの入力ができることを、手動又は自動でできることを確認する。
(h)インマルサットA型船舶地球局設備
(1)遭難信号誤発信の防止
 誤って遭難信号の送信を開始した場合にすばやくキャンセルできるよう、機器の操作方法及びその手順について完全に理解しておくこと。
(2)空中線系
 空中線の取付け状態、船首及び船尾方向や左右の障害物の状態、空中線コネクタの締付け状態及び防水状態、船首方向のラインとの一致状態、回転機構の円滑な動作、振動による機構部のゆるみがないか等を確認する。
 なお、ドームで作業する場合は、空中線のEL(エレベーション)角度を90度とし、かつ、配電盤(分電盤)の空中線駆動スイッチを「断」にして、送信と空中線の駆動が絶対に行われないようにしておくこと。
(3)電源電圧の確認
 主電源及び補助(代替)電源の電圧を、インマルサットA型船舶地球局設備の供給端子でテスターを用いて確認する。
(4)電源スイッチ
 本体電源部の主スイッチを投入し、当該機器の電源スイッチを「入り」にすれば速やかに起動し、表示灯が正常に表示されることを確認する。
(5)受信状態の確認
 受信したい海岸地球局からのメッセージが良好に受信され、必要なメッセージの選択ができ、かつ、良好に印字することを確認する。
(6)プリンタの確認
 プリンタに記録紙が正しく設定されていることを確認する。
(7)位置情報及び海域コードの入力の確認
 自船位置情報及び海域コードの入力ができることを、手動又は自動でできることを確認する。
(8)送信出力の確認
 送信周波数は周波数測定器で、送信電力は空中線電力計を用いて測定すること。
(i)狭帯域直接印刷電信装置
 GMDSSにおける狭帯域直接印刷電信装置は、海上安全情報(Maritime Safety Information)の受信と、遭難通信及び一般通信に利用される。海上安全情報の受信装置としての仕様は国内ではまだ省令化されていないので、ここでは後者のものについて規定する。
 この場合、プリンタ部を除けば、通常この装置は送信機及び受信機の端末機器と考えられるので、送信機や受信機に組み込まれている場合もあるが、単独装置の場合は、一般的に次の順序で点検をすすめながら動作を確認していく。
(1)電源
 各種の電圧にマッチさせるための調整スイッチがある場合は、電源電圧にあっていることを確認し、必要があれば調整する。
(2)コネクタ類の接続状況
 各機器間の接続コネクタ等が確実に接続されていることを確認する。
(3)自局識別信号
 主管庁より指定される自局の識別番号を確認する。その他、初期立ち上がりに必要な種々の設定を行う。
(4)ライン信号レベルの設定
 送信機への入力信号、受信機からの出力信号のレベルを適正値に設定する。
(5)プリンタの調整
 取扱説明書の指示に従ってプリンタの調整を行う。
(j)VHF無線電話
(1)空中線系
 空中線の取付け状態、船首及び船尾方向や左右の障害物の状態、空中線コネクタの締付け状態及び防水状態等を確認する。
(2)電源電圧の確認
 主電源及び補助(代替)電源の電圧を、VHF無線電話の供給端子でテスターを用いて確認する。
(3)電源スイッチ
 本体電源部の主スイッチを投入し、さらに当該機器の電源スイッチを「入り」にすれば速やかに起動し、チャンネル表示その他の表示灯が正常に表示されることを確認する。
(4)スケルチ動作
 ハンドセットを取上げ、スケルチ調整ツマミを(一般的には)反時計方向一杯に回したときスピーカーから雑音が出ることを、また、そのツマミを時計方向に戻したときにはその雑音が抑制されることを確認する。
(5)受信部の動作状態
 受信状態にしたとき、スピーカーからの受信音や雑音の音量によって、受信部の動作状態が正常であることを確認する。
(6)ハンドセットのプレストークスイッチの動作状態
 プレストークスイッチを押すと速やかに送信状態になり、送信の表示が行われることを確認する。ただし、このときは電波が発射されるので十分注意しながら行うこと。
(7)制御器の動作
 遠隔制御機器が装備されている場合は、これらの制御機器においても前記(3)〜(6)の確認を行い、さらに制御機器間の優先順位についても確認する。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION