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無線設備講習用指導書(艤装工事及び保守整備編)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


4・1・2 ケーブル
 船内の電気設備の配線に使用するケーブルは特殊用途のものを除いて、各船級協会の規則または国内船舶関係法規にもとづいて製造されたものを使用し、主要船級協会の承認を得ているJIS C 3410(船用電線)のものを使用する。
 またJIS C 3410に規定されていない船用ケーブルについては、JISと同様な主旨にもとづいて制定された次のJCS規格(日本電線工業会標準規格)に規定される船用ケーブルを使用する。
   
・JCS4283−1977 
660V船用けい素ゴム絶縁あじろがい装ケーブル
 
・JCS3296−1977
660V船用制御機器配線用ビニル絶縁電線
 
・JCS4312−2000
3.6/6kV、6/10kV船用エチレンプロピレンゴム絶縁ビニルシースあじろがい装ケーブル
 
・JCS4316−1955
無機絶縁ケーブル
  ・JCS3337−2000
150V船用電子機器配線用ビニル絶縁電線
 
・JCS4338−1977
150V船用多心ビニル絶縁ビニルシースあじろがい装ケーブル<
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 なお、本章に記載のケーブル及び関連材料は、新JIS規格に従っている。
 新JIS規格は、IECに全面的に準拠しており、長い間使用されてきた旧JIS規格と比較して次のような主要な相違点があるので、注意が必要である。
・導体サイズ
  旧: 1.25 2.0 3.5 5.5 8 14 22 30 38 50 60 80 100 125 150
  新: 1.5 2.5 4.0 6.0 10 16 25 35   50 70 95 120 150 185
      制御用ケーブル:1.25mm2(旧)→1.0mm2(新)
  電話用ケーブル:1.25mm2(旧)→0.75mm2(新)
・難燃グレード
IEC 60332−3 category A(耐延焼性ケーブル)とIEC 60332−1(耐炎性ケーブル−旧ケーブルと同等のもの)の2種類を規格化している。
・公称電圧表示は、旧の「660V」を「0.6/lKV」と表示することにしている。
〔0.6/lKV〕:最初の表示の0.6は対地電圧(交流)を、次のlKVは線間電圧(交流)を意味する。
 本章では、主にGMDSS関連機器等に使用される船用ケーブル及び特殊ケーブルの種類、構造、性能並びにその適用の概要について述べるものとし、その名称、構成、寸法などの詳細はそれぞれの規格に規定されているのでそれを参照されたい。
 また、ケーブルの選定にあたっては、機器メーカーの総合結線図などにその機器に適したケーブル種類が記載されているので、それに従うこと。
(1)一般ケーブル(JIS C 3410船用電線)
 船用ケーブルの構造の特徴は、布設時に船内を引きずり回したり、溶接あるいは衝撃物などによる外傷の危険が多いので、全面的に鋼線又は銅合金線によるあじろがい装が施してある。一般によく使用するケーブルの構造例を図4・13に示す。
 
(拡大画面:62KB)
図4・13 各種ケーブルの構造
 
 図の(a)及び(b)に示すケーブルは、電源、制御及び信号用として一般的に使用されるEPゴム絶縁ビニルシースあじろがい装ケーブルである。
 ただし、EPゴム絶縁の導体許容温度は85℃であり、許容される周囲温度は、NK規則では75℃なので、75℃を超える場所に布設する場合には耐熱性のあるけい素ゴム絶縁(導体許容温度95℃のもの)を使用する。さらに、耐誘導ノイズ特性が要求される場合には、シールドケーブルを使用する。
 逆に寒冷地を航行する船や冷凍庫内に布設する場合には、耐低温特性が優れているクロロプレンシースを用いることが多い。
 また、暴露甲板などに布設する場合には、一般に防食層(PVC)付ケーブルが用いられる。なお、ケーブルの導体の断面積の選定にあたっては、全負荷電流が基準周囲温度におけるケーブルの許容電流値以内であり、かつ、電圧降下が規定値以下となるようにすること。(計算式については第3章3・3・4・(c)参照
 図4・13の(c)に示す電話用ケーブル(ツイストペアケーブル)は、誘導ノイズを発生又は受けやすい低レベルの信号回路用として使用され、計装用デジタル及びアナログ信号、音声周波数信号、通信装置、コンピュータの伝送路用などに用いられる。
 
ケーブル記号の意味
 「例」
0.6/lKV− FA− T P Y C− 2.5 0.6/lKV耐延焼性3心EPゴム
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) 絶縁ビニルシースあじろがい装ケーブル
 
(1):公称電圧 0.6KV→対地電圧、1KV→線間電圧
(2):耐延焼性
(3):心数 S→単心、D→2心、T→3心、M→多心、TT→電話用
(4):絶縁 P→EPゴム絶縁、SR→けい素ゴム絶縁、Y→ビニル絶縁
(5):外被 Y:ビニルシース、N→クロロプレンゴムシース、L→鉛被
(6):がい装 C→あじろがい装、CB→銅合金線がい装
(7):公称断面積(mm2
 
(2)特殊ケーブル
 GMDSS機器には無線用周波数や特殊信号を伝送するものが多く使用され、一般ケーブルではその性能を発揮させることができないものもあるので、下記のような特殊ケーブルを使用することがある。
 この場合においても、原則的には難燃性又は耐燃性のものを使用しなければならないが、限定的、かつ、少量使用する場合には認められる。
(a)高周波同軸ケーブル
 通信機器の信号伝送やレーダーのトリガ信号、映像信号の伝達用として使用され、構造上から、充実型同軸ケーブル、平行2心形ケーブル及び同軸2心形ケーブルに大別される。図4・14には充実型同軸ケーブルの構造図、表4・2にはよく使用される同軸ケーブルの種類と特性の一覧表を示す。
 高周波同軸ケーブルは、その特性インピーダンス、減衰量などが目的に十分合致したものを選定する必要があるので機器メーカーと協議すること。空中線用の高周波同軸ケーブルは暴露部に布設されるため、防食被覆付(Y付き)のケーブルを使用する。
 
(拡大画面:21KB)
図4・14 充実型同軸ケーブルの構造
 
表4・2 同軸ケーブルの種類
(拡大画面:80KB)
 
(注)・
ケーブルの名称の数字及び記号は次のような意味をあらわす。
 
「例」5C−2V:
5=外部導体の内径(mm)
   
C=特性インピーダンス、C:75Ω、D:50Ω
   
2=絶縁体の種類(塩化ビニル充実絶縁形)
   
V=一重外部導体+PVC被膜、U=二重外部導体+PVC被膜 PVC:塩化ビニル
外部の編組:亜鉛メッキ鉄線編組
RG:Radio Guide の略
U:Universal の略
 
(b)光ファイバーケーブル
 コンピュータの使用等により船内の情報量が増大し、それに伴ってケーブルの布設量も増大してきており、ケーブル量の削減、通信速度の高速化への対応、耐ノイズ性等の理由でコンピュータの伝送路用等として光ファイバケーブルを使用することがある。その一例を図4・15に示す。
 なお、光ファイバー自体は通常のワイヤー形ケーブルと比べるとガラス製なので細くて折れやすく、布設工事に注意が必要なことや、機器への接続には特殊な工法が必要である。現在のところ船用としての規格がないので、使用にあたっては地方運輸局又は各船級協会に問い合わせること。
 
(拡大画面:36KB)
図4・15 光ケーブル
 
(c)その他
 GMDSS機器にはメーカー支給の特殊ケーブルが多いので、使用にあたっての詳細はメーカーの指示によること。
 また、その使用範囲に注意するとともに、機器の配置を事前に決定し、ケーブルの長さをメーカーヘ指示する必要がある。







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