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無線設備講習用指導書(艤装工事及び保守整備編)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


2・6・2 極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置
 船舶が遭難した場合コスパス・サーサット極軌道衛星を経由して陸上局に、また、付近の航空機に遭難の発生を送信する装置である。浮揚型と非浮揚型があり浮揚型は手動発信のほか船舶から自動離脱して浮揚し自動的に発信される。非浮揚型は手動発信の機能のみを有し、船橋等に装備される。
 
(1)極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置の概要
 この極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置(以下EPIRBと呼ぶ。)は、次のような性能をもった無線の送信機である。
(1)406.025MHz(±2kHz)の安定な周波数(衛星の上空通過の、約15分間に周波数安定度が2×109程度)の送信をする。送信電力は5W(37dBm)±2dB(7.9〜3.2W)である。
(2)この送信は約50秒(50秒±5%)ごとに約0.5秒のバースト状の送信をする。この送信は、長さが160msの無変調搬送波の後、短メッセージ(112ビット280ms)又は長メッセージ(144ビット360ms)のデータが続く。長メッセージは、短メッセージ全文に加えて、外部からの入力による位置情報などを追加したものであるが、このような外部からの入力機能を備えているEPIRBはほとんどないので、短メッセージだけを考えればよい。
 短メッセージの内容は、同期符号、国名、船舶局識別などの符号である。
(3)航空機によるホーミング信号として121.5MHzの周波数を発信する装置が付加されていること。
(4)作動は水圧による自動離脱に伴う自動送信、手動離脱による自動送信、離脱をせずに行う船上での手動送信の3方法によることになっている。この最後の手動送信は、EPIRBが通常操船される場所に近接して設置されていないときは、その場所から遠隔操作できなければならないことになっており、この場合は船内配線が必要となる。
(5)EPIRBの電源は、48時間作動のできる乾電池で、普通は、二酸化マンガン・リチウム電池が使用されている。
(6)20mの高さから海中に投下し、海上に浮遊して送信する、厳しい温度条件などの環境に耐えて正規の送信ができるものであること。
 浮揚型と非浮揚型のEPIRBの性能要件は、まとめて船舶救命設備規則の第39条と第39条の2(及び関連の船舶検査心得)に規定され、その他の規則類はこれを引用している。電波法の無線設備規則の第45条の2第1項(及び関連の郵政省告示)にその性能規定(この場合の装置の名称は、G1B電波406MHzから406.1MHzまでを使用する衛星非常用位置指示無線標識と異なっている)があるが、その規定は浮揚型のみで、非浮揚型の規定はない。図2・17は浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置の一例を示す。
 衛星利用の非常用位置指示無線標識には、この他にA4水域を除いてインマルサット衛星利用のものがSOLAS条約では認められているが、船舶安全法で規定されていない。しかし電波法ではF1B電波1,644.3MHzから1,646.5MHzまでを使用する衛星非常用位置指示無線標識としてその性能が規定されている。この方式の標識は衛星システムで標識の位置の決定ができないので、標識が測位用の受信機をもつか、船上で航法装置と接続しておいて、船から離れたときは、その離れたときの位置を送信するようにしなければならない。
 
図2・17 浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置
 
(2)小型船舶用極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置
 従来は大型船舶と同じEPIRBが装備されていた総トン数20トン未満の小型船舶と小型漁船に新しく小型船舶用のEPIRBが導入された。この小型船舶用のEPIRBは、大型船舶用に比べて次の点で簡易化されている。
(1)連続作動時間が48時間以上から24時間以上と半減され、低容量の電池の使用ができる。
(2)落下試験の高さが20mから5mと低くなり、構造の簡易化が可能となった。
(3)水密度が深さ10mで5分間から、深さ2mで5分間に変わった。







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